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第145話 薬房籠り

「ミーナ、配達クエストしない?」

「配達?」


 マジョリカさん経由で回ってきたメアリー領主夫人の配達クエスト。ミーナに斡旋を持ちかけてみる。


「領主夫人のメアリーさんが配達員を探してるらしいんだけど。ミーナならすぐできちゃうでしょ?」

「まあ、できるけど…」


「メアリーさんと仲良くなれば領主館の食事会に呼ばれたりするかもよ」

「やりましょうとも」


 うん、見事に釣れたな。領主夫人と言ってもこの街の実質的な最有力者だからな(太皇太后さまは別として)。ミーナも関係を持っておいた方がいいだろうし。ここは斡旋の一手だ。


ピンポーン

『クエスト<始まりの街領主夫人メアリーの配達依頼>を受けました』


ピンポーン

『クエスト<始まりの街領主夫人メアリーの配達依頼>をプレイヤー・ミーナに斡旋しました。クエスト完了後、報酬の20%を得ます』


「スプラ、あんたまた珍しいことするもんだね。言っとくけどスプラを信頼して頼んだ仕事だからね。それを他に回すんだから何かあればあんたの信頼にも関わるよ。そこだけは注意しな」

「え?あ、はい」


 あれ、そうなの? クエスト失敗したら俺も責任負うってこと? そんな事書いてあったっけ? チョイっと…書いてねえじゃねえかよ。マジョリカさん教えてくれなかったらヤバかったんじゃね? レイス、そういうとこだぞ!


「ところで、これであんたは手が空いてるってことだね?」

「…はい?」

「じゃあ、ポーション作りを頼めるかい。【創薬】持ってるあんたになら任せられるからね」

「…イエス、マム」


 マジョリカさんの頼み=太皇太后様ビッグマムの頼み。断れるはずもなく俺は薬房へと足を進める。


「えっと、なんですかこれ」

「何ってブルーゼリーとブルーゼラチンだよ」


「はい、それは見たら分かりますけど、量が…」

「メアリーから余ってしょうがないからって押し付けられたんだよ。配達と一緒にね」


「もしかして、さっきの依頼の報酬って…」

「そんなの…コレに決まってるじゃないか」


 マジョリカさんが目を逸らしながら答える。さてはこの人敢えて報酬言わなかったな。


「じゃ、これを全て下処理しておいてくれるかい。鍋は3つ全部使っていいからね。じゃ、頼むよ」

「え、鍋? 使う?」


「おや、あんた地道な作業は嫌だとでも言うのかい? マジョリカの愛弟子ともあろう者が?」

「いえ、滅相もないであります!」


 レシピに頼らずにやれと。レシピと何か違うのか? ふむ、分からん。分からんが面倒くさいことこの上ないな。


「なんか面倒くさいって顔してるね。今日のところはこれだけやったら終わりだ。配達しろとは言わないから頑張んな」

「え、今日のところは?」

「明日は薬草の仕分けと調合だ。薬草もやたらと余ってるみたいでね。明朝には届くよ」

「…イエス、マム」



ピンポーン

『クエスト<薬屋マジョリカの手伝い2>を受けました』



 これは薬屋に来たのは間違いだったかもしれんな。マークスさんの方が進められん。まずいな…。



ピンポーン

『特定行動により【熟練下処理】を習得しました。【下処理】が【熟練下処理】に統合されました』



ピンポーン

『特定行動により【火加減の極み】を習得しました。【火加減】が【火加減の極み】に統合されました』



ピンポーン

『特定行動により【匠の匙加減】を習得しました。【匙加減】が【匠の匙加減】に統合されました』



ピンポーン

『<薬屋マジョリカの手伝い2>を完了しました。報酬として【ブルー溶液】品質6×300、【ブルー溶液】品質7×300、【ブルー溶液】品質8×200を得ました。クエスト内行動により【ルーティンワークLv1】を習得しました』



 かれこれ2時間半、ひたすらプルーゼリーを鍋に敷き詰め、火を見続け、溶液を計っては容器に入れていたら色々とスキル覚えた。


【熟練の下処理】

 たかが下処理、されど下処理。熟練の手にかかれば素材は喜び輝く。

 品質+1


【火加減の極み】

 火を使用する工程には全て最適な火加減がある。極める者はその最適を見極める。

 生産時、火力自動最適化。


【匠の匙加減】

 匠はその目で最適量を読み、その手で最適量を量り取る。

 最適量を自動計量する。


【ルーティンワークLv1】

 反復行動により、身体強化スキルを習得するしやすくなる。


 上3つは【下処理】【火加減】【匙加減】の上位互換のようだ。【熟練の下処理】に関しては素材劣化を防ぐどころか品質アップ、【火加減の極み】に関しては火をつければ自動で最適な火に調節され、【匠の匙加減】に至っては素材の最適な量を自動で測り取ってくれるという超便利機能だった。


 そしてクエスト完了時の確定習得では【ルーティンワーク】。確か初期職業の作業員が習得してるスキルだったはず。ただ…


「身体強化スキルって、ステータス値何%アップとかだよな。食事セットバフみたいな…ってことは俺、意味ねえじゃん。100%アップでも+1だし」

『ゆらゆら…』


 ステータスが俺と同じ枠のネギ坊からも同意の意志が伝わってくる。


「ま、初期スキルだしそんなものだよな」


 とりあえず、俺のストレージに入り切らない【プルー溶液】は全てリオンレージに入れていく。すると呆気なく全部入ってしまったので、「それなら」ということで、俺のストレージの【プルー溶液】も全部リオンレージ行きとなった。いったいどこまで入るのか…。今度湖の水でも入れてみるか?


『フンス?』

「ん? 何でもないよ」


 やっぱり止めておこう。碌なことにならん気がする。


「じゃあ、ミーナが帰ってくるまでポーション作りしとこうか」

『ゆらゆら♪』


「じゃあ、葉っぱ全部ください」

『ゆら…?』


「聖水すぐにあげるからさ」

『…ゆら』

 

 もう好きにして状態のネギ坊から葉っぱを8枚頂戴する。で、裸一貫になったネギ坊に聖水をかけてしばらくリオンと窓際で日向ぼっこしてもらう。


 そのうちに俺はあれやこれやとポーションを作る。


 まずは治癒草をゴリゴリして

→【HPポーション】品質10×15


 次に癒楽草をゴリゴリして

→【上級MPポーション】品質10×4


 上級MPポーションに爆炎草を浸して

→【爆裂ポーション】品質9×1


 上級MPポーションに氷華草を浸して

→【凍結ポーション】品質9×1


 癒楽草を【火加減の極み】で燃やして【匠の匙加減】で聖水を加えながらゴリゴリして【熟練下処理】効果でできた【癒楽液肥】品質10に【毒毒毒草】を加えて

→【絶滅除草剤】品質8×1



ピンポーン

『特定行動により【創薬Lv5】のレベルが上がりました』



 ってことで、いろいろ完成した。因みに 【爆裂ポーション】【凍結ポーション】がなぜダーツじゃないかというと、完成形のダーツには素材付加できなかったのだ。【リサイクル武具】がなくなった事で思ったより不便になった。


 ただ悪いことばかりじゃない。なぜかと言うと。



【爆裂ポーション】

 辺り一帯に火が燃え広がらせる。


【氷結ポーション】

 辺り一帯を凍らせる。



 ダーツだとあくまで単体攻撃だったが、ポーションだと範囲攻撃っぽいのだ。ダーツが消耗品なだけに範囲攻撃の手段を得たのはかなり嬉しい。で、極めつけはこれ。


【絶滅除草剤】

 使うな危険! 辺り一帯を荒れ地に変える。


 流石にこれは俺でも分かる。こんなもん持ってるだけで牢獄行きだ。ネギ坊がリオンレージに入れることさえ嫌がるほど危険物。俺のストレージに眠らせるしかない。いつかまた死に戻るその時までさらば。



ピンポーン

『<始まりの街領主夫人メアリーの配達依頼>が完了しました。報酬の20%を受け取ります。【魔好香】×1を取得しました』


「ただいま」

「どあっ」


 ピンポンさんのアナウンスが終わると同時に目の前に現れるミーナ。それにびっくりして【絶滅除草剤】を落としそうになった。今、一瞬FGS終了場面が見えた気がしたんだが。レイスが死にそうになりながら走り回ってる姿も。


「終わったよ。すっごい綺麗な人だった。で、すっごい人使いが荒かった。けどすっごいいい人だった。あれは上に立つ人だわ、気分よく仕事できた、うん」

「あ、そう。よかったね…お疲れさん」


 まあ、何はともあれメアリーさんとの関係ができたようでよかったです。


「で、これもらってきた」


 【魔好香】×4


 …えっと、さっきのアナウンスもだけどさ。【魔好香】ってギルドからしか貰えなくなったんじゃなかったっけ? あれ?



❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


こらこらこらーー!

MJ、そんなスキル小僧に習得させたら…


ほらぁーーもーーーーっ!!

早速、最終兵器作ってんじゃん!


くそ、ZかYR1 がそばにいたら止めただろうに。

小僧に一人で生産させちゃだめだって、マジで!



で、おい!

さっそく【魔好香】の裏取引始まってるじゃねえかよ!

どうなってんだ!!


――――――――――――――

◇達成したこと◇

・メアリーからの依頼をミーナに斡旋する。

・マジョリカから次の下処理の手伝いを言いつかる。

・習得:【熟練の下処理】【火加減の極み】【匠の匙加減】【ルーティンワークLv1】【創薬Lv6】

・消失:【下処理】【火加減】【匙加減】

・作成:【HPポーション】×10、【上級MPポーション】×4【爆裂ポーション】×1【凍結ポーション】×1【絶滅除草剤】×1

・取得:【魔好香】



◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:リオン[★☆☆☆☆☆]

 肩書:なし

 職業:なし

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:1

 器用:1

 知力:1

 装備:男の隠れ家的オーバーオールセット

 :勘違い男の品質ダウンジャケット

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv7】【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv10】【調合Lv10】【調薬Lv10】【創薬Lv6】new!【依頼収集】【料理Lv8】【寸劇Lv1】【鍛冶Lv4】【遠見】【念和】【土いじり】【石工Lv2】【よく見る】【乾燥】【雄叫び】【熟練の下処理】new!【火加減の極み】new!【匠の匙加減】new!【ルーティンワークLv1】new!

 所持金:約1000万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]



◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

<蜥蜴の尻尾亭への定期納品>

●特殊クエスト

<シークレットクエスト:武器屋マークスの困り事>

〇進行中クエスト:

<眷属??の絆>



◆星獣◆

 名前:リオン

 種族:星獣[★☆☆☆☆☆]

 契約:小人族スプラ

 Lv:5

 HP:160

 MP:220

 筋力:20

 耐久:18【+42】

 敏捷:45

 器用:19

 知力:27

 装備:赤猛牛革の馬鎧【耐久+30、耐性(冷気・熱)】

  :赤猛牛革の鞍【耐久+12】

  :赤猛牛革の鐙【騎乗者投擲系スキルの精度・威力上昇(小)】

 固有スキル:■■■■ ■■■■

 スキル:【疾走Lv4】【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】【運搬(極)】【水上疾走Lv1】



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★★☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【氷華草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】

 分蘖体:ネギ丸【月影霊草】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ

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