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第144話 10日目 心の切り替えには制作が一番

 10日目ログイン。



 ログインするとお知らせが届いていた。


「イベント? この前終わったばっかなのに?」


 明日から始まるイベントの案内だった。一昔前のソシャゲのような連続イベント。重課金プレイヤーを飽きさせないためにシステム化された本編と関係のない連続イベントを彷彿とさせる。でも、FGSってまだまだ新鮮な要素ばかりなのにそんなにイベント連発する必要あるか? それにアカウント購入による先払い制だ。湯水のごとく金を使ってくれる課金者など存在せんのだが?


「そんなにイベントやりたいもんかね」


 今日、ミーナは授業で午後からのログイン。時間はあるし先にササっと確認だけしておくか。ふむ。




「うん、最悪だな。誰が好き好んで見ず知らずのプレイヤーと一緒に過ごさにゃならんのだ。運営ってよくこういう独りよがりなイベントしがちだよな。ブツブツ」


 朝から気分を害してしまった。こういう時は癒やしを求めて畑に出る。



「おはようございます、皆さん」

「ああ、おはよう」

「オッハー」

「おはようございます、スプラさん」


 いつも通りの挨拶で始まる。うん、このいつも通りの感じが気持ちを落ち着かせるな。


 挨拶をしに集まって来てくれたみんながそれぞれの持ち場へと戻っていく。


 俺はまずは屋根裏にいるネギ丸から【月影霊草】【癒楽草】を頂いて聖水をかけておく。日光は自分で日の当たる場所に移動して日向ぼっこしてくれるから楽でいい。敏捷0と1の差だな。


『ゆら?』

「いや、別に」


 多感な年頃のネギ坊に余計なことは言わないほうがいいし、思うのもやめたほうがいい。まあ、リアルでも思ってることはだいたい伝わるしな。駄目な思いは頭から追い出すに限る。


「スプラさん、いいお知らせがありますぞ。一昨日種を蒔いた場所ですが、かの肥料のおかげで今日にも収穫できそうです。しかも品質も1ランク高く収穫量も1.5倍ですぞ」


「え、もう? 2日で収穫?」


「はい、元気娘ミクリ嬢のお陰です。わしの方も4日で収穫できそうですぞ」


「マジですか?」

「大マジです」


 これは凄いな。じゃあ、ミクリさんの方をギルドへの納品用にして、ゼン爺の方は一角亭と蜥蜴の尻尾亭と熊さんの満腹亭に持っていくか。で、余ったら俺が使おう。


「あ、そうだ。ゼン爺、次この種も蒔いてくれる?」

「ほう、これは【黒香草の種】と【白香草の種】ですな。この地域ではなかなか栽培が難しい品種ですが、かの肥料のがあれば可能でしょう。相分かりました。このゼンが責任を持って育てましょう」


 そっか、聞いたことないと思ったら他地域の種だったか。アイザックさんも肥料を見て可能だと判断したのかもな。


「あ、あと、四人娘と三獣士はどうなったかな?」

「ええ、四人娘の方は度々分からない事を聞きに来ております。基本はできてますでの、それくらいで良いでしょう。昨日の三人の方はまだまだですかな。しかし、先の四人より可能性は感じますぞ。特にシベリアンハスキーのあの者は教え甲斐がありますわい」


 へえ、シベリアンハスキーだとレオ君が。なんだ、何もできないとか言ってたけどできるんじゃん。


「今日も正午まではここで教えることになっております。じきに来るかと」

「そっか、じゃあよろしくね。あと、ジュース作っとくからあの三人にも飲ませてあげてくれる?」

「ほう、それは良いですな。承知しました」


 さて、じゃあジュースだけ作ったらピエロダーツでも作るかな。



ピンポーン

『特定行動により【料理Lv7】のレベルが上がりました』



「じゃ、始めます」

『ゆら』

『フンス』


「鉄」

『フンス』


「羽根」

『ゆら』


「汗」

『ゆら』


「薬」

『フンス』


「バイタル」

『ゆらゆら』


「完成、お疲れ様でした」

『ゆらゆら♪』

『フンスフンス♪』



ピンポーン

『特定行動により【鍛冶Lv3】のレベルが上がりました』



【悩める道化師のトルピード】6./6×103

【超除草ダーツ】1/1×28

【ジェットダーツ】1/1×1


「なにか…できましたな」

『ゆら』

『フンス』



【ジェットダーツ】

 特殊な羽根を利用したダーツ。特殊な魔力を帯びているため大気の影響を受けすに飛ばすことができる。


 ストレージの隅にあった【飛翔鳥ジェットバード飛翔羽ジェットフェザー】が使えたので使ってみたら出来たダーツなのだが…大気の抵抗? 何それ。空気抵抗的なやつ? ちょっと何言ってるのか分からん。



 因みにダーツ用の鉄はミーナが三獣士から巻き上げた鎧等をマークス工房の炉にぶち込んで得た鉄インゴット1kgが2個。なんかインゴット化したら1/5くらいに縮んでしまった。どうやら【リサイクル武具】がないと凄まじくロスが多いくなるらしい。【鍛冶】レベルが上がればこの辺も改善するのだろうか。


 そのできたインゴットを使って優先的に作ったのが【超除草ダーツ】。残っている【枯葉剤】を全て使って28本を作る。残りをピエロダーツに使い103本。最後にインゴットにし忘れた鎖のネックレスを使って【ジェットダーツ】となった。ジェットダーツ以外の羽根はすっごく安く売っていたのを大人買いしてあったからそれを使った。



「羽根が随分と余りましたな」

『ゆら』


「羽根といえばアレてすかな?」

『フンス?』


「とりあえずやりましょうか」

『ゆら♪』

『フンス♪』



「布」

『ゆら』


「ピッタリ君」

『フンス』


「羽根全部」

『ゆらゆら』

「フンスフンス」


「できましたな。ダウンしゃないダウンジャケット」



ピッカーン


 ぐおー、まだ名付けてないのに光ったー。目が、目がー。



ピンポーン

『称号【不断の開発者】の効果により特殊生産物が生産されました』



【勘違い男の品質ダウンジャケット】

 とある男の「鳥の羽根を使えばダウンジャケットが作れるんじゃね」との浅はかな考えによって生み出されてしまった品質0のジャケット。ダウン0%のそれはただ重いくて冷たいだけの上着と化した。



 …ただディスるために光ったのか?あん? 羽毛ダウン羽根フェザーの違いくらい知っとるわ! あと名前にダジャレはやめろ! 


 

「似合う?」

『ゆら♪』

『フンス♪』


 まあ、色々と思うところはあるが生み出してしまったからには責任を取って着てみたら着れないこともなく。


「ま、いいんじゃないかな」


 ちょっと迷ったがオーバーオールの上に羽織ることにした。今の俺の装備に品質など関係ないのだ。品質0上等。


「じゃあ、あと必要なのは…アレだな」


 北地区の露店街をうろついて買ったのは


【簡易鍛冶セット】

【簡易調合セット】


 料理セットも買おうか迷ったが、無骨石板で焼けば何でも食べれるだろうという事で買わなかった。薪も火種もあるしな。


 次はポーション作りに薬屋に行きたいんだけど…そろそろミーナがログインしてくる頃だな。機嫌損ねないように待っとく方がいいだろうな。


 待ち合わせ場所はミーナ御用達の宿屋の前。15分遅れでミーナが出てきた。「15分あったらMPポーション作れたな」とかいう思いは頭から追い出しておく。


「なんで大学の授業ってなんであんなにつまらんのかね」


 いや、遅れた詫びより先に愚痴かよ。ま、確かにつまらん授業もあったけど。熱意を持って講義してくれた人もいたぞ。


「本職が研究員だからな。一般教養を教えるのは向いてない人もいるんだろう。せめて自分の研究分野の突っ込んだ講義をさせてあげたらもっと熱が入るだろうに」

「じゃあ、一般教養なんて塾の講師雇ったらいいのにね」

「色々と大人の事情があるんだろ」

「研究と教授は分けるべきよ、絶対」


 ミーナの愚痴に付き合いながら一緒にマークス工房に戻る。途中で羽根も大人買いして。戻った理由? 勿論ミーナの品質ダウンジャケットを作るためだ。色違いの。愚痴の合間に頼まれてしまったのだ。


 そして今度は薬屋に行く。ミーナは一角亭へ行こうとしていたが、一角亭はディナーだ。まずは薬屋。



「スプラです」

「おや、スプラかい。丁度良かった。少し手伝ってくれないかい」


 薬屋でマジョリカさんを呼んだらいきなり頼み事をされた。なんか愛弟子になってから多くなってきてるよな。


「何をお手伝いしたらいいですか?」

「まずは、メアリーが配達依頼を沢山抱えててね。それを手伝ってやってほしいんだ。スプラは得意だろ?」

「あ、ああ、はい…」


 配達か。もうレベル10なんだよな。【広範囲収集】には依頼の連鎖じゃないと条件満たさないしな。それにポーションも作りたいし…。でも、メアリーさんが困ってるなら助けたい…うーん…あ。


「ミーナ、配達クエストしない?」

「配達?」



❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


はっは、勘違い男ってか。

担当よくわかってるな。

もしかして俺より小僧の事見てたりな。


…え、そんな暇な部署あるのか?

まさかある訳ねえよな?



「先輩、これどうすっすか? なんか管理AI(マザーズ)で流行り出してるんすけど」

「おま、それオーバーオールじゃねえかよ。海賊着はどうした?」


「なんかこっちのほうがウケがいいんですよ、女性陣に」

「バッカヤロー、さっさと着替えて来い!」


「なんすか、ちゃんと先輩の分も用意してますって」

「いいから行ってこーい!」


…はあ、はあ、部下なんか持つもんじゃねえな。くっそ。



――――――――――――――

◇達成したこと◇

・イベント案内をチラ読みして気分を害する。

・ゼン爺に【黒香草の種】【白香草の種】を渡す。

・習得:【料理Lv8】【鍛冶Lv4】

・制作:【悩める道化師のトルピード】6./6×103、【超除草ダーツ】1/1×20、【ジェットダーツ】1/1×1、【勘違い男の品質ダウンジャケット】

・ミーナの愚痴に付き合う。

・マジョリカから手伝いを頼まれ、ミーナに振ることを企てる。



◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:リオン[★☆☆☆☆☆]

 肩書:なし

 職業:なし

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:1

 器用:1

 知力:1

 装備:男の隠れ家的オーバーオールセット

 :勘違い男の品質ダウンジャケットnew!

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv7】【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv10】【調合Lv10】【調薬Lv10】【匙加減】【火加減】【下処理】【創薬Lv4】【依頼収集】【料理Lv8】new!【寸劇Lv1】【鍛冶Lv4】new!【遠見】【念和】【土いじり】【石工Lv2】【よく見る】【乾燥】【雄叫び】

 所持金:約1000万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]



◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

<蜥蜴の尻尾亭への定期納品>

●特殊クエスト

<シークレットクエスト:武器屋マークスの困り事>

〇進行中クエスト:

<眷属??の絆>



◆星獣◆

 名前:リオン

 種族:星獣[★☆☆☆☆☆]

 契約:小人族スプラ

 Lv:5

 HP:160

 MP:220

 筋力:20

 耐久:18【+42】

 敏捷:45

 器用:19

 知力:27

 装備:赤猛牛革の馬鎧【耐久+30、耐性(冷気・熱)】

  :赤猛牛革の鞍【耐久+12】

  :赤猛牛革の鐙【騎乗者投擲系スキルの精度・威力上昇(小)】

 固有スキル:■■■■ ■■■■

 スキル:【疾走Lv4】【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】【運搬(極)】【水上疾走Lv1】



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★★☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【氷華草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】

 分蘖体:ネギ丸【月影霊草】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ



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