第137話 肉、二陣、肉
ミーナのスキルにこの先に習得するはずのスキルが入ってしまっていましたので、削除しました。失礼しました。20250423
「これ凄いよ、スプラ」
ボス鹿がふっ飛ばされて、すぐに目の前に現れるミーナさん。その背後にはご機嫌に揺れる尻尾が2本。どうした俺の目、石板作成の光でやられたか?
「覚醒してみたんだ。耐久に振って【一撃】したらあんな感じ」
そういうミーナが見る先では大木にめり込んだボス鹿がポリゴンに変わっている。
「あ、肉だ」
それを見てすぐに取りに行くミーナ。戻ってきて見せてきたのは
【森鹿ヒレ肉】
年に一度の王宮における開国記念式典の晩餐会で上級貴族のみに少量振舞われる超高級肉。
「おお、超高級肉だって、スプラ」
「王宮御用達かよ、マジか」
「これは大事に取っとこうかな」
「じゃあ、ミーナの分は俺が預かろうか?」
「んー、リオンちゃんがいい」
「…さよですか」
ミーナのよくわからん拘りに応じながらリオンのストレージにヒレ肉をしまう。で、そのついでにさっきの戦闘でレベルが上がったミーナのステータスも確認してしまう。なんかレベルが上がるって新鮮だよな。
名前:ミーナ
種族:魔獣三尾猫
星獣:なし
肩書:なし
職業:なし
属性:なし
Lv:7
HP:20
MP:210
筋力:2
耐久:2
敏捷:193
器用:2
知力:2
装備:路地裏工房のオーバーオールセット
固有スキル:【マジ舞餌】
スキル:【連撃】【一撃】【結界】【回避】
…
おお、レベル7って。一気に6も上がったのかよ。マジか…、あ、でもアレだな。ステータス上がってるのってMPと敏捷だけか。両方とも60ずつ増えてるってことは1レベルで10上昇ってことでいいのかな。ってか、敏捷値エグい。
パッパカ パッパカ
超激レア肉をリオンレージにしまって森を抜ける。そして街道をひた走っていると前方からプレイヤーの一団がやってきた。某外国人ツアー観光客かってくらいデカい団体だ。
「どうする? 迂回しよっか?」
「え、なんで? これ以上燃費悪くしたくないな」
ミーナさん、燃費が悪いのは、満腹なのに「ついでにもう1個」とか言って食い続けてるからでは?
「…」
「人を食いしん坊みたいに言わないでくれる?」
いや、言ってない。思ってただけだ。ってか心を読むんじゃない。
しかし俺たちがそんなやり取りをしてる間にも観光団体は街道を押し進んでいるわけで。
「くっそー、俺もゴブリンエンペラーとやりたかったぜー」
「どんだけデカい斧なんかね」
「鎌倉大仏よりデカいらしいな」
「ってかさ、初期装備にダーツないってフザケてるよな」
「騎士さんが使えないから止めとけってさ」
どうやら二陣プレイヤーだったらしい。そして本当に観光団体だったらしい。大斧はもうないんだが伝えたほうがいいのか? お、なんかピエロ服とオーバーオールがいっぱいいる。なんならオーバーオール式のピエロ服ってのもチラホラいるぞ。
もしかして、これ、必然的に絡まれるやつでは?
…ここは【俺は関係者ではありません】を発動しておくか。
「こんちはー」
「あ、はい、こんにちは」
すれ違いざまに挨拶してくる二陣たち。なんだ? ハイキングとか登山とかと勘違いしてるのか? ここは噴水送りと隣り合わせの魔境だぞ。望遠鏡で見ただけでボス戦が始まるような危険エリアなんだぞ。
心の中だけで一陣としてアドバイスを送っておく。
「そのオーバーオールいいっすね、オリジナルっぽいっす」
「…そうですかね、はは」
いかんな。リオン、ちょっとスピード上げようか。
「あ、ポニーじゃん、って事は、ピエロ君じゃね?」
「あ、今、一瞬猫姫も見えた」
猫姫? それなんぞ? あと、俺はピエロ君ではない。今はやんちゃさと大人の魅力がどうこうなってる小人君だ。…ってか、ポニーとピエロがセットになってるのはなぜだ? ピエロ姿でリオンに乗ったことなんてないぞ。
「ポーニーとピエロが掲示板で広まってるみたい」
一瞬隣に現れてボソっていく猫姫ことミーナさん。迂回を拒んだくせに燃費の悪いことしてるんだが? ってか、どこで掲示板読んでたんだよ。俺も連れてけ。
「ピエロ君、プロモ見ました!」
「ダーツの投げ方教えてよ!」
「お前を置いて行けっかよ!」
…なんか、小馬鹿にしてるやついるよな。
「ごめんなさい、ちょっと急いでるんで」
これ、もしかして囲まれたりするんじゃね? すっごい嫌なんだけど…。
…あれ?
俺が急いでいることを告げるとプレイヤーの一団が左右に分かれる。確か聖書でこういうシチュエーションがあったような? 海が割れる場面。
街道の中心に一本通った人垣の細道をパッパカパッパカと走り抜ける。
「頑張ってください」
「今度ご一緒させてください! 気が向いたらでいいんで」
「ポニーちゃんかわいい」
「猫姫ラブラブドキューン!」
おお、なんかミーナ派が濃いぞ。猫になってもかよ。ってどんなオーラ出してんだ、あの猫。
パッパカ パッパカ
「いやあ、ビビったな」
「なんかスプラに迷惑かけるとNPCから相手にされなくなっちゃうってことが周知されてるみたい」
「そっか、その辺はちょっとわからんけど、まあ、絡まれなくて済むなら何でもいっか」
「え、いいの? 常に二陣の目がスプラに注がれるって事よ。スプラ、コミュ障でしょ?」
はい、コミュ障ですが。ってか、なぜ俺がコミュ障って事を知ってるんだ。俺言ったことないよな?
「掲示板でピエロ君取扱説明書ってのがあったわよ」
「…?」
はい? 俺はいつの間に家電になった?
「コミュ障だから過度な干渉はダメとか、適度な距離が必要とか」
いや、その通りなんだが。なんだが…なんかものすっごくモヤモヤするぞ。
「まあ、注目されるくらいならいいかもね。しかも向こうから率先して気を遣ってくれるなんてありがたいかも?」
いーや、よく考えたら俺の秘密の花園が知らん間に周りのビルから覗かれてたって感じだぞ。恥ずかしいにも程があるだろ。
「まあまあ、ほら街見えてきたよ。満腹亭で熊店長が待ってるから。行こっ」
「…」
パッパカ パッパカ
…
…
「おいおい、これ森大鹿の肉じゃないか。どうしたんだ?」
「南の森で獲ってきたんです」
「獲ってきたってお前…」
腹ペコ熊の熊店長さんがミーナから渡された【森大鹿モモ肉】と【森大鹿ロース肉】を見てすごく驚いてる。
「よく無事で帰ってきたな」
「ええ、まあ」
「逃げ足は速いんで」
「あ?」
…すみません。調子に乗りました。ミーナの殺気にはとことん弱い俺。なぜだ?
「でも、本当に貰っちゃってもいいのかい? こんな高級肉を」
「はい、ご迷惑おかけしたんで」
「そうかい、じゃあ、遠慮なく。で、今日も食ってくんだろ?」
「あ、はい。できれば」
「おっし、ならそこで座ってな。すぐに作るから」
カウンター席で出される料理をがつがつと食っていく猫と小人。すでに満腹状態なのに出された料理は食べないと失礼という共通意識を芽生えさせながらすべて平らげる。
「いやあ、姉ちゃんたちいい食いっぷりだな。見てて気持ちがいいぜ。こんないい顔で食うやつに悪い奴はいねえ。よし、ここはひとつ姉ちゃんに頼んでみるか」
急に威勢よく話し始めた熊店長、なにかミーナと秘密の話をし始めた。俺にはなんも聞こえん。なんだこれ?
ピンポーン
『パーティーメンバー「ミーナ」が【食肉商人】に転職しました』
は? 食肉商人?
❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖
あーあ、負け確ボスに勝っちまいやがった。
しかもヒレ肉なんてレアドロップじゃねえかよ。
売るなよ。絶対に売るなよ。
…いや、売れって意味じゃねえぞ。本当に売るなよ!
――――――――――――――
◇達成したこと◇
・森鹿ヒレ肉に感動する。
・ミーナの6レベルアップに驚愕する。
・二陣団体との接触で自分が家電扱いされてることを知る。
・腹ペコ熊の満腹亭で満腹以上になる。
◆ステータス◆
名前:スプラ
種族:小人族
星獣:リオン[★☆☆☆☆☆]
肩書:なし
職業:なし
属性:なし
Lv:1
HP:10
MP:10
筋力:1
耐久:1
敏捷:1
器用:1
知力:1
装備:男の隠れ家的オーバーオールセット
固有スキル:【マジ本気】
スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv4】【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv10】【調合Lv10】【調薬Lv10】【匙加減】【火加減】【下処理】【創薬Lv3】【依頼収集】【料理Lv5】【寸劇Lv1】【鍛冶Lv2】【遠見】【念和】【土いじり】【石工Lv2】【よく見る】【乾燥】【雄叫び】
所持金:約1000万G
称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】
従魔:ネギ坊[癒楽草]
◎進行中常設クエスト:
<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>
<蜥蜴の尻尾亭への定期納品>
〇進行中クエスト:
<眷属??の絆>
◆星獣◆
名前:リオン
種族:星獣[★☆☆☆☆☆]
契約:小人族スプラ
Lv:5
HP:160
MP:220
筋力:20
耐久:18
敏捷:45
器用:19
知力:27
固有スキル:■■■■ ■■■■
スキル:【疾走Lv3】【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】【運搬(極)】【水上疾走Lv1】
◆契約◆
名前:ネギ坊
種族:瘉楽草[★★☆☆☆]
属性:植物
契約:スプラ(小人族)
Lv:1
HP:10
MP:10
筋力:1
耐久:1
敏捷:0
器用:1
知力:5
装備:【毒毒毒草】
:【爆炎草】
:【氷華草】
固有スキル:【超再生】【分蘖】
スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】
分蘖体:ネギ丸【月影霊草】
《不動産》
畑(中規模)
農屋(EX)
≪雇用≫
エリゼ
ゼン
ミクリ




