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第132話 カムバック南の湖の森

パッパカ パッパカ 


「はいどうぞ」


パッパカ パッパカ


「はいどうぞ」


 リオンに乗って軽快に街道を走る。そして、度々弁当を受け取って姿を消す猫。


 俺がリオンに乗って【疾走】し、弁当を手にしたミーナは先に進んで俺の到着を待ちながら満腹度の回復だ。進んでいるうちに、これが一番効率がいい俺たちの移動方法だと判明したのだ。ミーナには弁当2個だけ持たせて大半は俺が持っている。ミーナの予期せぬ死に戻りに対処するためだ。


 弁当は満腹亭弁当。これがまたコスパ最高の弁当だった。味は一角亭ほど繊細ではないし、蜥蜴の尻尾亭ほどの肉のバリエーションもない。どちらかと言うと、大学近くの学生ご用達の定食屋って感じの弁当だ。バフなしでその分を満腹度の回復に全振りしたそのコスパは凄まじいとしか言えない。俺が初日に満腹亭と出会っていたら十中八九入り浸っていただろう。バイトではなく正社員を目指していた可能性すらある。


 あと、一応、武器も作ってきた。マーサさんから貰った釘と購入した羽根とでマークス工房で作ったピエロダーツだ。


 鍛冶スキルがなくなってしまったから「流石に工房なんて使えんだろうな」と思って金床に向かったんだが、なぜか作成可能リストが開きそこにポツンとピエロダーツが出てきたのだ。金床使えるかどうかも怪しかったくらいなのにこれには驚いた。


 ピエロダーツ開発者特典なのかそれともマークス工房の特権なのか、ピエロダーツ以外は作れなかったからおそらく開発者特典ってことらしい。よくわからんがラッキーだと思っておく。これで釘と羽根さえあれば、死に戻ったとしてもピエロダーツは使用可能ということになった訳だ。ま、ダーツの使用回数は10/10ではなく5/5だったけど。これは流石に鍛冶スキルが足りないだろう。


 因みに大量のダーツを作成していたら途中で【鍛冶Lv1】を習得。その後も最後の最後で【鍛冶Lv2】を習得した。



ピンポーン

『星獣リオンの【噛み付きLv1】のレベルが上がりました』



ピンポーン

『星獣リオンのレベルが上がりました』



 平原のリスをリオンが蹴散らしていると【噛み付き】のレベルアップ。そして半ばまで進んだところでリオン自身のレベルが上がる。その初めて聞く本体のレベルアップアナウンスに一瞬頭の中が真っ白になる俺。


 …レベルってこんな簡単に上がるのかよ。

 チョイチョイっと。



 名前:リオン

 種族:星獣[★☆☆☆☆☆]

 契約:小人族スプラ

 Lv:2

 HP:130(+10)

 MP:175(+15)

 筋力:14(+2)

 耐久:12(+2)

 敏捷:30(+5)

 器用:13(+2)

 知力:18(+3)

 装備:なし

 固有スキル:■■■■ ■■■■

 スキル:【疾走Lv1】【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】【運搬(極)】



 結構ステータス上がるもんなんだな。一般プレイヤーの住む世界ってこんな感じなのか。なんか改めて自分が最弱の種族なんだと思い知らされる。


 そして、リオンに騎乗しながら遠くを眺め続けること20分、再びあのスキルが登場する。



ピンポーン

『特定行動により【遠見】のスキルを習得しました』



 俺をゴブリンジェネラル戦に引きずり込んだわんぱくが過ぎるスキル【遠見】だ。【遠見】越しにモンスターを見るだけで会敵扱いになる危険なスキルだが、この先には超便利スキル【自動照準】が待っている。習得しないわけにはいかないのだ。もし、巨大スライムが出てきてくれれば、すぐに覚えられそうだが、実はあのスライムはもう現れそうにない。


 と言うのは、今朝の運営情報で、【魔好香】の入手に規制がかかったという事が発表されたのだ。魔好香の販売はもとより、譲渡も禁止。手に入れるためにはギルドを通してとっても面倒くさいクエストを頑張って完了してやっと1個手に入るだけ。で、複数同時使用が禁止された。これは全部、王都で決まった事らしい。運営が決めたんじゃないぞってことがオブラードに包んで書いてあった。



 ってことで、【自動照準】を習得するためには動き回る物を【遠見】するしかない。この平原で動き回る物で長く見られるものと言ったら…



ガァー ガァー ガァー



 空を飛んでるあの変な鳥しかない、遥か上空をたまに飛んでいく鳥がいるのだ。実は以前に森の木にも止まっているところを見たことがあるが俺が【遠見】で見た瞬間に逃げていった。今思えば、あれって会敵扱いになって逃げていったってことだったんだよな。いや、そんなんで気づけるかよ。



「じゃ、【遠見】からの【狙撃】の準備っと」


 遠見越しに狙撃の狙いをつける。が、ここではあくまで狙いを付けるだけ。狙いをつけ続けることが必要なのだ。それにこの鳥、たまにしか飛んでこないから間違って狙撃しないようにしないといけ…


ピンポーン


「うわっ、あ、しまった」


『星獣リオンの【疾走Lv1】のレベルが上がりました』



 空気を読まないピンポンさんの突撃訪問を受けて間違って狙撃してしまった。遥か上空で小さなポリゴンが見える。で、なんか小さなものが落ちてくる。


「ピンポンさん…はあ、しゃーない、リオン、あれ拾っておこうか」

『フンス♪』


パッパカ パッパカ



飛翔鳥ジェットバード飛翔羽ジェットフェザー

 大気の影響を限りなくゼロにする魔力羽根。



 えっと、拾ったのはいいが…うん、分からん。分からんものはリオンのストレージ、リオンレージだな。それよりも、ミーナ待たせてるから早く行かないと。


パッパカ パッパカ




「へえ、ここがあの映像の森かあ」


 ミーナがとっても興味深げだ。しかし、俺はそれどころではない。なぜなら…


「南の湖の森ってこんなに混んでたっけ?」


 なんか、湖の森がプレイヤーだらけなのだ。何がどうした?


「そりゃ混むに決まってるでしょ。話題沸騰のスポットだもん。スプラ自分がやった事まだ自覚してないでしょ?」


 自分でやったこと? 落ちてきた昆布に噴水送りにされた事か? って、いやいや、覚えとるわ。プロモーション映像だろ? 怖くてまだ見れてないけど。ってか、一生見るつもりはないけど。


「えっと、じゃあ猫君、どうする? 森大鹿」

「小人君、勿論、狩るしかないでしょう」


 このプレイヤーの中で狩ると? マジで言ってるのか… 尻尾が元気に揺れとる。マジだな、コレ。


「ってか、狩るの俺だよな?」

「誰が役立たずの食い逃げ猫だ、コラ」


 いや、言ってませんが? なんかこじらせてるようだが、もしかして、食い逃げしちゃったのが相当ショックだったのか? もしやいいとこの娘なのか?


「じゃ、狩ってくるわ。待ち合わせどこがいい?」

「じゃ、大斧の前」

「大斧?」


 大斧って、あれか? ジェネラルが持ってたヤバいアレか? え、まだあんの?


「スプラが倒した後、ずっと湖の横に刺さってんのよ。斧の頭の部分だけでも鎌倉大仏より大きいって。それで混んでんのよ、ここ。二陣の掲示板でも行きたい場所No1に上がってるし。明日にはもっと混むと思うわよ」


「へえ…」


 そうなんか。ま、俺は今日だけだしな。関係ない。


「じゃ、その斧の前で。1時間後でいい?」

「うん、じゃあ」


 そう言って手を出すミーナ。握手か?


「んな訳ないでしょっ」

「はいはい、弁当ね」


 俺の分の1つを残して残りをミーナに譲渡する。動かなければ一時間だと5個も要らんだろうが万が一のためだ。


 弁当を受け取ったミーナが姿を消す。


「じゃあ、狩りますか。高級肉」



 パッパカ パッパカ シュバッ


 パッパカ パッパカ シュバッ


 パッパカ パッパカ シュバッシュバッ


 …


ピンポーン

『星獣リオンのレベルが上がりました』


ピンポーン

『星獣リオンの【疾走Lv2】のレベルが上がりました』


ピンポーン

『星獣リオンのレベルが上がりました』


ピンポーン

『星獣リオンのレベルが上がりました』



 リオンの【流鏑馬】効果で威力マシマシのピエロダーツが森の中で猛威を振るう。動物愛護団体の方々が見たら卒倒しそうな情景が1時間繰り広げられた。だって、めちゃくちゃいるんだもん。プレイヤー達は全然狩ろうとしないし。あ、でも、森大鹿はモンスターだから。動物じゃないから。それでも怒りが収まらない方は、クレームは運営にお願いします。



❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


小僧、お前、高級肉の意味わかってねえだろ。

希少価値が高いから高級なんだぞ。

ま、そのうちわかるか。身をもって知ることも必要だもんな。

うん、また死に戻ってこい。

1000万Gなんて大金お前には似合わん。


――――――――――――――

◇達成したこと◇

・ジェットな鳥を間違って狙撃する。

・習得:【鍛冶Lv2】【遠見】

・リオン:Lv5【疾走Lv3】【噛み付きLv2】

・リオンのレベルアップの早さに意識が飛ぶ。

・取得:【飛翔鳥の飛翔羽】

・森大鹿を言い訳考えながら狩りまくる。



◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:リオン[★☆☆☆☆☆]

 肩書:なし

 職業:なし

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:1

 器用:1

 知力:1

 装備:男の隠れ家的オーバーオールセット

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv4】【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv10】【調合Lv10】【調薬Lv10】【匙加減】【火加減】【下処理】【創薬Lv4】【依頼収集】【料理Lv1】【寸劇Lv1】【鍛冶Lv2】new!【遠見】new!

 所持金:約1000万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]


◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

<蜥蜴の尻尾亭への定期納品>

〇進行中クエスト:

<眷属??の絆>




◆星獣◆

 名前:リオン

 種族:星獣[★☆☆☆☆☆]

 契約:小人族スプラ

 Lv:5(+4)

 HP:160 (+40)

 MP:220 (+60)

 筋力:20 (+8)

 耐久:18 (+8)

 敏捷:45 (+20)

 器用:19 (+8)

 知力:27 (+12)

 固有スキル:■■■■ ■■■■

 スキル:【疾走Lv3】new!【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】new!【運搬(極)】



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★★☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【氷華草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】

 分蘖体:ネギ丸【月影霊草】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ


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