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第135話 インドア派バーベキュー

「これで焼くの?」

「はい、焼きます。うまい肉を焼きます」



 目の前にドンと置かれた石板。今からこの上でうまい肉を焼きます。メチャクチャ苦労して作ったこの石板コンロの上で。




 ミーナに散々馬鹿にされた俺は俺なりのバーベキューセットを作ることにした。


 とりあえず、肉を棒で刺して焼いたら棒が燃えるということに考えが及んだ俺は、棒以外で焼くことを考える。そして目についたのが「石」だ。小さい頃、爺ちゃん家の庭に敷いてあった黒い石に裸足で乗ったら足の裏を火傷したことを思い出したのだ。石焼き芋も石で焼くって言うしな。


 で、石を探して歩くとちょうど32型テレビくらいの平らな石が見つかった。長い方で70cmくらいのやつ。「じゃあ」と言うことで、今度はその石板を乗っけるための台を作る。


 ゴロゴロした石を集めてきて窯状に組んでいく。熱が逃げないように石の間を土で丁寧に埋めていく。ここで【土いじり】を習得。なんか馬鹿にされたようなスキル名だが、これを覚えてから土の扱いが格段にうまくなった。試しに土団子作ったらピッカピッカでまん丸なのがあっという間に出来上がった。


 そんな感じで少しだけ寄り道しながら石と土で窯的なものを作り終えたら、その上に石版を乗せる。ストレージから位置を指定して取り出せば力もいらず簡単な作業だ。で、窯に乗っけてみたら気づいてしまった。石の幅が均一じゃないのだ。これでは肉の焼け方にムラができてしまう…かもしれない。


 そこで今度は石を削る作業に入る。ここで役に立ったのがピエロダーツ。石板の側面、分厚い場所に向けて狙撃する。すると裂けるように割れる石板。何回か細かく割っていくと習得したのが【石工Lv1】。これがとっても有用だった。どこを狙えばどう割れるかが線で見えるのだ。だがその線は太い。説明ではレベルが低いことからくる誤差だとのこと。しかし、少しづつ削っていくには十分に助かった。


 で、次は薪探しだ。リオンに乗って近くの森を探索するが森は生き生きとしていて倒木もなければ枯れ木もない。ジェネラル戦での倒木は何だったというくらいに森が完全回復していた。森大鹿のお肉もいくつかゲットしながら薪になる枝でもないかと地面を探していたら【よく見る】を習得。そしたら森の中にポツンポツンと見えるようになったアイコン。落ちているものですでに拾ったことのあるものがアイコンとして表示されるようになった。


 地面のアイコンが示していたのは枯れ枝と小石。だがほとんど小石で枯れ枝はなかなか見つからない。ってことで考え方を変えることにした。「ないなら作ったらいいんじゃね?」の精神だ。


 そこで木を切ろうと思ったのだが、伐採する道具もなければ力もない。なにかないかとストレージを探って見つけたのがコレ。



【超除草剤】

 植物に用いると瞬時に枯れる。植物専用。



 畑の肥料を作った時に一つだけ真逆の効果のものができてしまって扱いに困ってたものだ。


 これを試しに木に少しかけてみると、見る見るうちに葉が茶色くなり落ち始め、幹に亀裂が入り、根元から倒れていった。ちょっと怖いくらいの効果にこれを薪として使っていいのか不安になったが、小枝を折り取ってみても特に毒とかの表記はない。ってことで、この倒木の薪仕様が決定した。加えて今後の為にもう1本分薪を確保しようと思い、2本目を枯らした際に覚えたのが【乾燥】。使うと乾燥時間が1/4になるというまあどこかで役には立つだろうスキルだった。



 そして、倒木を窯に入る大きさに割りたくて、さっき石板から割り取った尖った石を斧代わりにしようと苦心していたら【石工】のレベルが上がる。より精度を増した石加工技術で手斧を作って倒木を薪として削り取っていく。



 で、ついに倒木の薪を窯に詰め込んで準備完成。喜びと達成感にちょっとだけ叫んだら【雄叫び】を習得。相手を威嚇する効果があるらしい。俺そんなつもりで叫んでないんだが?



 こうしてできた石板窯を前に、ネギ坊から爆炎草をもらって窯の中の薪に向かって【投擲】。パンパンという爆裂音が鳴って薪に火がついた。



「じゃ、箸は弁当についてたやつを使うとして、まずは肉だけで味わってみようか」


「…なんか、アウトドアっていうかサバイバルだね」


「はは、そっか、サバイバルか。サバイバルバーベキュー窯って感じだな」



ピッカーーン



「きゃっ、何?」

「またーーー!、目、目がー」



ピンポーン

『称号【不断の開発者】の効果により特殊生産物が生産されました』



【大自然に焦がれ生きる男の無骨石板】

 己の矮小さ故に必要以上に大自然を美化した男が手探りで作り上げた遠赤焼き用の石板セット。その意外なほどの卓越した使用感は男の焦がれた心の為せるわざか。



 …色々と余計なお世話じゃ。



「じゃあ、焼きまーす」


 ジュウジュウ


「遠赤で焼くと肉汁が保たれて美味しいのよね」

「へえ、そうなんだ」


 ジュウジュウ


「オーク肉って豚肉かしらね」

「オークっていうくらいなんだから豚なんだろうな」


 ジュウジュウ


「鹿肉って初めてなんだけど」

「俺も」



ピンポーン

『特定行動により【料理Lv1】のレベルが上がりました』



 ジュウジュウ


「やっぱりロース肉がレアドロップよね」

「だろうな。見るからにうまそうだもんな」


 ジュウジュウ


 キュルルルル


「スプラお腹すいたんなら先に弁当食べたら?」

「え、それミーナじゃないの」


 ジュウジュウ


 キュルルルル


「まあ、こんな匂いしてたらお腹も空くわよね。早く焼けないかな」

「もうそろそろかもな」


 ジュウジュウ


 キュルルルル


「ガウ」


「ガウって何よ」

「ガウったらそら狼の鳴き声だろ」


 ジュウジュウ


 キュルルルル


「ガウガウ」


「逃げたほうがいいのかな」

「勿論だが、この肉と石板は惜しいな」


 ジュウジュウ


 キュルルルル


「グルルルル、ガウガウ」



ピンポーン

『特定行動により【料理Lv2】のレベルが上がりました』



「死に戻るよりはマシじゃないかな」

「それはご尤も。じゃあ、行きますか」


 ジュウジュウ


「ガルルルルルルルルル」


「っせーの」

「リオン、ダッシュ!」



 一瞬で姿を消すミーナ。俺はリオンに飛び乗りその場を離れる。後を振り向くと白馬程もあるどデカい狼が石板から肉をかき落としていた。



森林大狼フォレストグレイトウルフ

 森林の王として森林環境を守る一族。狼族の主流であり、群れることを嫌う誇り高き孤高の狼。



 …あれ? 森林狼ってマジョリカさんが言ってた狼だよな。それに説明文を読む限りじゃ、なんか前に作った【孤高狼のターバン風ヘアバンド】を彷彿とさせるんだが…


 うーん、誇り高き孤高の狼?



 走り去りながらも【遠見】を使って様子を見続ける。肉はまだストレージにたっぷりあるが、あの石板は放棄するにはもったいなさ過ぎる。破壊されなきゃいいんだが。


 見てると、器用に石版の上の肉だけを爪で引っ掛けて地面に落としている。直ぐに食べないのは猫舌だからか。猫舌狼…。ま、いいや。



 しかし、肉を熱がりながら食べてる姿からは全く誇り高さが感じられんな。しかも、人が焼いた肉を横取りするとか、卑劣極まりない。なんか腹立ってきたな。



「【狙撃】しちゃうか? 【流鏑馬】なら倒せるだろうし」



 フォレストグレイトウルフに向かってピエロダーツを構える。そして【自動照準】で狙いを固定する。 



「んじゃ、【狙… あれ? いなくなった」



『ヒヒーン』



「うわっ」


 いきなりリオンが嘶いて疾走を止める。


「どうしたリオン…げっ」



 後で姿を消した森林大狼がいつの間にか目の前で通せんぼしていた。肉汁が滴る森鹿ロース肉を咥えながら。



「ガウ」



❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


あれ?

なんでこんなところにコイツが出てくるんだ?


え、肉の匂いに惹かれてる?


おいおい小僧、その肉、FGを呼び寄せるとかどうなってんだ…。


こりゃアレに会う前にやられちゃいそうだな。


――――――――――――――

◇達成したこと◇

・製作:【大自然に焦がれ生きる男の無骨石板】

・習得:【料理Lv3】

・森林大狼と遭遇する。

・焼いた肉を取られて腹を立てて狙撃する。

・森林大狼に行く手を阻まれる。




◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:リオン[★☆☆☆☆☆]

 肩書:なし

 職業:なし

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:1

 器用:1

 知力:1

 装備:男の隠れ家的オーバーオールセット

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv4】【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv10】【調合Lv10】【調薬Lv10】【匙加減】【火加減】【下処理】【創薬Lv4】【依頼収集】【料理Lv3】new!【寸劇Lv1】【鍛冶Lv2】【遠見】【念和】【土いじり】【石工Lv2】【よく見る】【乾燥】【雄叫び】

 所持金:約1000万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]



◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

<蜥蜴の尻尾亭への定期納品>

〇進行中クエスト:

<眷属??の絆>



◆星獣◆

 名前:リオン

 種族:星獣[★☆☆☆☆☆]

 契約:小人族スプラ

 Lv:5

 HP:160

 MP:220

 筋力:20

 耐久:18

 敏捷:45

 器用:19

 知力:27

 固有スキル:■■■■ ■■■■

 スキル:【疾走Lv3】【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】【運搬(極)】【水上疾走Lv1】



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★★☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【氷華草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】

 分蘖体:ネギ丸【月影霊草】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ


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