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第194話 ありえない連携

いつもお読みいただきありがとうございます。

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「うおおっほおおおい」

「だあー、あの調子乗りドワーフは、もう」


 空中でゆらゆらと浮きながらちょっと楽しそうになってるムガンさんとそれにキレるマカラさん。この状況で楽しそうって、ドワーフすげえな。



「こらああ、何やってんの。ちゃんと抵抗しなさい!」

「抵抗も何もなんにもさせてもらえんのじゃ。うおっほい」


 空中で一回転させられ奇声を上げるムガンさん。それを見ながら俺は考える。



 あの空中のムガンさんをあの赤い糸、すなわち仙蜘蛛の糸から連れ戻すにはどうすばいいのか。下手に切ればムガンさんは落下。それにこの最後の黒曜ダーツを外せばムガンさんをあの糸から助けるとができなくなる。


「くそ、どうする?」

『フンスフンス』


「え、できるの?」

『フンス』


 リオンが『あそこなら連れて戻ってこれると思う』って。結構下の方だし、崖からも離れているけどマジでそんなことできるのか?



『フンスフンス♪』


 あ、ああ、なるほど身体強化ポーションか。確かに動きがまるで違ったもんな……でもあの重そうなムガンさんを連れて戻ってくるなんて本当にできるのか? 【騎乗】って確か本体と同じ重さまでしかのせられなかったんじゃなかったっけ? それに、もしミスったら俺もリオンもムガンさんも奈落の底にまっしぐらだぞ。



『フンスフンス?』

「うーん、わかった。やってみよう」


 リオンからは『信じないの?』って。そりゃリオンの事は信頼しているし、これまでもなんでも一緒に危機を乗り越えてきた。ただ…



『フンス!』

「えええっ、そんなことできたの?」

『フンス♪』


 焦れたリオンがすごいことを教えてくれた。リオン曰く、『身体強化ポーションは重え掛けが効く!』んだそうだ。で、リオンが勧めてくるのは、身体強化ポーションとスプラ印の同時使用。つまり、50%アップされた上にさらに筋力・耐久・器用が+30される。計算するとそれぞれの値が+53~54されるということだ。


 「じゃあ」、と言うことでリオンに普通の身体強化ポーションとスプラ印を同時に使用する。すると見事に重ね掛けの効果が見て取れた。



 名前:リオン

 種族:星獣[★☆☆☆☆☆]

 契約:小人族スプラ

 Lv:20

 HP:310

 MP:445

 筋力:48(+54)〈26秒〉

 耐久:46【+42】(+53)〈26秒〉

 敏捷:120

 器用:47(+53)〈26秒〉

 知力:69



「うん、リオン、じゃあ時間もないし行こ…う…へ?」


 ステータスを確認し終えて画面を閉じる。するとなぜかリオンの体がうっすら銀色に輝いていた。



ピンポーン

『星獣リオンの規定ステータスへの到達を確認しました。星獣リオンが進化します』



『ヒヒヒーーーーン』


 リオンが嘶く。アナウンスを受けた俺は慌ててステータス画面を開きなおす。



 名前:リオン

 種族:星獣[★★☆☆☆☆]〈22秒〉

 契約:小人族スプラ

 Lv:20

 HP:666

 MP:999

 筋力:111

 耐久:111【+42】

 敏捷:444

 器用:111

 知力:222

 …

 固有スキル:【友との約束】 ■■■■

 スキル:【疾走Lv8】【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】【運搬(極)】【水上疾走Lv1】【かばうLv5】【躍動】【跳躍Lv2】【飛翔Lv1】



 凄まじいほどのリオンのステータス変化。さっそく検証したい気持ちが湧き出て来るがここはそれを押しとどめる。なんせ残り時間22秒。そんなことをしている時間は全くない。


 それにこのリオンの進化、制限時間がステータスバフ時間と同じ。それはつまりこの進化は身体強化ポーションに依存しているという事。なら、この機会を逃したら次に使えるのはクールタイムの後になる。それじゃあもうムガンさんを助けられない。



「リオン、行け!」


 こうなったらここは俺があれこれ指示するより、全てリオンに任せた方がいいだろう。俺は自分の唯一の仕事、黒曜ダーツでのムガンさん救出に集中する。


 ステータス画面を消すと目の前には進化したリオンの体。うっすら銀色に輝き、ところどころ盛り上がる筋肉に引き締まった四肢。体も一回り大きくなり、その姿はもやはポニーではなく小型のサラブレッド、いや小型ヒュペリオンと言った方がしっくりくる。



『ヒヒヒーーーン』


 そのリオンが嘶き、崖下へ向かい跳躍。そして空中を力強く蹴りながら逆さになっているムガンさんに一直線に向かって行く。そうこれが【飛翔】だ。



「ムガンさん、今助けます!」


「おおお、スプラ、すまん世話をかける。じゃが無理はするな」


 ムガンさんに繋がっている数本の糸を黒曜ダーツで切り裂いていく。すると落下を始めるムガンさん。それを受け止めるために躍動するリオン。俺はムガンさんを抱きとめると急いでその体に巻き付く糸を切り捨てていく。


 ってか、鎧付きのムガンさんめちゃくちゃ重い。俺もついでにスプラ印飲んどいてよかった。



『ヒヒヒヒーーン』


 ムガンさんを俺の後ろに乗せたリオンが空中を駆け上がる。しかし崖上まであと少しというところでリオンが急停止。どこかで見覚えがあるこの感覚…まさか…。


 急ぎ振り返るとリオンの後ろ脚に絡み付く赤い糸。



「だー、こんな運命の赤い糸は御免被る」


 そそくさと黒曜ダーツで糸を切る。するといきなり真っ赤に染まる視界。急ぎ視線を上げると、そこにはまさかの飛蛇の群れ、さっきの2倍以上はある規模でこちらを威嚇していた。そしてその背後から再び赤い糸が迫ってくる。



 これはあかん。危険だがアレを使うしかない。


「ムガンさん、爆弾使います。背後からいろいろ飛んできますが俺の盾になれますか?」

「おう、任せとけ。このムガンの鎧はなんでも弾くぞい」


 ムガンさんの返事を背に、俺は【爆裂木の実弾】を3個取り出し、後ろの飛蛇の群れに向かって投擲する。数瞬後、後方からの連速爆発音とともに体に数回ほどの衝撃を感じる。散弾した大どんぐりが当たった衝撃だ。ダメージが3入った。



 だが、ムガンさんの鎧に当たるその数はエグイ。ドラムロールを3倍速で流してんのかってくらいの連続音だ。多分、9割9分9厘の木の実弾はムガンさんが防いでくれたんだろう。


 飛蛇のいた空中がポリゴンの光に包まれている。次々と崖下に落下していくドロップだがリオンに残された進化時間は残りわずか。取りに行く時間など全くない。


 後ろ髪を引かれるかれる思いを背に俺たちはなんとか崖の上に駆け登った。


 ムガンさんを降ろしたところでリオンの銀色の体が、ふわりと淡い光を放ちながら徐々に元のポニーの姿へと戻っていく。



ピンポーン

『星獣リオンのステータス変化を確認しました。規定を下回ったので進化が解けます。特定行動により星獣リオンが【二段跳び】を習得しました』



 制限時間となりリオンの進化が解けた。当のリオンは息を荒らげながらも、その瞳の奥に残る威厳はゴブリンエンペラー戦のヒュペリオンを彷彿とさせる。『フンス』と短く鼻を鳴らして、俺を見上げるリオン。


 ヒュペリオン風ドヤ感……には目をつぶり、俺はそのふっさふさのたてがみをやさしく撫でる。



「ふう、まさに危機一髪じゃったの」

「クソ髭危機一髪だったわね」


 子供の頃によく遊んだおもちゃの名前をマカラさんのセリフの中に感じながら、俺はいそいそと気になってたリオンのステータスを確認する。が、そこには進化が解けたリオンの見慣れたステータスがあるだけだった。とりあえず、新しく習得したスキルだけでも確認しておく。



【二段跳び】

 空中を一度だけ蹴って移動することができる。



 なるほど、【飛翔】の下位互換って感じだな。ってか、たぶん【飛翔】への入り口的なスキルなんだろう。


 …あとは、固有スキルが解放されてた気がするんだけど。



「リオン、ポーションさえあればまた進化できる?」

『ブルヒヒン』

「え、できないの?」

『ブルヒン』


 そっか、リオンがそう言うならなにか理由があるんだろう。



「ごめんごめん、気にしないで」

『フンス♪』


 ま、そのうち正式に進化していくんだろう。その時までのお楽しみだな。



「ぬぬぬ、しかしこうなっては仕方がないの。今日のところは撤退じゃ」


 リオンの進化の考察を進めていると、ずっと横で親方連中とあれこれ話していたムガンさんが退却を決める。そりゃ、これ以上は無理だろうな。相手はあの飛蛇に加えて仙蜘蛛の糸。こんな崖であんな連携されたら……ん? ちょっと待てよ。


 俺は心に過った違和感を探る。



「マカラさん、飛蛇と仙蜘蛛って天敵同士じゃなかったでしたっけ?」


「そうよ、天敵同士。仙蜘蛛あるところに飛蛇あり。逆もまた然りね。それでバランスが取れてるの」


「……でもさっき、あいつら連携してませんでした?」


「はあ、そうなのよね。筋肉脳たちは気づいてないみたいだけど」


 そそくさと帰り支度を始めている鎧軍団を視線に捉えてマカラさんがため息ひとつ。そして首をひねった。



❖❖❖レイスの部屋❖❖❖


うわ、ほんとに飛蛇と仙蜘蛛が連携してやがる。

どういうことだ。何が起きてる?


は? 進化? 

うおーーーーーい、Z,それは流石にやりすぎだ!!

進化は第三エリアでレベルキャップが外れてからのはずだろ!

職権乱用にも程があるぞ。

ま、今回だけは見逃すけど。


しかも作品ポーションと通常ポーションのかけ合わせとか、そんな裏技が世界に広まったら……あ、そっか、作品級作れるのしばらくは小僧とMJだけだな。


MJが小僧以外のために作ることは考えられんし、コミュ障の小僧がわざわざ炎上の元を広めるとも思えん。

まあ、それなら今のところは容認か。


っと、それよりも今は飛蛇と仙蜘蛛。

天敵設定されてるこいつらが連携なんてありえねえ。

あ、もしかして、Zの今回限定の無茶もこの異変を察知してのことか…?


くそ、ライスの調査分析はまだか。

おせーな。


―――――――――――――

◇達成したこと◇

・仙蜘蛛に絡め取られるムガンを救出に向かう。

・リオンから強化ポーションの重ね掛けについて聞かされる。

・リオン限定進化。

・リオン;【二段跳び】

・【爆裂木の実弾】3個仕様。

・ムガン救出達成。

・リオンに罪悪感を抱かせてしまい猛省。

・飛蛇と仙蜘蛛の禁断の連携に気が付く。



 ◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:リオン[★☆☆☆☆☆]

 肩書:なし

 職業:創菌薬師

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1(+33)

 敏捷:1(+53)

 器用:1

 知力:1

 装備:仙蜘蛛の真道化服【耐久+33、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気・粘着)

 】

 :飛蛇の真道化靴【敏捷+53】

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv10】【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv10】【調合Lv10】【調薬Lv10】【創薬Lv10】【依頼収集】【斡旋】【料理Lv9】【寸劇Lv3】【遠見】【念和】【土いじり】【石工Lv2】【乾燥】【雄叫び】【熟練の下処理】【火加減の極み】【匠の匙加減】【ルーティンワークLv3】【描画Lv1】【危険察知NZ】【散弾狙撃Lv4】【融合鍛冶Lv4】【観察眼】【苦痛耐性Lv3】【慧眼(薬草)】【薬草学】【採取Lv10】【精密採取fLv4】【採取者の確信】【採掘Lv10】【菌創薬Lv8】

 所持金:約1000万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】【秘密の火消し人】【不思議ハンター】【不思議開拓者】【巨魁一番槍】【開拓者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]


 ◎進行中常設クエスト:

 <薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

 <蜥蜴の尻尾亭への定期納品>

 ●特殊クエスト

 <シークレットクエスト:刀匠カンギスの使い>

 〇進行中クエスト:

 <眷属??の絆>



 ◆星獣◆

 名前:リオン

 種族:星獣[★☆☆☆☆☆]

 契約:小人族スプラ

 Lv:20

 HP:310

 MP:445

 筋力:48

 耐久:46【+42】

 敏捷:120

 器用:47

 知力:69

 装備:赤猛牛革の馬鎧【耐久+30、耐性(冷気・熱)】

 :赤猛牛革の鞍【耐久+12】

 :赤猛牛革の鐙【騎乗者投擲系スキルの精度・威力上昇(小)】

 固有スキル:■■■■ ■■■■

 スキル:【疾走Lv8】【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】【運搬(極)】【水上疾走Lv1】【かばうLv5】【躍動】【跳躍Lv2】【二段跳び】new!



 ◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★★☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:3

 耐久:3

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【氷華草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】

 分蘖体:ネギ丸【月影霊草】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


 ≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ


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