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第198話 崖の下のピエロ

いつもお読みいただきありがとうございます。

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よろしければブックマークや★評価をいただけると嬉しいです!

「うおおおーリオン、なにやってんんだーー!!」



 山の中腹から断崖へ飛び出すリオン。俺はその背中にしがみつき、視界は一気に天へと引き上げられる。


 急速に加速する重力。脳内は一瞬にして真っ白。


 ダン! ダン! ダン!


 衝撃が全身に響きまくる。リオンが【二段跳び】で空中の足場を巧みに踏みしめ、崖壁を反射しながら降下していく。


 はじめは死に戻りかもと思って焦りまくったが、リズミカルに崖を降りるリオンの安定感にようやく俺も落ち着き我に返る。



「リオン、こうするなら前もって言ってからにしよっか?」


 俺の言葉に、リオンが「フンス♪」と軽く鼻を鳴らす。



 そして、最後の一歩。リオンの脚が湖面に柔らかく着地する。静かな湖面に広がる同心円状の波紋。


 崖下の湖面。そこでは澄み渡る湖面が午前の優しい陽光に煌めく。耳に届くのはただ、ゆったりと崖面に寄せる波音だけ。



「なんか……安らぐな」

『フンス♪』


 リオンの瞳が俺を見つめる。不思議と硬かった心がふっと解けていく。



「なーんか、今日はのんびりして過ごそうかな。どう? リオン、ネギ坊」

『フンス♪』

『ゆらら?』


「あ、そうだな~。久々に釣りでもするか?」

『ゆらゆら!』


 ネギ坊と釣りなんて前世で南の森の湖で昆布を釣り上げた時以来だ。なんだか楽しくなってきたな。



「よし、まずは釣り竿作りだ!」


 小さな湖畔を見つけそこに鍛冶セットを広げる。素材は…ま、適当に。



「えーっと、これと、これと…お、これも使えそうだな」


 とりあえず取り出したのは【清玉鋼】【ブルー溶液】【骨粉(3種混合)】【古樹液】【飛蛇の軽羽】。



「釣り竿って確かカーボン繊維だったよな…」


 だが、ここFGSはファンタジー世界。そんなもんはない。なら、ファンタジー素材で作るしかないな。


 とにかく、あれこれ組み合わせ、熱して叩き、伸ばして巻いて、また熱し…



『ゆら?』

「ん? ちょっと考えてただけ」


 素材を強引に繋ぎ合わせた釣り竿。けど、かなり重い。



「うーん、清玉鋼って意外と重さがあるんだな」


 次は【飛蛇の軽羽】を加えてみる。軽くなった。けど、今度は強度が足りない。



「むむむ…」


 で、試行錯誤を繰り返すうち、頭のネジがポーンとはじけ飛ぶ俺。



「はい、無理! 俺は考えるより感じろ派!」


 それかからは気の向くままに素材を炉に突っ込み、飛蛇の軽羽をブルー溶液にぶち込み、棒状になったら骨粉をふりかけ、古樹液を塗りたくりる。



『ゆら~』

『フンス?』


 ネギ坊とリオンが不安そうに見守る中、出来上がったのは…



【清玉加工ロッド】

 強靭さとしなやかさを併せ持つロッド。



 リオンが先端を咥えて曲げる。元に戻る。よし、成功!


 仕上げに【仙蜘蛛の糸】で釣り糸を作り、【清玉の釣り針】を取り付ける。さらに見た目が豪華な【飛蛇の指揮羽】を飾りとして竿先に装着。



「よし、もういい、完成!」


『ゆら!』

『フンス♪』


「じゃ、釣るぞ、この完成した感性ロッドで!」



ピッカーーーーン



 ここで釣り竿が光に包まれ、視界がホワイトアウト。


「ぐぬぬ、なんとなくそんな気がしていたのに、つい見てしまったーー」



【傷心道化師の大漁竿】

 心に傷を抱えた道化師は強風が吹きすさぶ中、とある海岸に立つ尽くす。目の前には悠然と広がる大海原。それを見た道化師は、ただ謙虚に、そして大自然の恵みへの感謝を胸に、荒れる大海へと舟をこぎ出す。



 …えっと、いったい、何の話でしょうか。俺は漁師志望ではないし、ここは湖なのですが?



『ゆら~』

「え、そう?」


 ネギ坊が『かっこいい~』と褒めてくれる。なんだよ、ネギ坊、褒め上手かよ。



「よし、早速釣っちゃうか!」

『ゆら!』

『フンス♪』


 2mもない長さのコンパクトな釣り竿。しかし持ち手には大漁旗さながらの派手な模様。これでもかと海の男をアピールしてくるその釣り竿を振って静かな湖に糸を垂らす。



「長閑ですな~」

『ゆら~』

『フンス~』


 リオンに横座りして釣り糸の先を見つめる。わずかな波が崖に打ち付け、ぴちゃぴちゃと軽いリズムを刻む。昼飯時も近くなり太陽もだいぶ高くなってきた。6時-24時が昼設定のFGSの正午は15時。高いと言ってもまだその陽光は優しさを帯びている。


 ツンツン


『ゆら!』


 竿の先に小さな当たりを感した瞬間、俺より先にネギ坊が反応する。どうやらずっと糸の先を見ていたらしい。



「よし、釣り上げるぞ」

『ゆらゆら』


「よっしゃー、釣れた―」

『ゆらゆらーー』

『フンス♪』


 引っ張り上げた糸の先には元気な小魚がくっついて来た。『釣られちゃった~』と言わんばかりに小刻みに体を跳ねさせている。小魚の鱗がキラキラと銀色に輝いてちょっと眩しい。



「なんの魚だろ?」

『ゆら~』



空湖そらこのフナ】

 空湖に住む一般的な魚。食用可能。



「ああ、第一号はフナかあ」

『ゆら?』


 ネギ坊がすごく興味深そうに見ている。『珍しい魚?』って。



「あ、フナってのはリアルでも良く釣れる魚なんだよ」

『ゆらゆら…ゆら?』


 急に話を止めるネギ坊。数舜置いてからそのお手々で湖面を指す。


 示された場所をみると、その湖面一帯が暗い。ちょっとだけ視線を上げるとそれが巨大な影だとわかった。ゆったり動きながら水中を進んいる。えっと、もしかして恐竜でもいます?



『ゆらゆら!』

「だーー、ネギ坊、『大物だ!』じゃないって。リオン逃げるぞ!」

『ヒヒヒーーン』



❖❖❖レイスの部屋❖❖❖


「おい、ライス! あのバイタル偽装の件、進んでるか?」

「はい、今洗い出し中っす。でもデータ多すぎて全然終わらないっすよ」


「急げ。今のうちに片付けとかねえと厄介なことになるぞ」

「はい、わかり……先輩、なんかヌシが見えるんすけど」


「ヌシ?」

「ほら、空湖のヌシっすよ。そこのピエロさんのモニターに」


「ああああーー、ヌシじゃねえか。なんでこんな時に…!」



―――――――――――――

◇達成したこと◇

・制作:【傷心道化師の大漁竿】

・釣果」空湖のフナ

・巨大な魚影発見



 ◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:リオン[★☆☆☆☆☆]

 肩書:なし

 職業:創菌薬師

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1(+33)

 敏捷:1(+53)

 器用:1

 知力:1

 装備:仙蜘蛛の真道化服【耐久+33、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気・粘着)

 】

 :飛蛇の真道化靴【敏捷+53】

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv10】【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv10】【調合Lv10】【調薬Lv10】【創薬Lv10】【依頼収集】【斡旋】【料理Lv9】【寸劇Lv3】【遠見】【念和】【土いじり】【石工Lv2】【乾燥】【雄叫び】【熟練の下処理】【火加減の極み】【匠の匙加減】【ルーティンワークLv3】【描画Lv1】【危険察知NZ】【散弾狙撃Lv4】【融合鍛冶Lv4】【観察眼】【苦痛耐性Lv3】【慧眼(薬草)】【薬草学】【採取Lv10】【精密採取fLv4】【採取者の確信】【採掘Lv10】【菌創薬Lv8】

 所持金:約1000万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】【秘密の火消し人】【不意議ハンター】【不思議開拓者】【巨魁一番槍】【開拓者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]


 ◎進行中常設クエスト:

 <薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

 <蜥蜴の尻尾亭への定期納品>

 ●特殊クエスト

 <シークレットクエスト:刀匠カンギスの使い>

 〇進行中クエスト:

 <眷属??の絆>



 ◆星獣◆

 名前:リオン

 種族:星獣[★☆☆☆☆☆]

 契約:小人族スプラ

 Lv:20

 HP:310

 MP:445

 筋力:48

 耐久:46【+42】

 敏捷:120

 器用:47

 知力:69

 装備:赤猛牛革の馬鎧【耐久+30、耐性(冷気・熱)】

 :赤猛牛革の鞍【耐久+12】

 :赤猛牛革の鐙【騎乗者投擲系スキルの精度・威力上昇(小)】

 固有スキル:■■■■ ■■■■

 スキル:【疾走Lv9】【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】【運搬(極)】【水上疾走Lv1】【かばうLv5】【躍動】【跳躍Lv3】



 ◆契約◆

 《従魔》

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★★★☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:3

 耐久:3

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【紫艶草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】

 分蘖体:ネギ丸【月影霊草】

    :ネギ玉【氷華草】


《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


 ≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ

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