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第169話 帰還後のいろいろ

「いやあ、参りました。まさか繭の中に閉じ込められるとは。速攻で死に戻りを選びましたよ」


 仙蜘蛛と飛蛇のドロップを拾い集め終えた俺たちはそのまま街に直帰した。一旦街で落ち着きたかったので途中で襲ってきたトレントはすべて無視した。そして北門の到着すると、格好いいセリフを吐いてすぐに死に戻ったセーキマッツが北門で待っていた。


「わたくし、閉所恐怖症でして、閉じた狭い空間無理なんですよ。繭になった時に助けを待つか死に戻るかの選択を迫られたんで死に戻り一択でした」

「選択で死に戻り?」

「はい、あんな暗くて狭い場所にいなきゃいけないとか、何というクソ仕様…」


 ちょっと荒れ気味なセーキマッツから説明を聞く。内容は繭になってもすぐに死に戻る分けではなく、制限時間内に助けられれば死に戻りはせずに助かると。だけど、繭にいる間にログアウトしたら死に戻り扱いになるらしい。あと強制ログアウトでも死に戻り扱いと。


「はあーあ。今日は蜘蛛とか蛇とか見過ぎて気分的に疲れたからアウトするわ。リオンちゃん、ネギちゃん、また明日ね」


 リオンとネギ坊だけに挨拶して去って行くミーナ。姿が見えなくなってすぐにパーティーを抜けていった。


「わたくしも今日のところはここまでですね。デスペナもありますし。では、地図の件はまた明日にでも」


 セーキマッツもフレンド申請だけ寄越して去っていった。


 じゃあ俺も今日はログアウト…の前に、心配かけたマークスさんとマジョリカさんに報告とお礼に行っとこうか。



「おや、助けられたんだね。よかったじゃないか」


 薬屋に入ると珍しくカウンターに座っていたマジョリカさん。どうやらセーキマッツのお陰で仕事はすべて終わっているらしい。


「ええ、でも大変でした。リオンが仙蜘蛛の繭に捕まってて。しかも助けた後に追いかけられちゃって」

「ま、そうだろうね。そのポニーを捕縛できるのは仙蜘蛛くらいだ」


 マジョリカさんの鼻に引っかけた片眼鏡がキラリと光る。


「はい、あんな見えない糸で絡め取られるとかヤバいですよ。セーキマッツが死に戻りましたし」


「はは、本人からも聞いたよ。まったく、笑いながら『死んじゃいました』とかほざいてくるもんだから、一発お見舞いしてやったよ」

「ははは…」


 お見舞いされたのにあのテンションで待ってたのか。どんなメンタルしてんだよ。まったくもって羨ましい。


「あ、それで、マジョリカさんから貰った身体強化ポーション一つ余ったんでお返しします」


 カウンターの前にオレンジ色のポーションを取り出す。


「いいよいいよ。それはスプラが持っておきな。どうせまた危険なことに首を突っ込んでいくんだろうしね」

「…?」


 いや、そんなつもりは全くないのだが?


「セーキマッツやもう一人なんて言ったかね。ま、2人も手伝いに寄越してくれた礼だと思って持ってお行き。で、あと明日からは手伝いは要らないからね」


 手伝い? あ…そうだった。明日もに二陣と組むんだった。どうしよ。うーん…。


「マークスには報告したのかい? その靴、マークスが作ったんだろ? まだなら早く行っておやり」

「あ、はい」


 急かされるようにして薬屋を出る。



「おう、無事に戻ってきたか。ポニーも無事でよかったな」


 武器屋へ行くと入り口付近で待ってくれていたマークスさんが笑顔で迎えてくれた。相変わらず心配屋さんだ。


「マークスさんに作ってもらった【飛蛇の真道化靴】のお陰です」

「そうか、役に立ったんなら良かった」


「あ、これお借りしてた【飛蛇のローサン】です。返し忘れてて」

「おう、じゃ貰っとくな」


「で、【飛蛇の真道化靴】はおいくらでしたか?」

「ん? 金なんて要らんぞ。素材持ち込みだしな」


「いや、でも作品…ですよね?」

「ああ、そのことか。実はこの【飛蛇のローサン】がな、お前が作ったローサンに刺激されて久々に生まれた作品級だったんだ。で、その流れで連続してできたのがその【飛蛇の真道化靴】。だからそれはスプラのお陰でできたようなものなんだ」


「でも、せめて製作費だけでも」

「いや、いいって、本当に。久々の作品級が連続してできてこっちが礼を言いたいくらいなんだし」


「いや、でも…」

「あのな、スプラ。作品級ってのは生産者が生涯かけても出せないこともあるくらい貴重な経験なんだ。金出して生み出せるならいくら積んででも経験したい。それが作品級。それが二回も連続で出るなんて本当にすごい事なんだ」


 そっか、そこまでのものなのか…てか、作品級ってそもそもなんなんだ? 俺でも作れたりするのか? 


「わかりました。ちなみにマークスさん、作品級について詳しく教えてもらう事ってできますか?」

「ああ、そうか。スプラにはまだ話してなかったもんな。じゃ、いい機会だから教えとこうか。作品級ってのは一定ランク以上の生産職が生涯に10個まで生み出せる特別な生産レシピの事だ。まあ、戦闘職で言う必殺技みたいなものだな」


 必殺技? 生産職の必殺技…へえ、そんなものがあったのか。でも生涯10個までって…。


「10個までしか作れないのに良かったんですか? 俺なんかの為に」

「はっは。生涯10個とか聞いたらそう思うかもしれんが、さっきも言ったように作品級ってのは自分で作ろうと思って生み出せるものじゃないんだ。これまでの記録上では最大の10個生み出せた鍛冶師なんて一人も存在しない。俺は若い頃に勢いで立て続けに作っちまったことがあってな。それで名が売れたんだが最近はまったく生まれる気がしなかったんだ。このまま鍛冶師を引退するまで出ないかもなって思ってたくらいだ。だから今回のことじゃ、こっちがスプラにお礼を言いたいくらいだってことだ。わかったか?」


 なるほど、じゃ、ここはお言葉に甘えさせてもらおうか。実際、マークスさんの作品級なんて言ったら、今の俺の全財産じゃ買えないだろうしな。


 しかし、生産職の必殺技かあ。俺も欲しいな必殺技。あの光る称号効果のは俺をおちょくるだけのネタ生産物だしな。もっと実用的な格好いいのが作りたい。


「おっ、なんだスプラ、その顔は俺も作品級を生み出したいって顔だな。だが、流石に今のスプラにはまだ早いぞ。特殊上級職か特級職にならねえと無理だからな」

「あはは、そですよね」


 ぐ、残念。特殊上級職か特級か。特殊上級と特級…ん? なにが違うんだ?


「マークスさん、特級職と特殊上級職って何が違うんですか?」

「お、違いか。特級職は一分野で突出した技を持つ職だ。特殊上級職は異なる分野で上級職に至ったものに授けられる職だな。俺もそっちはよくわからんが、いろいろと種類があるようだぞ」


 なるほど。ってことは特殊上級薬師マジョリカさんは薬師以外にも上級職を持っていると。


「それはそうとスプラ、お前が前に持ってきた土竜爪がまだ加工できてないんだ。明日手伝わないか? あ、でもスプラには例の北の街の件があるか…」


 あ、そうそう。今日中に明日の二陣のリクエストを出さないと。は、丁度いいしじゃ、今度は武器屋だな。鍛冶志望っと。で、我慢強い人って書いといたほうがいいか。タラコみたいになると双方に悪いしな。


「マークスさん、新しくやってきた異人で鍛冶をやりたいって異人がいたら手伝っても構いませんか?」

「おう、鍛冶スキルがあるなら構わんぞ。なんなら俺が鍛えてやってもいい」


 おお、コレはありがたい。じゃ、マークスさんの手伝いは二陣の人に任せて俺はセーキマッツと地図の件だな。イベント画面をチョイチョイっと。


「そういや、スプラ。お前のブーツ作った後の素材が残ってるんだがどうする? よかったら俺の方で買い取るぞ。【飛蛇の軽羽】は貴重な素材だしな」


 あ、その件もあったか。それじゃあ…


「実はリオンを助けた時にドロップアイテムをたくさん拾ったので、これでまた装備とか作っていただくことできませんか?」


「お、また作るんだな。いいぞ。出してみろ。服の方も必要だろうしな。残ってる【飛蛇の軽羽】も一緒に使って…使って…使って…?」



【蜘蛛の脚】×42

【仙蜘蛛の糸】×59


【蛇牙】×70

【飛蛇の軽羽】×38

【飛蛇の指揮羽】×1



 俺がドロップアイテムをカウンターに積み上げたらマークスさんがフリーズした。

 

 これ、待ってなきゃダメか? …ま、いっか。さすがに今日は疲れたからそろそろログアウトしなたい。書き置きだけ残してログアウトしちゃうか。


 そのまま畑の農屋に帰って11日目を終える。



❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


いやいや、MK、流石に小僧に作品級は作れねえって。

薬師の特級なんてMJ超えるってことだもんな。ないない。

特殊っても薬師しか上級職じゃないんだから。

鍛冶はペーペー。料理を少しかじってるだけだし。

ないない。

…ないよな?

一応確認…あっ、【採取マイスター】…はギリギリ中級職か。

採取の上級職なんてあったか?

うーん…面倒くさいな。

ま、どうせ俺が予測したってその通りなんねえし…放っとくか。



―――――――――――――

◇達成したこと◇

・マジョリカさんとマークスさんに報告

・作品級について話を聞く。

・11日目終了。



◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:リオン[★☆☆☆☆☆]

 肩書:なし

 職業:斡旋員

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:1(+53)

 器用:1

 知力:1

 装備:男の隠れ家的オーバーオールセット

 :勘違い男の品質ダウンジャケット

 :飛蛇の真道化靴【敏捷+53】

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv10】【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv10】【調合Lv10】【調薬Lv10】【創薬Lv10】【依頼収集】【斡旋】【料理Lv8】【寸劇Lv1】【遠見】【念和】【土いじり】【石工Lv2】【乾燥】【雄叫び】【熟練の下処理】【火加減の極み】【匠の匙加減】【ルーティンワークLv3】【描画Lv1】【危険察知NZ】【散弾狙撃Lv4】【融合鍛冶Lv4】【観察眼】【苦痛耐性Lv3】【慧眼(薬草)】【薬草学】【採取Lv10】【精密採取fLv4】【採取者の確信】

 所持金:約1000万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】【秘密ハンター】【秘密開拓者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]



◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

<蜥蜴の尻尾亭への定期納品>

●特殊クエスト

<シークレットクエスト:武器屋マークスの困り事>

〇進行中クエスト:

<眷属??の絆>



◆星獣◆

 名前:リオン

 種族:星獣[★☆☆☆☆☆]

 契約:小人族スプラ

 Lv:14

 HP:250

 MP:355

 筋力:36

 耐久:34【+42】

 敏捷:90

 器用:35

 知力:51

 装備:赤猛牛革の馬鎧【耐久+30、耐性(冷気・熱)】

 :赤猛牛革の鞍【耐久+12】

 :赤猛牛革の鐙【騎乗者投擲系スキルの精度・威力上昇(小)】

 固有スキル:■■■■ ■■■■

 スキル:【疾走Lv8】【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】【運搬(極)】【水上疾走Lv1】【かばうLv5】【躍動】【跳躍Lv1】



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★★☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【氷華草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】

 分蘖体:ネギ丸【月影霊草】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ


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