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第103話 怪獣大戦争

「あ、スプラちゃんの純な心が…おんどりゃ、何さらしてくれとんのじゃあー!」



 巨大スライムの核をなぜか俺の純な心と勘違する海坊主さん、それが壊されたことでオネエから怒髪天のお兄に変身する。で、そのまま戦勝の悦に浸っているゴブリンジェネラルに特攻していき、人間とは思えない動きでジェネラルの足の脛に攻撃を加えていく。…なんか海坊主さんの踵と手刀が光って見えるんだが? あれなんぞ?


 海坊主さんの攻撃を脛に食らいまくるジェネラルはあからさまに嫌そうだ。足をあげたり移動させたりして防ごうとしている。


 なんか頭上のHPバーが少しずつだが目に見えて減っているように見える。あんなどでかい相手に接近戦で一発も食らわずにダメージ蓄積させるとか、マジであの人何者なんた?



『あの人やるねえ。君ほどのダメージはないけど、すごい練度だ』



 気位の高い白馬ですら海坊主さんに関心している。やっぱりすごいんだな…と思ってたら、猛ダッシュで戻ってくる海坊主さん。



「MPなくなっちゃったからもうこれ以上は出せないわ」



 怒りを発散できたのかオネエに戻ってくれたらしい。



「でもスプラちゃんの純な心だけあって、いい戦いしたわよね、あの子も」


 いやだから、俺の心ではないんだが。そして言われるほど純でもない。



「やってみてわかったけどあの筋肉ダルマに物理って効きにくいみたいね。さっきのスプラちゃんの純な心も搦め手で攻めてたしね」



 そっか、そうだよな。特に毒とか目に見えて効いたよな。…ん? ってか、俺、もしかして持ってるんじゃね?



 ストレージを漁って取り出す紫紺色のバスケットボール。



「皆さん、ちょっと危険かもしれないので200mほど離れましょう」


「ちょ、スプラちゃん、それって、え? ここで使っちゃうの?」

「了解です、キャプテン。団長、こっちです」

「あれ、ちょっと、待って、え? え?」



 見守り団に押され引っ張られ連れ去られていく海坊主さん。離れ終わった団員たちからオッケーサインが出た。



「んじゃ、俺がこれ投げたら皆のところまで全力疾走な」


『何するのかわかんないけど、いいよ。なんだか面白そうだし』


「っし、じゃあ【投擲】っと」



 俺は紫紺バスケットボール【氷青の毒心(劇)】を湖の真ん中に向けて投擲する。



「じゃ、ハイヨー」


 白馬が全力で疾駆する。物凄い加速に体が置いていかれそうになった。これ【騎乗】スキルなかったらヤバかったかもしれん。白馬、こやつ侮れんな。





「なんか凄いわね…」

「凄いですね…」


 湖にできた巨大な渦巻き。俺が投擲した【氷青の毒心(劇)】を中心に発生したんだが、それがかれこれ1分ほど続いている。ジェネラルもその状況に見入ってるようでウンともスンとも言わなくなった。もちろん雑魚ゴブリンたちも。湖の周辺が物凄く静かになっている。



「なんか寒くなってきてない」

「そうっすね。なんとなくヒンヤリしてきましたね」


 俺にはわかる。この感覚、あのウェイブが巨大スライムに魔法ぶっ放した時に似ている。つまり、氷属性の何かができつつあるということだ。ってことは、もうすぐか?



「なんか、湖の表面おかしくない? 動いてないって言うか…」

「あ、凍り始めましたね」

「え、やだ、凍ってんの、あれ?」



ペキペキペキ  ドン!!! バン!!!


 白く凍り付いた湖面。今度はそこにヒビが入る。そして湖面がドンと一気に陥没したかと思ったら、中心から何かどデカいのがバンと飛び出した。



 ドッシーーーーーーン!!



 ゴブリンジェネラルの視線の先、雑魚ゴブリンたちが集まっているその真ん中にそれは現れた。



「おおおおーーーー。来たー、紫紺スライム!!」

「ちょ、なにあれ。紫よ。なんて毒々しい。毒々し過ぎて美しいまであるわ」

「あ、あれ、頭になにか乗っけてますよ、団長」

「まあ、銀のティアラじゃないの。スライムにティアラだなんて生意気だけど…似合っちゃってるじゃない、なんてことなの!」



 現れた紫紺スライムは頭に氷が舞う銀のティアラをつけ、その大きさはジェネラルを優に上回っていた。さっきの巨大スライムの二回りは大きい。圧倒的な存在感。なんなんだこれは、かっこよすぎる。



ムニョ?



 紫紺スライムが周りの様子を確認する。



ムニョムニョ… ムニョ?



 なんか… 強そうだけど、賢くはなさそうな気がしてきた。



「GYAOOOOOS!」



 紫紺スライムのそんな様子に業を煮やしたのか、ジェネラルが雄叫びをあげる。手に持つ大斧からは一層激しく炎が噴き出す。



ムニョムニョ…ムニョ!



 お、紫紺スライムがやっとジェネラルを敵認定したらしい。


「GUUUUUAAAAA」


 火を吹く大斧を紫紺スライムに向かって投げるジェネラル。さっきみたいに真っ二つにしようって腹だな。



ムニョヨヨーン♪



 紫紺スライムの頭のティアラが一瞬輝く。すると、銀色の光が周囲を凄い勢いで駆け巡る。そしてその光が動きを揃えて一気に回転して飛んでくるジェネラルの大斧に向かった。



ピキピキ ドスン



 真っ白に凍ったジェネラルの大斧が地面に落ちる。



「GUA?」


ムニョムニョ…



 何が起こったのか理解できないといったジェネラル。そして何かを考えるかのようにリズムよく体を揺らす紫紺スライム。雑魚ゴブリンたちも固唾を飲んで見守っている様子。すごい静かな変な時間が過ぎる。耳元を賑やかすのは冷たい風の音だけだ。



ムニョ!



 なにか思いついたと言わんばかりにジェネラルに向き直る紫紺スライム。それを見てジェネラルも臨戦態勢。しかし、攻撃防御双方に使っていた大斧はすでにない。そんなジェネラルの構えは半身の構え。相手の動きを見極める目的のようだ。



ムーニョニョーン! 


ニョキニョキ



 紫紺スライムの体から腕のようなものが出てくる。なんだ? 人型にでもなるつもりか?



ムニョ!  ヒュン  パンッ!


「GYA!」



 え、今、紫紺スライムの腕から紫色の細い棒が飛び出したんだが? なんだ? で、それを食らったジェネラルがその部分を抑えて苦悶の表情を見せる。あれ、今なんか紫の蜘蛛の巣が見えたんだが?



ムニョ!  ヒュン  パンッ!


「GYAAAA」



 2発目を食らったジェネラルがさらに苦悶の声をあげる。ジェネラルが抑える場所にチラリと見える紫の蜘蛛の巣。うむ、あれって、俺の劇毒ダーツの効果だよな。ってか形状からして【注入釘(劇毒)】じゃね? そういや、大斧を凍らせたのも明らかにウェイブの魔法だよな。おいおい、ってことは、あいつ、俺とウェイブの攻撃を真似してるってことか? じゃあ、なにか? つまり、巨大スライムだった時の記憶があるって事? …マジで?



ムニョ!  ヒュン  パンッ!


「GYAAAAAAAA」



 両足に【注入釘(劇毒)】を当てられたジェネラルがたまらずその場に蹲る。それを見た紫紺スライムが嬉しそうに体を揺する。そして光る銀のティアラ。



ムニョムニョ ムニョニョーン!



 紫紺スライムが伸ばした腕もどきの前に銀の光が集まっていく。今度は何をする…って、おい、それもウェイブがやった魔法だろ。氷の槍「アイスランス」。やっぱり記憶あるだろお前。で、大きさよ! エグいって。


 紫紺スライムの前にはゴブリンジェネラルのぶっとい腕ほどもある大な銀の槍がものすごい冷気を纏いながら形成されていく。


 それを見るジェネラルが何としても避けようと、動かない足を引きずって移動しようともがく。しかし、無情にも紫紺スライムは嬉しそうに銀に輝く大槍をジェネラルに向けてぶっ放す。


 ムニョムニョニョーン!



 銀の光を螺旋状に纏いながら白銀の大槍がジェネラルに向かう。それを見たジェネラルが最後の力で抵抗する。銀の槍に向かって膝立ちになるとそれを正面から受け止めた。刃先を受けるその両腕が白く凍っていく。手首、肘、肩へと凍化が進むにつれ、ジェネラルの表情が厳しくなる。そして苦悶の表情のジェネラルの全身が白い氷に包まれた。



「まあ、これってもしかしてやったんじゃない?」

「だ、団長、それは言ってはいけないやつです!」

「え、だってえ、ほら、みるみる減ってるわよ、HPゲージ」



 海坊主さんが盛大なフラグをかましてくれたが、ジェネラルのHPゲージを見ると、半分ほどだったのがすごい勢いで減ってきている。あっという間に1/4を切ってしまった。どうやら本当にやったようだ。


「団長、違いますよ。あのゲージってレイドボスのお決まりのゲージなんです。レイドボスって言ったらHPが少なくなるとだいたいが狂暴化するんですよ」




ピンポーン

『称号【自然保護の魁】の効果が発動しました。ゴブリンジェネラルの狂暴化が希少種化に変化します』




 えっと…。 ごめんなさい、もう許してください。



❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


おいおいおいうおーーーい!

小僧、お前なにさらしてくれとんのじゃー。


特大バグが、特大バグが~

FGS環境が破壊されちまう。

大規模メンテナンスの用意だーー。


ん? 希少種化?

ジェネラルにそんなもんあったか?


あれ?


と、とにかく、メンテナンスの用意を…


――――――――――――――

◇達成したこと◇

・【氷青の毒心(劇)】を湖の放り込んで特大バグを発生させる。

・紫紺スライムの知力を疑う。

・紫紺スライムvsゴブリンジェネラルを観戦。

・ピンポンさんのアナウンスに心の中で土下座する。



◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:(仮)星獣ヒュペリオン[★★★★★★]

 肩書:マジョリカの愛弟子(EX)

 職業:上級薬師

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1(+3)

 敏捷:1(+13)

 器用:1

 知力:1

 装備:ただのネックレス

 :悩める道化師のトルピード

 :仙蜘蛛の道下服【耐久:+3、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気)】

 :飛蛇の道下靴【敏捷+13】

 :破れシルクハット

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【正直】【薬の基本知識EX】【配達Lv10】【勤勉】【逃走NZ】【高潔】【依頼収集】【献身】【リサイクル武具】【採取Lv10】【採取者の勘】【精密採取Lv3】【調合Lv10】【匙加減】【投擲Lv10】【狙撃Lv2】【鍛冶Lv9】【調薬Lv10】【団粒構造Lv2】【農地管理Lv4】【農具知識EX】【料理Lv1】【広範囲収集】【遠見】【工作Lv1】【釣りLv1】【木登り】【よく見る】【自動照準】【下処理】【火加減】【創薬Lv4】【念和】【騎乗】

 所持金:約1045万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]


◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

〇進行中クエスト:



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★☆☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【氷華草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ


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