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第121話 愛弟子の仕事

「ほら、スプラ、今度はこっちだよ」

「イエス、マム」

「だからなんだい、今日は変な返事ばかりして」



 領主館であれこれそれこれがあって、俺は今、大量の材料に囲まれてマジョリカ薬房で「愛弟子の仕事」という名の強制労働に励んでいる。




 領主館ではあれからディオーネが溜め込んでいた物資を格安で街に卸していくことが決まった。で、薬関係の物資はマジョリカさんに言われるままにリオンの【運搬(極)】でマジョリカ薬房まで運びこんだ。それからずっとかれこれ4時間はポーション作りに明け暮れているという訳だ。


 ちょっと他のこともしたいなあ〜なんて考えてると、すぐに次の仕事を言いつけられてしまう。マジョリカさんの正体が王族だと知ってしまった後では、マジョリカさんのお願いはつまり王族命令。逆らえるわけもなく…。



 だが、4時間の薬漬け…じゃなくて薬作り漬けのおかげで以下のスキルを習得している。


【調合Lv10】

【調薬Lv10】

【匙加減】

【火加減】

【下処理】

【創薬Lv2】



「ふう、こんなもんかね」


 マジョリカさんからずっと聞きたかった言葉が発せられた。スキルを習得できるのはいいが、いつ終わるか分からない作業ほど辛いものはない。膝から崩れ落ちる俺。



「どうしたんだい、これからがあんたの腕の見せどころじゃないのかい?」


 ここへ来て何を仰っておられるのかさっぱりなんだが。



「じゃあ、ここに依頼書を置いておくから、これを見て配達に行っておいで。ずっと待たせてるからね、なる早で頼むよ」



 マジョリカさんから「なる早」とか聞くとは思わんかった。年相応の言葉ってもんが…


「しょうもないこと考えてないでさっさと言っておいで!」

「イエス、マム!」




ピンポーン

『…クエスト内行動により【依頼収集】を習得しました。【依頼収集】【配達Lv10】を満たしたことにより、職業【斡旋員】の条件を満たしました』



 配達を8割がた終えた頃、配達先でちょっとした世間話から別の配達依頼を受けてしまい、断りきれず受注、仕事が増えてしまったことに肩を落としていたら【依頼収集】習得と共に職業が解放された。ちなみに先の苦行により上級薬師まではすでに解放されている。転職していないのはしなくてもどんどんスキルを習得していったからだ。



「【斡旋員】か…確か前世でも見たような気がするが…なんだったっけ?」



【斡旋員】

 自身が受けたクエストを他人に斡旋することができる。クエストの斡旋は職業【斡旋員】でいる時にのみ可能。斡旋時は報酬の20%をプレイヤーから受け取る。クエスト達成に関わるその他効果は受け取れない。



 ああ、そうそう、こんな感じの無意味な職業だった。報酬の20%って、数十Gじゃん。


 とりあえずスルーしてリオンに乗って配達を続ける。しかし、リオンがいてくれるお陰で配達が楽ちんだ。


 マジョリカさんに命令されて配達に出たら敏捷1だったことを思い出して愕然とする。そこで「それなら」ということで腹をくくってリオンに乗って配達を始めた。そしたら意外と人目も気にならず、現在とても快適な配達ライフを送っている。



「おや、早かったね。じゃあ、今日はこれでしまいだ。悪いけど明日からは通常運転だからそんなに配達はないからね」

「はい、マム」



 明日からは通常運転か。ぜんぜん悪くないんだが。よかった、アレが何日も続くとか無理だし。



「よし、じゃあ…なんだっけ? なにか忘れてるような気が…」


 ステータス画面をチョイチョイ。




◎常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

〇クエスト:

<眷属??の絆>

<農業ギルドマスターアイザックの相談>



 あ、そうそう、アイザックさんから頼まれてるんだった。畑を持つプレイヤーが少なくて増やしたいんだったよな。じゃあ、とりあえず、畑を見てきますか? 声なんか掛けられんけどな。見るだけ。



 パッパカ パッパカ パッパカ パッパカ



「うん、こうやって見ると確かにプレイヤーいないよな」

『フンスフンス』

『ゆら~』


 あまりにプレイヤーが居なさ過ぎてネギ坊もリオンのたてがみから姿を出している。俺の畑の近くでプレイヤーが一人畑をしていたんだけど、その他はぐるっと見て回っても見つけられなかった。街の外にでも行ってるのか?



「とりあえず、農屋に戻ってみるか」



 農屋に戻ってみると、入り口の前に何人かの人影が見えた。またストーカーかとも思ったが、なんか様子が変だ。すごく切羽詰まっている感じ。コンビニのトイレが混んでて入れず立ち読みしながらトイレをチラ見している俺くらいに挙動不審だ。ちなみにFGSにトイレと言う概念はない。



「どうしよっかな。なんか困ってるなら相談くらいは乗れるんだが。話しかけるのは無理だ」


 ということで、何食わぬ顔で農屋に向かう。



「あ、すみませーん」


 俺がリオンに乗って前を通り過ぎると挙動不審軍団の一人から声がかかる。すごく低姿勢だ。いや、俺そんなに怖い人じゃないぞ。



「はい?」

「あの、もしかしてこちらの畑の持ち主さんだった方ですか?」


 だった方? いや、今もそうなんだが?


「今も持ち主ですけど?」

「あ、やっぱり。なんか服装も違うし、ロバに乗ってるので別の人かと思ったんですけど、やっぱりあのピエロ君ですか?」

「え、あ、まあ。はい」


 ピエロではない。が、ピエロの格好はしていた。で、リオンはロバではない、ポニーだ。ロバは耳が長いんだぞ。王様の耳はロバの耳って言うくらいに。



「あ、あのですね、実はちょっとご相談があるのですが…」


 おお、相談だったか。



「はい、あ、じゃあ中入ります?」

「えええ、いいんですか?」

「はい。あ、ていうか、入れるのかな?」


 そういや、まだ誰も入ったことないよな。とりあえず俺が中に入る。そしてその後に入ってきてもら…えないか。入れないとなると、どうしたらいいんだ?



「あの、もしホーム扱いになってるのなら、ホームの画面で入場許可が出せるはずです」

「ホームの画面?」

「ステータス画面の不動産っていうところに…」

「ああ、これ…」



「うわあ、すごいですね。こんな内装だったんだ」


 俺が入場許可したプレイヤー、「サクラ」「モモカ」「ミズキ」「モクレン」の四人組がログハウスの内装に驚いている。


「これ、飲みます?」


 四人分の【至福のジュース】を出してあげる。NPCが喜ぶんだからプレイヤーも大丈夫だろう。毒とかは書いてないし。


「…品質10?」

「体に必要な栄養素が全て詰まったって…」


 ん、なんだ? なんか全然飲もうとしてくれない。もしかしてプレイヤーは飲めない仕様か? いやいや、俺飲んだし。何ともなかったけどな。うまかったし。




❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


あーあ、MJの奴、スキルの大盤振る舞いしやがった。

これじゃあ、小僧死に戻りの意味ねえじゃねえかよ。

弟子ならもっと厳しくやらねえと。


かわいい子には一文無しで大陸横断させろって言うだろうが…。



――――――――――――――

◇達成したこと◇

・習得:【調合Lv10】【調薬Lv10】【匙加減】【火加減】【下処理】【創薬Lv2】【依頼収集】【配達Lv10】

・【斡旋員】解放

・四人組を農屋に入れる。

・至福のジュースを振る舞って変な空気になる。




◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:リオン[★☆☆☆☆☆]

 肩書:なし

 職業:なし

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:1

 器用:1

 知力:1

 装備:なし

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv4】【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv10】new!【調合Lv10】new!【調薬Lv10】new!【匙加減】new!【火加減】new!【下処理】new!【創薬Lv2】new!【依頼収集】new!

 所持金:約1万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]


◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

<蜥蜴の尻尾亭への定期納品>

〇進行中クエスト:

<眷属??の絆>

<農業ギルドマスターアイザックの相談>



◆星獣◆

 名前:リオン

 種族:星獣[★☆☆☆☆☆]

 契約:小人族スプラ

 Lv:1

 HP:120/120

 MP:160/160

 筋力:12

 耐久:10

 敏捷:25

 器用:11

 知力:15

 固有スキル:■■■■ ■■■■

 スキル:【疾走Lv1】【足蹴Lv1】【噛み付きLv1】【運搬(極)】



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★★☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【氷華草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】

 分蘖体:ネギ丸【月影霊草】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ

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