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第138話 食肉と秘密

ピンポーン

『パーティーメンバー「ミーナ」が【食肉商人】に転職しました』



 はい? 食肉商人? 


「じゃあ、姉ちゃん、頼むな」

「はい!」


 なんか二人で話がまとまったらしい。固い握手をして何かを確かめ合っている。で、食肉商人ってなんぞ? チョイチョイ。



【食肉商人】

 食肉を仕入れ卸販売をする商人。取引経験のある街の肉の卸相場を知ることができる。

 食肉をドロップするモンスターを見極める【眼力(肉)】のスキルを持つ。

 肉系ドロップ数量上昇(中)

 


【眼力(肉)】

 肉に関する情報を得る力。その目にはモンスターの姿が肉として映るだろう。



「あの、ミーナさん?」

「へへ、転職しちゃった」


「肉…ですか?」

「うん、これぞ天職への転職」


「ダジャレです?」

「肉を求めて旅をする、それがわたしの使命」



 ミーナさん、なんかキャラ壊れてきてない? もしかして食いしん坊キャラに全振りするつもりか?



「ちなみにこの辺じゃ南の平原でカエルからカエル肉が獲れる。南西に行くと土竜鮫って厄介な奴がいるがそいつが肉を落とすな。東の森はなくて、西の荒れ地じゃリザードドッグが厄介だが、たまにいる砂漠鳥がうまい肉を落とす。北は今、モンスターが狂暴化してるからどうだろうな。行ってみないとわからんってところだ」



 なんか熊店長が肉のドロップ情報を詳しく教えてくれた。これ、職業の役得ってやつか。カエル肉は知ってる。土竜鮫もゴルバさんが一刀両断にしてた。砂漠鳥は知らんな。ってか、リザードドッグに再戦するのも悪くない。もちろん装備整えてからだけど。あとは北はわからないっと…。



「ごちそうさまでしたー」

「ああ、腹減ったらいつでも来いよ」


 弁当をしこたま買い込んで満腹亭を出る。熊店長の笑顔に元気をもらって。



パッパカ パッパカ



 次に向かうのは武器屋だ。肉を求めて旅をするにも如何せん装備がオーバーオールセットだけ。紙耐久にも程があるのだ。防御チートのミーナはいいとしても、俺はいかん。何とかピエロ装備的な物を買う必要があるのだ。金ならある。なんならあのピエロ装備を定価で買ってもいい。



「こんにちはー」

「おう、スプラか。ご活躍だったみたいじゃないか」


 マークスさんがいい笑顔を向けてくれる。ステラさんと上手くいってるのかな。マークスさんの笑顔もホッとするんだよな。



「マークスさん、実は装備を無くしちゃいまして…」

「おっと、そうみたいだな。おしゃれな格好してるもんな」


 おしゃれか。マークスさんにそう言ってもらえると素直に嬉しいな。



「なので前みたいな装備があれば購入したいんですけど」

「ああ、あのピエロセットか。すまんがありゃ無理だ。素材が特殊でな。なかなか市場に出ないんだ」


「【飛蛇の軽羽】と【仙蜘蛛の糸】ですよね」

「そうそう、サラッと一度しか話してねえのに良く覚えてんな。その2つがなかなか手に入らねえ」


 素材にして使ってたからとは口が裂けても言えんな。でもそっか、素材がないんじゃどうしようもないよな。



「スプラ、なんて言ってるの?」


 あ、この会話はミーナには聞こえてなかったのか。その辺の線引きってわからんよな。



「ピエロ装備の素材がなくて作れないんだって」


「そっか、じゃあ、その素材探しに行く? そこでも肉獲れるかもしれないからさ、もし場所分かるなら行ってみようよ」


 あ、そうか、自分で獲りに行くのか。それは盲点だった。チート猫姫様がいれば何とかなるかもだよな。



「マークスさん、ちなみに飛蛇と仙蜘蛛ってどこにいるんですか?」

「お、場所か? 教えるのはいいが今のその装備で向かうのは無茶だぞ」


 はい、それはとってもよくわかっています。ただうちにはチートが1匹いるので。



「北の山地の山頂付近に生息しているはずだ。だが、どっちも強敵だぞ。装備を整えてから行っても相当に危険だ。無理すんな」


 そっか、北かあ。北はなあ、モンスターが狂暴化してるって話だしな。ゴルバさんが確か中腹までしか行けないとか言ってた覚えがあるし、今は無理か…。



「ま、と言いたいところだが、実は俺も困ってるんだ…」


 困ってる? 困ってるのか。なんか万事屋さんのシークレットクエスト思い出すな。


「困りごとですか?」

「まあ…な」


 なんだ? 言いたくないのか?



「俺でも力になれれば…」

「いや、大丈夫だ。なんとかするさ」


 そっか、じゃあ、別に無理に聞くこともないか。



「ねえ、スプラ、ネギちゃんのこのお手々なんでこんな色してんの?」

「ん? 手? どわー、それダメだって。離して、すぐに離して、早く」


「え、う、うん」


 ミーナがこともあろうにリオンのたてがみの中のネギ坊から毒毒毒草を摘まみ上げていた。会話聞こえないからってなんてことしてんだ。心臓に悪いから止めてくれ。


 で、なんの話だっけ? あ、そうそう困りごとだっけ。まあ、無理に聞かなくても話せる時が来たら話してくれるだろうし。



「じゃ、マークスさん、困りごとですけど、もし俺でも役に立てるならいつでも言ってくださいね」


 じゃ、とりあえず畑でも行ってみるかな。四人娘の様子も気になるし。


「そうか、スプラがそこまで言ってくれるなら…ちょっとだけ時間いいか?」



ピンポーン

『<シークレットクエスト:武器屋マークスの困り事>が発生しました。受けますか?』



 え、これってシークレットクエストだったのか? てか、マークスさんシークレットクエスト作成権限持ってたのか。どうしようかな。タンザさんの時みたいな時間のかかるクエストだとな。


 マークスさんをチラッと見ると、空中一点を見つめてぼーっとしている。これは相当厄介な問題かもしれんな。ま、でもマークスさんを困らせたままで放っておくことなんて俺にできる訳ないけど。


「俺でよかったらお話聞かせてください」


「そうか、すまんな。じゃあ…」




「なるほど、それは困りますよね」

「そうなんだ。このままじゃまた店の中が寂しくなっちまう」


 マークスさんが話してくれた内容はこんな感じだ。


 原因は第二陣のログインが始まった事。第二陣プレイヤー用の物資の確保が困難だという事だ。本来であれば、第二陣が武具を買い替える際に初期装備を売却するためその資材を使って次ランクの武具の製作に取り掛かることができるはずだった。でも、第二陣の防具がオーバーオールやピエロ服ばかりだったことで鉄を筆頭に鉱物資源が圧倒的に不足してしまっているとのこと。それにゴブリン戦の後、近辺のモンスターが活発化していて第二陣の武具のアップデート時期が早まる可能性が高い。つまりは近々鉄不足が深刻化する見込みらしい。


 要するに原因が俺だったということが判明した訳だ。相談受けといてよかった、マジで。



「で、俺は鉱山のある北の街へ行くルートの開拓をするってことでいいんですね?」


「ああ、スプラにこんなことを頼むのは心苦しいんだが。山頂エリアに入る直前に抜け穴があるはずなんだ。だがモンスターが活性化してる現状、どこに危険があるかは全く分からん」


「わかりました。できる限りやってみますね」

「そうか、それは助かる。俺はここで新しい異人用に武具を作らないといけなくてな。ああ、そうだ、これを持っていってくれ。その星獣用に作っておいたんだ」


 そう言ってマークスさんはカウンターの下から赤茶色のものを出してくれる。



【赤猛牛革の馬鎧】

 耐久+30

 熱耐性付与


【赤猛牛革の鞍】

 耐久+12


【赤猛牛革の鐙】

 騎乗者投擲系スキルの精度・威力上昇(小)



 これはすごい。リオンの耐久アップはめっちゃ嬉しいぞ



「たがくれぐれも無理はするな。一応、これが昔使われていた地図だ。今はどうなってるかわからんからな」


 リオン装備と古臭い地図を貰ってホクホクしながら店を出る。




❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


こらこらこら!

シークレットクエストを普通のクエストみたく受けてるんじゃねえ!


…こりゃ小僧の奴、シークレットクエストの価値なんてこれっぽっちもわかってねえな。

ってか、【依頼収集】のバイタル変化基準ってこんな事でクリアされていいのか?

この際、仕様改善提案書いとくか。クソ面倒くせえけど。

あー、仕事が増える〜。


――――――――――――――

◇達成したこと◇

・ミーナの転職情報を確認する。

・近隣の肉情報を得る。

・弁当を買い込む。

・ピエロ装備の素材がない事と素材のありかを知る。

・受注:<シークレットクエスト:武器屋マークスの困り事>

・取得:リオン装備、北の山地の古い地図



◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:リオン[★☆☆☆☆☆]

 肩書:なし

 職業:なし

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:1

 器用:1

 知力:1

 装備:男の隠れ家的オーバーオールセット

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv4】【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv10】【調合Lv10】【調薬Lv10】【匙加減】【火加減】【下処理】【創薬Lv4】【依頼収集】【料理Lv5】【寸劇Lv1】【鍛冶Lv2】【遠見】【念和】【土いじり】【石工Lv2】【よく見る】【乾燥】【雄叫び】

 所持金:約1000万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]



◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

<蜥蜴の尻尾亭への定期納品>

●特殊クエスト

<シークレットクエスト:武器屋マークスの困り事>new!

〇進行中クエスト:

<眷属??の絆>



◆星獣◆

 名前:リオン

 種族:星獣[★☆☆☆☆☆]

 契約:小人族スプラ

 Lv:5

 HP:160

 MP:220

 筋力:20

 耐久:18 【+42】new!

 敏捷:45

 器用:19

 知力:27

 装備:赤猛牛革の馬鎧【耐久+30、耐性(冷気・熱)】new!

  :赤猛牛革の鞍【耐久+12】new!

  :赤猛牛革の鐙【騎乗者投擲系スキルの精度・威力上昇(小)】new!

 固有スキル:■■■■ ■■■■

 スキル:【疾走Lv3】【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】【運搬(極)】【水上疾走Lv1】



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★★☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【氷華草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】

 分蘖体:ネギ丸【月影霊草】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ


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