第146話 腹ペコミーナと挑発
【魔好香】×4
えっと、どういうこと?
「ミーナ、魔好香貰ってきたの?」
「うん、メアリーさんがくれた」
「4個?」
「うん、本来ギルドを通さないといけないらしいんだけど、なんかギルドマスターから直接許可貰ってるからって。でも、内緒だってさ」
内緒って…王都で決まった事だろ? あ、違う、いたわ王都の権力者が一人。そっか、マジョリカさん、肩書がギルドマスターだもんな。で、種族が太皇太后、本職が特殊上級薬師って感じか。
そっか、それでちょっとキョドってたのか。俺のために危ない橋渡ってくれるとか、マジで師匠なんだな。あれ、でもなんで【魔好香】なんだろうな。またスライムか? いや、美容液用の【ブルー溶液】は十分過ぎるほどあるし。なんだ? ふむ、分からん。
「ねえ、それよりさ、仕事終わったんだし帰りに一杯やって行かない?」
「え、酒なんてあった?」
「違うでしょ、ほら、とっておきが待ってるじゃん」
「とっておき…ああ、マーサさんか。そうだな、ディナーには早いけど行くか!」
「よしゃー」
パッパカ パッパカ
一角亭に到着すると物資不足も解消したのか中から活気のある声が聞こえてきていた。
「さ、食べるぞ〜」
一角亭の前でミーナが叫ぶ。もう食いしん坊キャラで行くことは間違いないらしい。これがあの水色銀仮面とは誰もわからんだろうな。
「あれ、あんたは異人さんかね」
「…」
…ん?
「おや、違ったかね?」
「…」
…んんん?
「おや、聞こえてないのかい?」
「…」
…えっと、満腹度は…大丈夫だよな。気をつけてたし。画面右下黄色バーはしっかり見てあった。…なぜだ?
「そこの、お嬢ちゃん。猫の嬢ちゃん、もしかしてお腹空いてるんじゃないのかい?」
「…」
はっ? まさか? …チョイチョイ。あああ、ちょっとミーナ、なんで満腹度飢餓ギリギリなの? 焼き肉とか渡してあったよね?
「なあに、お婆ちゃん、わたしこれから一角亭でフルコース食べるんだけど」
はっ、まさか、一角亭で食べるためにお腹空かせてきたとかそういうオチ? いやいやいやいやいや、ミーナさん?
「お、お婆ちゃん…はは、あたしはこう見えてこの街の世話役をやっててねえ、あちこちに顔が利くんだよ」
「それかどうしたの、お婆ちゃん。今はちょっと時間ないんだ。お話なら食事の後でもいいかな?」
ミーナさん、その人ネヒルザさんといって、山姥に変身して追いかけ回してくるトラウマ製造機のお婆ちゃんなのですが…
「ま、また、お婆ちゃん…そ、そうかい、食事をしたいんだね。じゃあ、あたしが美味い店に連れてってあげるよ。ああ、お金は気にしなくていいよ、このあたしが全部出してあげるから」
「あのね、お婆ちゃん。何度も言うけど、わたしたちこれから一角亭でフルコースを食べるの。そのためにお腹空かせてたんだから。お婆ちゃんと一緒に食事できないのよ」
…あの、ミーナさん、もうそのくらいで。で、やっぱりそういう事だったのかよ。
「…いいから、一緒においで…」
パチン
え? 今、ミーナ|《この人》ネヒルザ婆の手をはたき落としたくね? え、あれ確定で腕掴まれるんじゃないの?
「お婆ちゃん、本当に時間がないのよ。ごめんだけど、また今度にしてくれる?」
「…いいから一緒においで!」
パチン
「…?」
ネヒルザ婆が再びはたかれた自分の手を見て不思議そうにしている。
パチン
パチン パチン
パチンパチンパチンパチンパチンパチンパチンパチンパチンパチンパチンパチンパチン…
ミーナがネヒルザ婆の放つ掴みの嵐を全てはたき落とす。ミーナさん? 尻尾が2本見えてるんですが? まさか覚醒【回避】とか使ってませんよね? 満腹度ヤバいはずなんですけど? ってなんか口元に米粒ついてるな…。覚醒前に食ったのか?
覚醒したらどうせ腹ペコになるからとか? あ、また食ってる。覚醒終わったのか?
「モグモグ、お婆ちゃん、いい加減にしないとダメよ。今、お婆ちゃんの相手してる暇はないの。人なら他にもいるから、ほら、あの人とかどう? 暇そうにしてるわよ。お婆ちゃんの話し相手になってくれると思うよ。行ってきたら?」
「…小娘、よくもこのあたしの事を何度も何度もババア扱いしてくれたね」
うわ、ネヒルザ婆の髪の毛が逆だってきた。これ、ご飯食べる前に山姥化するんじゃね? どうしよ、先に一角亭に入っとくかな。
ピンポーン
『パーティーメンバー「ミーナ」に<特殊クエスト:ネヒルザの怒り>が発生しました。このクエストは回避不可です。クエスト中は満腹度が減少しません』
…?? はい? ちょっとよくわかんないけど、一角亭に避難…
ブーン
『パーティーメンバー「ミーナ」が強制クエスト中であるため入れません』
…えっと、終わった? これって今回の生涯はここで終了って事か? トラウマ持って来世とか絶対に嫌なんですけど?
「ネヒルザさんっていうの、お婆ちゃん? あのね、怒るのは勝手だけど、人に迷惑かけちゃダメ」
「小娘、調子に乗るんじゃない!」
「それはもう見た」
パチンパチンパチンパチンパチンパチンパチンパチンパチンパチン…
…
…
「小娘…覚えてな」
ネヒルザ婆が諦めて帰って行った。俺はいったい何を見せられてたんだ? ってか、「それはもう見た」って覚醒使わずに叩き落とすって、どんな学習能力してんだよ、この人。
ピンポーン
『パーティーメンバー「ミーナ」の<特殊クエスト:ネヒルザの怒り>が終了しました。パーティーメンバー「ミーナ」が【挑発NZ】を習得しました』
「やっと終わった〜。もう、せっかくお腹空かせてきたのに動きすぎてまた食べなきゃいけなくなっちゃったじゃん。モグモグ」
一角亭の前で焼き鹿肉を食べるミーナ。この人、住民NPC相手に迷わず【覚醒】使うとか、二回目は使わないとか、なんなん?
でも、ネヒルザ婆ってこんな風に撃退できるんだな。
「じゃ、入ろっか」
「そ。そうだね入ろう…ん? なんだコレ?」
目の前になんか落ちてる。えっと、なんかどこかで見た覚えがあるんだが…。
「もしかしてさっきのお婆ちゃんのドロップとか?」
「…」
それはそれで危険な匂いしかしない…って、そうだ、これ、アレじゃん。ネヒルザ婆がお金払うときに持ってた財布…
「ミーナそれ、触らな…」
ピンポーン
『〈特殊クエスト:ネヒルザの落とし物〉か発生しました。このクエストは回避不可です。クエスト中は満腹度が減少しません』
敏捷チートの猫さんがあっという間に財布を拾い上げた瞬間、二人に同じアナウンスが届いたのだった。
❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖
いや、ちょっと、NZ相手に覚醒使うとかそんなの設定にないから。
「あーあ、なんか訳の分かんないことになりましたね、先輩。誰があんなチートを許したんすかね。俺から上に言っときましょうか?」
「あ、いや、大丈夫…です」
ってか、そんなことより、<ネヒルザの落とし物>ってなんだ?
もしかしてNZが勝手に作ってる?
え、ってことはNZまで進化してるってことか?
は?
――――――――――――――
◇達成したこと◇
・一角亭でネヒルザと遭遇する。
・ミーナが<ネヒルザの怒り>を完了
・習得:ミーナ【挑発NZ】
・発生:スプラ、ミーナ<ネヒルザの落とし物>
◆ステータス◆
名前:スプラ
種族:小人族
星獣:リオン[★☆☆☆☆☆]
肩書:なし
職業:斡旋員
属性:なし
Lv:1
HP:10
MP:10
筋力:1
耐久:1
敏捷:1
器用:1
知力:1
装備:男の隠れ家的オーバーオールセット
:勘違い男の品質ダウンジャケット
固有スキル:【マジ本気】
スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv7】【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv10】【調合Lv10】【調薬Lv10】【創薬Lv6】【依頼収集】【斡旋】【料理Lv8】【寸劇Lv1】【鍛冶Lv4】【遠見】【念和】【土いじり】【石工Lv2】【よく見る】【乾燥】【雄叫び】【熟練の下処理】【火加減の極み】【匠の匙加減】【ルーティンワークLv1】
所持金:約1000万G
称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】
従魔:ネギ坊[癒楽草]
◎進行中常設クエスト:
<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>
<蜥蜴の尻尾亭への定期納品>
●特殊クエスト
<シークレットクエスト:武器屋マークスの困り事>
<特殊クエスト:ネヒルザの落とし物>new!
〇進行中クエスト:
<眷属??の絆>
◆星獣◆
名前:リオン
種族:星獣[★☆☆☆☆☆]
契約:小人族スプラ
Lv:5
HP:160
MP:220
筋力:20
耐久:18【+42】
敏捷:45
器用:19
知力:27
装備:赤猛牛革の馬鎧【耐久+30、耐性(冷気・熱)】
:赤猛牛革の鞍【耐久+12、】
:赤猛牛革の鐙【騎乗者投擲系スキルの精度・威力上昇(小)】
固有スキル:■■■■ ■■■■
スキル:【疾走Lv4】【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】【運搬(極)】【水上疾走Lv1】
◆契約◆
名前:ネギ坊
種族:瘉楽草[★★☆☆☆]
属性:植物
契約:スプラ(小人族)
Lv:1
HP:10
MP:10
筋力:1
耐久:1
敏捷:0
器用:1
知力:5
装備:【毒毒毒草】
:【爆炎草】
:【氷華草】
固有スキル:【超再生】【分蘖】
スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】
分蘖体:ネギ丸【月影霊草】
《不動産》
畑(中規模)
農屋(EX)
≪雇用≫
エリゼ
ゼン
ミクリ




