第150話 ドロップの是非
ピンポーン
『特定行動により【狙撃Lv9】のレベルが上がりました。【狙撃Lv10】及び特定行動により【散弾狙撃Lv1】を習得しました』
「うおお、なんだこれ」
連続狙撃の真っ最中に訪問してきたピンポンさん、なんか凄い【散弾狙撃】を持ってきてくれた。
何が凄いって、俺が狙撃したピエロダーツが途中で6本に分裂して広範囲のリスを一気にポリゴンに変えたのだ。
「スプラ、左上からも来たよ」
「了解」
ひとしきり散弾狙撃すると下方向は視界の色が戻った。ってことは、あとは上の連中だけだな。
「超除草ダーツからの散弾狙撃」
散弾狙撃が一度に数匹のリスをポリゴンに変える。お陰でリスの一斉攻撃にも余裕を持って対処できるようになった。
「散弾狙撃、散弾狙撃、散弾…」
…
ピンポーン
『星獣リオンのレベルが上がりました』
…
ピンポーン
『特定行動により【散弾狙撃Lv1】のレベルが上がりました』
…
ピンポーン
『星獣リオンのレベルが上がりました』
…
ピンポーン
『特定行動により【散弾狙撃Lv2】のレベルが上がりました』
…
「はあはあ、もうこれくらいかな」
「そうね、もうないみたい」
戦闘を終えた俺たちはげんなりしていた。戦闘自体は散弾狙撃のお陰でそんなに苦しくはなかった。
問題は戦闘の後。如何せん、ドロップが多すぎるのだ。
じゃあ、どんぐりなんて拾わなけりゃいい?
実はそれがそうも言ってられない状況なのだ。なぜかと言うと今拾い終わったドロップを見てほしい。
【大どんぐり】×186
【栗】×66
【トレントの木材】×2
【トレントの香木】×1
トレントの方は薪が木材に、古樹液が香木に変化した。で、問題はリスのドロップ。なんと栗が出たのだ。実は俺、自他ともに認める栗好き。で、ミーナも大好きらしい。だから栗がドロップしたことに二人りしてすっごく喜んだのだが、問題が一つ。栗と大どんぐり、ドロップとしての見た目がほぼ同じなのだ。だから拾ってみるまで栗なのか大どんぐりなのかがわからない。つまり全て拾わないといけない。
「しっかし、こういう時にミーナって役立つよな」
「…普段は役立たずとでも?」
「いえ」
ちょっとむくれるミーナだが、この状況で活躍したのはミーナだ。ミーナの敏捷チートがドロップ拾いでは無双状態だったのだ。燃費は悪いが動きは超スピーディー。ドロップ拾いに特化した種族と言っても過言ではない。三尾猫恐るべし。
「なんか素直に喜べない褒め方してない?」
「してません」
こうして淡々といつものやり取りをしているが、実のところ、俺の方が素直に喜んでばかりもいられない状況になっていたりする。それは俺が覚えたスキル【散弾狙撃】のせいだ。
【散弾狙撃Lv3】
狙撃する際に威力を1/10に弱めて広範囲の敵を狙撃する。使用回数の存在する武器に関しては威力を維持して残り使用回数分を一度に狙撃する。レベル上昇と共に威力増加。5レベル毎に狙撃弾数増加。
一読すると一気に狙撃できてお得のように感じる。がしかし、落とし穴があった。ピエロダーツ6/6が6本に分かれて狙撃されるのだが、すべてが命中するわけではないのだ。狙いの周辺に分散して飛ばせるのだが、命中しないものも結構ある。つまり、今まではリス6匹を倒せたピエロダーツが2~3匹しか倒せなくなったという事だ。
で、効率を度外視してピエロダーツを【散弾狙撃】しまくった結果、残りのピエロダーツは3本となっている。つまり何が言いたいかというと、もうこれ以上は戦えないということだ。
「じゃあ、次が来ないうちにさっさと帰ろう」
「うん、それがいいわ」
「よし、リオン、帰ろ…え? 嘘?」
「え、ちょっとなに?」
山の上の方が真っ赤に染まった。さっきの赤を上だけの集中させたような濃い赤色。
「今度は上から来る。さっきよりも危険度アップ」
「え、嘘」
「ミーナ先に逃げて。俺もリオンで全速力で下逃げるから」
「え…わかった、じゃあ、また後で」
ミーナの姿が消える。
「じゃあ、リオン、俺たちも逃げるぞ」
『ヒヒーン』
パッパカ パッパカ
「…まだ追ってくるのかよ」
だいぶ山を下りてきたのに背後はまだ赤い。これ、まさか街に入るまで追ってくるとかじゃないよな?
「あ、ポニーじゃん。もしかしてピエロ君?」
「ピエロ先輩!」
「げ、二陣?」
背後の危険を確認して前を向いたらピエロ服が二人。どう考えても二陣だ。まじか、俺がこのまま逃げたら二陣が巻き込まれてしまう。
「あの、ここ危ないですよ」
「あ、俺たちこの先に行くんすよ。エリア解放されたって」
「ああ、もしかしてエリア解放したのってピエロ先輩なんすか?」
…だめだ。こいつら話聞いてない。
「ピエロ君、イベント参加するんすよね。もし一緒になったらよろしく…」
「リオン、戻るぞ。戦う」
『ブルヒヒン』
リオンが『マジかよ』って。まあそうだよな。死に戻る率95%は越えてるもんな。でも、ここで逃げたらこの先FGS楽しめなくなるだろ?
『ヒヒヒヒーン』
『しょうがないなあ』ってか。すまんリオン。また噴水で会おうな。
ピンポーン
『星獣リオンの【疾走Lv5】のレベルが上がりました』
パッパカ パッパカ
リオンに乗って再び山を上る。視界がどんどん赤みを増していく。
「うおおお、なんだアレ」
上って行った先に見えたのは、チックリの群れ。それも前が見えないほどに大群だ。
「これ何百匹いるんだよ」
『ブルヒヒン』
リオンからも『やっべ』って気持ちが伝わってくる。流石にこれは大変だ。でも俺も勝算が全くなくて来たわけじゃない。5%分はちゃんと持ってきているのだ。チックリ相手ならワンチャンあるか?
「くらえ、爆裂ポーション」
爆裂ポーションをチックリの群れの中央に向けて投擲する。
「からのピエロダーツ!」
ドッカーーーン
「うおおおおお、なんじゃこりゃーー」
ピンポーン
『星獣リオンの【かばうLv3】のレベルが上がりました』
ピンポーン
『星獣リオンの【かばうLv4】のレベルが上がりました』
ピンポーン
『星獣リオンのレベルが上がりました』
ピンポーン
『星獣リオンのレベルが上がりました』
投擲した爆裂ポーションにピエロダーツが命中した途端に大爆発が起きた。で、俺が巻き込まれるところをリオンが身を挺してかばってくれた。ってか、マークスさんのくれた馬鎧がなかったらリオンもヤバかったな。熱耐性付きでよかった。
が、ホッとするのもつかの間。
「…あれ? これヤバない?」
チックリの群れは壊滅した。壊滅はしたのだが、今度は目の前でたいそうな山火事が起きている。えっと、戦闘終わったら元通りになったりは…うん、しないらしい。なぜだ? エンペラー戦の後の森は元通りだったじゃん。
「これは…逃げますか?」
『ブルヒヒン』
リオンから『いい訳ないだろ』と突っ込みが入る。
『ゆらゆら~』
「え、なんだネギ坊、急に。ん? 手? その手がどうした? あ、そうか、わかった」
ネギ坊が教えてくれたのは【凍結ポーション】。氷華草のお手々をフリフリして教えてくれた。
「これでなんとかなってくれー」
パッキーーーーン ペキペキペキ
凍結ポーションがダーツに射抜かれ、燃え上っていた山が今度は一気に氷に覆われていく。ちょうど同じくらいの範囲を凍らせてくれたようだ。もう燃えている場所はない。山火事は流石にマズいが凍ってるだけなら大丈夫…だよな?
で、凍った地面には無数のドロップ。見てるだけで気持ち悪くなる程のアイコン。
ま、そうなるよな。これはミーナさんを呼び戻すべきか…。
❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖
おお、小僧が二陣を守るだと?
また死に戻る気かよ。
ま、俺はどっちでもいいんだけどな。
でもな、また同じスキル取ったりするんだろ?
毎回同じ場面見せられるのもつまらんな。
うおおおおい、小僧、お前何しでかしとるんじゃー。山の生態系が、生態系がーー。
あああ、今度は凍らせてる。
えっと、凍らせた場合ってどうなるんだ?
そんなの想定にないんだけど?
は?
―――――――――――――
◇達成したこと◇
・取得:【大どんぐり】×186、【栗】×36、【トレントの木材】×2、【トレントの香木】×1
・ドロップ拾いにうんざりする。
・【散弾狙撃】の仕様を理解する。
・習得:【狙撃Lv10】【散弾狙撃Lv3】
・チックリの超大群から逃げるも二陣を巻き込むのを避けるために立ち向かう。
・【爆裂ポーション】【氷結ポーション】により群れを殲滅する。
・山火事と氷漬けによって生態系に影響を及ぼした(本人気づかず)。
・リオン:レベル10、【疾走Lv6】【かばうLv5】
◆ステータス◆
名前:スプラ
種族:小人族
星獣:リオン[★☆☆☆☆☆]
肩書:なし
職業:斡旋員
属性:なし
Lv:1
HP:10
MP:10
筋力:1
耐久:1
敏捷:1
器用:1
知力:1
装備:男の隠れ家的オーバーオールセット
:勘違い男の品質ダウンジャケット
固有スキル:【マジ本気】
スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv10】new!【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv10】【調合Lv10】【調薬Lv10】【創薬Lv6】【依頼収集】【斡旋】【料理Lv8】【寸劇Lv1】【鍛冶Lv4】【遠見】【念和】【土いじり】【石工Lv2】【よく見る】【乾燥】【雄叫び】【熟練の下処理】【火加減の極み】【匠の匙加減】【ルーティンワークLv1】【描画Lv1】【危険察知NZ】【散弾狙撃Lv3】new!【看破】
所持金:約1000万G
称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】
従魔:ネギ坊[癒楽草]
◎進行中常設クエスト:
<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>
<蜥蜴の尻尾亭への定期納品>
●特殊クエスト
<シークレットクエスト:武器屋マークスの困り事>
〇進行中クエスト:
<眷属??の絆>
◆星獣◆
名前:リオン
種族:星獣[★☆☆☆☆☆]
契約:小人族スプラ
Lv:10(+4)
HP:210 (+40)
MP:295 (+60)
筋力:30 (+8)
耐久:28 (+8)【+42】
敏捷:70 (+20)
器用:29 (+8)
知力:42 (+8)
装備:赤猛牛革の馬鎧【耐久+30、耐性(冷気・熱)】
:赤猛牛革の鞍【耐久+12】
:赤猛牛革の鐙【騎乗者投擲系スキルの精度・威力上昇(小)】
固有スキル:■■■■ ■■■■
スキル:【疾走Lv6】new!【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】【運搬(極)】【水上疾走Lv1】【かばうLv5】new!
◆契約◆
名前:ネギ坊
種族:瘉楽草[★★☆☆☆]
属性:植物
契約:スプラ(小人族)
Lv:1
HP:10
MP:10
筋力:1
耐久:1
敏捷:0
器用:1
知力:5
装備:【毒毒毒草】
:【爆炎草】
:【氷華草】
固有スキル:【超再生】【分蘖】
スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】
分蘖体:ネギ丸【月影霊草】
《不動産》
畑(中規模)
農屋(EX)
≪雇用≫
エリゼ
ゼン
ミクリ




