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第116話 ネギは種じゃなくても増える

パンパカパーン

『癒楽草ネギ坊は装備可能な4箇所全てに希少種植物を装備しました。条件を満たした為、固有スキル【分蘖ぶんけつ】が発動します。分蘖する希少種植物を選んでください』



 ネギ坊が俺の前に装備している4本のお手々を見せてくる。


 どうやらこの中から1本を選べと言うことらしい。ちょっと意味がよく理解できんが、分蘖っていうくらいだからおそらくは数が増えるってことなんだろう。爺ちゃんが「ネギは植えれば勝手に増える」とか言ってたしな。もしかしたらここで選んだのが株分けされるのかもしれない。違うかもしれんが。



「ま、選んだらわかるか」



 とりあえず、危険度の低い【月影霊草】を選んでみる。【毒毒毒草】は絶対に選んじゃいけない気がするし、【爆炎草】は見つかったら王都へ送還される危険種だし、【氷華草】もなんとなく同じ枠な気がする。すると、マジョリカさんの反応がそこまで極端じゃなかった【月影霊草】が無難だろう。



「じゃ、【月影霊草】をチョイっと。うわっ、ネギ坊大丈夫か?」


『ゆゆゆゆ、…ゆららーー!』



 ネギ坊が史上最大級の大げさなリアクションを取ってくる。そしてピタリと動きが止まった。…なんだ?



ポンッ



『ゆら♪』

『ゆらら?』


『ゆらゆら♪』

『ゆら〜!』



 間抜けなSEと共に目の前の鉢植えに…別のネギ坊が現れた。だが、葉っぱは2本だけ。そのうち1本がさっき選んだ【月影霊草】になってる。


 え、分蘖ってネギ坊が増える事だったのか? 俺はただ希少種が鉢植え栽培可能になると思ってたんだが。ちょっと意味が分からんくなってきたぞ。こういう時はステータス画面をチョイチョイ。



《従魔》

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★★☆☆☆]new!

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【氷華草】


 固有スキル:【超再生】【分蘖ぶんけつ

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】

 分蘖体:?? new!



 名前:??(分蘖体)

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 レベル:1(固定)

 HP:5

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:1

 器用:1

 知力:5

 装備:【月影霊草】(固定)

 スキル:【再生】


【再生】

 欠損した体を1日かけてもとに戻す。太陽光と水と土が必要。



 ほうほう、なるほど。分蘖するとネギ坊の★が増えるのか。ってことはあと3回も分蘖できるのか? こりゃ鉢植え用意しといたほうがいいな。


 で、分蘖体の方は、まずレベルが1で固定と。なんだ俺と同じ…ん? そういやネギ坊ってレベル上がってないよな。いろいろ戦闘してきたのになんで…ま、いっか。どうせしょうもない理由だろうし。


 次に、装備は【月影霊草】から変えられないと。で、これ以上の装備もできない様子。ってことは分蘖体は【月影霊草】と【癒楽草】専用って事だな。


 で、最後はスキル。固有スキル【超再生】じゃなくて一般スキルの【再生】。回復に1日かかるようになったらしい。じゃあ、【月影霊草】が手に入るのは1日に1本だな。これは忘れずに貰っていかないと



『ゆら?』


「あ、名前ね、じゃ、えっと、『ネギ丸』でどう?」

『ゆらら♪』


『じゃ、ネギ丸、早速だけど【月影霊草】貰えるかな? あと【癒楽草】もいい?』

『ゆら♪』


 分蘖したてで申し訳ないが、早速【月影霊草】と【癒楽草】をいただく。いきなりお手々がなくなったネギ丸、それでも機嫌は良さそうだ。



「じゃ、ネギ丸の置き場所は…そうだな、屋根裏にしようか」


 屋根裏には天窓があったはずだし、そのすぐ下くらいでいいだろう。





「ネギ丸、お前…マジか」


 屋根裏のスペースに上って鉢植えをちょっと床に置いたら…なんとネギ丸が自分で移動していった。鉢植えの下から出した根っこを器用にチョコチョコと動かして。で、日光が当たる場所で鉢を下ろすとご機嫌に日なたぼっこを始めてしまった。



『ゆらゆら~♪』

「『あ~、気持ちいい♪』じゃなくて。ネギ丸、なんで移動できるんだよ」


『ゆら~♪』

「え、ステータス? なんか変わってたっけ?」



 ネギ丸がステータスを見ろと言ってくるから大人しくステータス画面をチョイチョイ。



「ん? うーん…ああっ、ネギ丸、お前、敏捷0じゃないじゃん」

『ゆら♪』



 ネギ丸のステータス、改めてよく見ると、なんと敏捷値が1になっていた。本体のネギ坊は0なので移動できない。それが1になって移動可能になったってことか。これって、分蘖体のほうが高性能…


『ゆら!!』

「ああ、ごめん、違うって。そういう意味じゃないから」


『ゆらゆら!!』

「いや、だから、そういうつもりじゃないって」



 ネギ坊が自分がディスられたと感づいてプンスカ怒ってくる。今までは頭の上にいたから怒ったら頭をペチペチしてきたが今はリオンの上。ペチペチできないからかレトロな不良漫画かってくらいにガンつけてきた。なんか目がキマッちゃってるんだが? あのかわいかったネギ坊がこんな事に…もしや★が増えてお年頃になったのか?



『ゆら!』

「はい、わかりました。もう比べたりしま…」


「スプラさん、畑にまく種の事ですが…」


 ネギ坊に謝ってなだめていたら、屋根裏にゼン爺が上ってきた。そして、リオンの上のネギ坊を見てなんか時が止っている。あ、口をパクパクしだした。



「あの、スプラさん、ちょっとよろしいですかな?」

「あ、はい」



 なんか、急に小声になったゼン爺。俺を屋根裏の隅っこに連れて行く。秘密の相談事でもあるのか? なんかいつもののんびりなゼン爺とは違うんたが。



「あのポニーの上に乗っかってる草なんですが…」

「ああ、ネギ坊がどうかされましたか?」

「あれって……ですかな?」



 なんか急に声をひそめゼくるン爺。全然聞こえんのだが。



「ごめん、ゼン爺、聞こえない」

「ですから、あれって……ではないかと」



 いや聞こえないって。なんでささやき声? お爺さんのささやき声とか聞こえにく過ぎるから。



「ゼン爺、ごめん、もうちょっとはっきり言ってくれる?」

「で、ですから! あれはかの伝説にある生きる草! 生命の源泉! 天性の能天気植物! 『癒楽草』ではないかと言っておるのです!!」


「…」


 …しまった。ネギ坊のこと内緒だってこと忘れてた。しかもネギ坊が癒楽草って、なんでわかっちゃったんだ? これはまずい。マジョリカさんに怒られるかも…いかんな。なんとか誤魔化せないかな。



「いえ、これは癒楽草とかいう草じゃないです…よ?」

「あ。ゴ、ゴホン。いや、失礼、つい声が大きくなってしまい」



 ゼン爺がハッとして周りを見回しながら申し訳なさそうに肩をしぼませる。屋根裏だから人はいないと思うが。



「あ、いえ、その…声は大丈夫です」

「ああ、すみませなんだ。わしとしたことがつい興奮してしまい。そうですな、コレが癒楽草な訳ないですな」


「はは、ソウデスネ」

「ちなみにコレは癒楽草なんてものではないですが、もしかしてもしかすると畑の栽培に利用させていただいたりするなんてことは可能で?」


「コレは癒楽草ではないですが… と言いますと?」

「ええ、コレは癒楽草ではないですが、癒楽草という植物は燃やして畑に撒くととんでもない効果を得られるという伝説があるのです」


「えっ? コレは癒楽草ではないですけど、癒楽草にはそんな効果が?」


 そういえば、ゴルバさんが動く草を燃やしたら品質が上がるとかなんとか言ってたな。



「そうなのです。コレが癒楽草な訳はないのですが、癒楽草という植物はこの葉っぱ一枚くらいの大きさでも、この畑数面分の肥料効果が見込めるということが書かれた文献を見たことがございましてな」


 マジか。そんなに効率がいいのか。そんなら使わない理由はないよな。いくらでも貰えるんだし。それになんかゼン爺なりに事情を察してくれてるみたいでもある。うん、ここはゼン爺が【癒楽草】だと言わなければ大丈夫なんじゃないか?



「そうなんですか。コレは癒楽草ではないですけど、使ってみます?」

「おお、本当ですか? コレが癒楽草な訳はありませんが一枚、一枚だけでも使わせていただけると」


「わかりました。じゃあ、これ使ってください」


 さっきネギ丸からもらった【癒楽草】という名の伝説の癒楽草ではない葉っぱをゼン爺に渡す。が、渡された葉っぱを見るゼン爺の目がなんか怖い。すごく見開いて血走ってる。あののんびりのほほんゼン爺はどこいった?



「こ、これは、やはり」


 葉っぱをもったゼン爺がプルプル震えだした。



❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


うーん、こうやって見るとこの畑のメンツはヤベーよな。

どうしてこう俺でも予想困難な面子を…

難易度SSSのパズルをピンポイントで合わせてくんじゃねーよ、頼むから。


あ、分かった。

小僧、もしかしてお前ズルしてねえか?

タイムループとかしてるだろ!

そうだろ!

なら来年の俺の事を教えろ!


――――――――――――――

◇達成したこと◇

・ネギ丸命名

・歩くネギ丸を見てビビる。

・ネギ坊をちょっとだけディスってキレられる。

・ゼン爺と癒楽草について暗黙の了解状況を作り出す。

・ゼン爺に「癒楽草ではない」との暗黙の了解を得ているだろう癒楽草を渡す。



◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:リオン[★☆☆☆☆☆]

 肩書:なし

 職業:なし

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:1

 器用:1

 知力:1

 装備:なし

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv4】【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv2】

 所持金:約1万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]


◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

〇進行中クエスト:

<眷属??の絆>



◆星獣◆

 名前:リオン

 種族:星獣[★☆☆☆☆☆]

 契約:小人族スプラ

 Lv:1

 HP:120/120

 MP:160/160

 筋力:12

 耐久:10

 敏捷:25

 器用:11

 知力:15

 固有スキル:■■■■ ■■■■

 スキル:【疾走Lv1】【足蹴Lv1】【噛み付きLv1】【運搬(極)】



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★★☆☆☆]new!

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【氷華草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】

 分蘖体:ネギ丸【月影霊草】new!



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ

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― 新着の感想 ―
いつも楽しませてもらってます 癒楽草ではない、な訳ないを連呼する下りが某ネタバレが激しすぎる系RPGのやり取りを彷彿とさせてきて大好き
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