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第126話 露店街の詐欺

いつも誤字報告助かってます。ありがとうございます。

「で、その可愛い子ちゃんたちにクエスト斡旋してたら遅れたと」


 米粒付けたミーナが俺と視線を合わせることなく一角亭弁当をモグモグしている。



「いや、アイザックさんのお願いだから無下にできなくて」


「わたしはその間に3回死に戻りましたけど? 君を探して移動したからね」


「…はい、すみませんでした」


 ヤバい、すっごい怒ってる。これ、前の素顔のウェイブじゃなくて良かったな。あの美人で怒られたらアウトだった…今は猫だからまだ助かってるけど。


 一角亭弁当で何とかなると思ってたけどこれは別の一手が必要かもしれん。



「そうだ、ミーナ、露店街で買い物でもしよっか。物資不足も解消されてきたみたいだし」


「…行く」


 よし、来た。妹がへそ曲げた時、父親がいつも使っていた手だ。父親と違って俺にとっては人混みへのハードルはかなり高いがここは仕方がない。腹をくくるべき時は腹をくくるのだ。



 パッパカ パッパカ



 なんか周りに星獣を連れてるプレイヤーが多くなってきたから俺がリオンに乗ってても特に絡まれることはなくなったな。物欲しそうに見てくるプレイヤーも減ったし、だいぶ過ごしやすくなった。



「じゃ、いろいろ見ていこうか」

「うん、じゃあ、先にわたし見てくる」



 そう言ってミーナが姿を消した。なんか俺が言うのもなんだけど、いきなり目の前から姿が消えるとかマジでビビるな。…そうか、俺は逃走した時、相手にこんな気持ちを与えていたのか。こういうことならミーナが敏捷ブッパしてレイス案件になったのもわかる気がする。



「お金忘れた」

「どあっ」


 今度はいきなり現れるミーナ。現れるのはいいが目の前はやめろ。接待買い物じゃなけりゃ帰ってるところだぞ。



「あ、じゃあ、100万ほどでいいかな?」

「ん」


 再び消えるミーナ。


 ちなみに買い物のための資金たまは薬屋でしっかりと仕入れてある。今までは物資不足で他の材料がなかったから癒楽草の買い取りしはてもらえなかったのが、他の物資が流通し出したのと、メアリー領主夫人の解毒の研究をしなくてよくなったマジョリカさんがポンと600万G出してくれたからだ。まさか2本も買ってくれるとは思わなかった。流石は太皇太后ビッグマムだな。



「あ、ちょっとそこの人」

「…?」



 後ろから声をかけられた…気がする。俺なのか? 俺じゃないのに振り向いたらなんか自意識過剰の勘違い野郎に思われちゃうよな。ここは一度スルーしとくか。



「あ、ちょっと待って、そこのジャージの人」

「…!」



 ジャージったら…俺じゃねえかよ。流石に俺しかいねえだろ、ファンタジー冒険世界にジャージはいてるなんてな。



「…俺?」

「そうそう、そこの君」


「何か用ですか?」

「君のそのジャージなんだけどさ。よかったら買うよ」


「…」


 なんだこの女性プレイヤーは。このジャージ欲しいとか、あからさまに怪しいんだが? あ、いや、もしかしてリアルでもジャージ好きとか?



「もしよかったらそのTシャツもその草鞋?も一緒に買わせてもらうけど」

「…マジですか?」


「マジマジ。大マジ」


 マジマジという響きはあんまり好ましくはないが、この要らないセットを買ってくれるというならこれはありがたい限りだ。



「3万でどう?」

「え、3万?」


 マジか、この人。この中年レイスシリーズに3万とか、正気の沙汰とは思えん。



「あ、ごめん、流石にないか。じゃ。5万! いや6万出すよ!」

「…??」


 ちょっと何言ってるのかわからなくなってきた。なんだ? 新手のドッキリか? モニターのやつか?



「もう、お兄さんには負けたわ。8万! これが最後、どうだ!」

「え、いや、マジで?」


 一応カメラを探してみるが、ここは仮想現実。カメラなどなくてもいくらでも撮影はできる。うーん、困った。これ断ったらシラけるやつかな。8万なら全然いいんだけど。ただこれ売っちゃうと他に着る物がなくなっちゃうしな。うーん…。



「おいおい、ネエちゃん、それはねえだろう」


 なんかガラの悪い男の声が聞こえるんだが? これ、絡まれてる? 俺そういうの無理だぞ。



「なんですか? 今交渉中なんですけど」

「交渉中? どこがだよ。詐欺中だろうが」


「あ? ちょっと客の前で変なこと言わないでくれる?」

「何も知らねえ素人さん相手に無茶苦茶に買い叩くことは変やことじゃねえのかよ」



 ん? 買い叩く? どういう事? いや、そんな事どうでもいいから、どさくさに紛れていなくなってもいいかな。



「なあ、兄ちゃんに言っとくぜ。その服、まだ発見されてねえ素材でできてるからな。普通の生産組に売ったらセットで100万にはなるぜ」

「て、てめえ、なに営業妨害してんだよ」


「お前みたいな詐欺師がいるから生産組はどうだとか言われるんだ。こっちはとっくに営業妨害されてんだよ」

「て、てめえ。覚えてろよ」



 すんごいブチ切れた女性プレイヤーが屋台ごとポリゴンになっていく。やっぱり俺は怒った女性がすごく苦手だ。改めてよくわかった。



「兄ちゃん、悪かったな。ああいう輩がまだウロウロしてんだわ。気を付けなよ」

「あ、はい」


 目の前で男らしいことを言ってるこの人。ちょっと小柄で腕はムキムキ、カーゴパンツに白いTシャツ、首元にはごっつい鎖のネックレスを装着している。海坊主さんと似て非なる漢道の真ん中を堂々と歩いている、そんな感じ。



「ところで、兄ちゃんってもしかしてピエロ君じゃないか? あ、違ってたらすまん」

「いえ、そのピエロ君だと思います」


「だよな! 見たぜ、あのゴブリンエンペラー戦。すっげえじゃねえかよ」

「あ、いや、はは」


「あの時の装備はどうしたんだ? もし壊れたんなら直せるかもしれねえぞ」

「あ、いえ、無くしたんで、はは」


「無くした? ああ、武具破壊状態まで使っちまったか。少しでも耐久が残ってりゃ修理できたんだけどな。全損しちまったら無理だな」

「まあ、はは」


 これは、いつになったら解放されるんだ?



「そうか、全損しちまったか。じゃあ、どうだ、もしよかったら俺の店来ねえか? 装備なら一通りは揃ってるぜ。もし金がねえならその服セットで買うからよ。200万でどうだ?」


「は? 200万? マジで?」

「おう、マジだ」


 えっと…なんかこっちの方が詐欺っぽいのだが?



❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


小僧、俺の服を散々言ってくれたよな。

よーく覚えてんぜ。


さあ、俺の服に驚愕しろ!

そして感謝の嵐を送ってこい。


ま、って言ってもな。

もう4フィールド程先辺りで周りがスッゲー装備になりだしてから価値が判明して小僧の小遣い用途になるはずだったんだけどな。

未だと価値が高すぎるんだが…ま、どうせMJが奮発しまくってる状態だしな。もういいや。


ってか、この筋肉は何もんだ?


――――――――――――――

◇達成したこと◇

・ミーナの機嫌を全損する。

・接待買い物を敢行する。

・詐欺に遭いそうになる。

・レイスの服の価値に疑問を呈する。



◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:リオン[★☆☆☆☆☆]

 肩書:なし

 職業:なし

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:1

 器用:1

 知力:1

 装備:なし

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv4】【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv10】【調合Lv10】【調薬Lv10】【匙加減】【火加減】【下処理】【創薬Lv4】【依頼収集】【料理Lv1】

 所持金:約500万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]


◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

<蜥蜴の尻尾亭への定期納品>

〇進行中クエスト:

<眷属??の絆>



◆星獣◆

 名前:リオン

 種族:星獣[★☆☆☆☆☆]

 契約:小人族スプラ

 Lv:1

 HP:120/120

 MP:160/160

 筋力:12

 耐久:10

 敏捷:25

 器用:11

 知力:15

 固有スキル:■■■■ ■■■■

 スキル:【疾走Lv1】【足蹴Lv1】【噛み付きLv1】【運搬(極)】



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★★☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【氷華草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】

 分蘖体:ネギ丸【月影霊草】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ


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