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第102話 対ジェネラル戦3

「あらん、スプラちゃん、無事でよかった」


「皆さんも無事でよかったです」



 ジェネラルの隙を突いて湖までやって来たら海坊主さんと見守り団が揃ってた。で、見覚えのあるボディをみんなして見上げていた。



「で、これ、なんすか?」


 俺もそれを見上げる。青いわがままなボディを持つ超巨大スライムを。デカい。デカすぎる。



「これよね。わたしったらスプラちゃんから貰ったスプラちゃんの純な心を湖に落っことしちゃったの。あ、違うのよ、無下にしたんじゃないの。ちょっとしたお守りっていうか、テンションアゲアゲにするためにちょっとだけ見たいなって取り出した時にね、あのゴミクズ共が一斉にかかってきやがったのよ。それで相手してたら落っことしちゃって。コロコロ転がって湖に入っちゃったの。そしたら湖の水をどんどん吸い込んでってね、なんかまた出てきちゃったのよ、この子。で、すっごいジャンプしたと思ったらクソゴミ共の中にドッスーンって。で、それからゴミをどんどん掃除しまくってこんなに大きくなっちゃったの。◯ツコもビックリよ、こんなの」


 オネエ様とお兄様を織り交ぜながら捲し立てるように報告してくれる海坊主さんをよそに、目の前の超巨大スライムはわらわらと集まってくるゴブリンを手当たり次第に取り込んでいる。


 これ、まだまだ大きくなるんじゃね?



『へえ、君かあ、あの鎖を断ち切ってくれたのは。それにあのゴブリンジェネラルにあんなにダメージ与えるなんて。見えないね…』



 声に振り向くと、きれいな白馬がいた。キャベツ料理っぽい名前の海賊船長が乗ってそうな格好いい白馬だ。で、その馬がなんか俺に喧嘩を吹っ掛けてくるんだが?



「あ、この子よ、クソゴミ共に捕まってたの。あ、そうそう、あの時のすっごい弾丸スプラちゃんでしょ? スプラちゃんが登ってた木の上の方から飛んできたもの、すぐにわかっちゃったわ。なんだったのあれ? リョ〇ちゃんも真っ青よ、あんなスナイプ」


「あ、いえ、ちょっとした偶然の産物というか…」


 そっか、「シーボーイ」って、やっぱり、海坊主で正解だったみたいだな。



『ママと契約したんなら僕にも乗れるでしょ? 乗せてあげるよ』



 海坊主さんとの話の腰をぼっきりと折ってくる白馬。なんか俺の前で前足を折って低くなってる。おいおい、喧嘩売ってきた挙句に上から目線で乗せてあげるってか。そんなもん… お言葉に甘えるに決まってるだろ。リアルじゃ乗馬なんて無理だしな。乗ってるとこ人に見られて注目されるとか地獄でしかない。ここじゃ、そんなに人いないし、ここはひとつ乗せてもろて。



『…もうちょっと低くしようか?』


「いや大丈夫」



 身長低いピエロだということを忘れていた俺。白馬が前足追ってしゃがんでくれてるのに乗れない。悔しやらなんやら。



「まあ、スプラちゃんったらすぐそうやってわたしの庇護欲掻き立てようとするんだから。はい、これでいい?」


「あ、さーせん…」


 海坊主さんに抱っこされて高い高いで白馬に乗せられる屈辱に耐えながらも、白馬に乗れてちょっとテンションが上がる。ってか、視界が高くなるだけでこんなに見える世界が変わるんだな。


 俺が白馬に跨ると、白馬はゆったりと立ち上がり、一度嘶いて颯爽と走り出す。



「うお、速いな」



 湖沿いを疾走する白馬にチョコンと乗せられたちっこいピエロ。傍からみたら滑稽な絵面だろう。だが、乗っている俺としてはそんなことなどどうでもいいくらいにテンションが上がった。だって、風とか、振動とか、白馬の躍動感とか、すっごいリアルなんだもん。もうね「ハイヨー」とか言っちゃいそう。



ピンポーン

『特定行動により【騎乗】のスキルを習得しました』



 ひとしきり白馬で走ったらピンポンさんから嬉しいお知らせ。今まさに欲しかったスキルを習得した。


 そしてガラッと変わる乗馬感覚。両ももに力が入り一気に体勢が安定すると、自分が進みたい方向に白馬が方向を変える。視線の揺れも最小限に収まり、白馬の走る速さもギアが上がったようだ。



『もうスキル習得するなんてやるじゃん』


「そっか?」



 白馬からの上から発言にも通常運転で返せるほどご機嫌な乗馬時間。こういうのって仮想現実ならではだよな。落馬とか心配しなくていいし。



「GYAOOOOOOOOOOOS!!」



 ゴブリンをよけながら機嫌よく湖のほとりを白馬で疾走していると忘れていた存在からの叫び声。野太い轟音が森中に響き渡る。



『戻らなくちゃね』

「ああ、戻ろう」



 白馬を駆って皆の元へと戻ると、ゴブリンジェネラルが怒り狂っていた。でも怒りの矛先は俺たちじゃない様子。ジェネラルが視界に捉えているのはわがまま過ぎるボディの超巨大スライム。すでに高さだけでもジェネラルに並ぶほど大きくなっていた。


「どデカいな。どんだけ雑魚ゴブリン食べたんだよ」



 その超巨大スライムに向かって突っ込んでいくゴブリンジェネラル。持っている大斧で巨大スライムを切りまくる。しかし、巨大スライムの体を切断することはできずにスライムはなんてことないように再びくっつく。そうだよな。もともとは小さなスライムの集合体だもんな。切れ目入れてもそりゃくっつくよな。


 そして反撃に出る巨大スライム。一か所だけ切れ目を修復せず、自らが回転することでぶらんと垂れさがるその部位を鞭のようにゴブリンジェネラルにぶつけていった。



「GYAAAAAAAA」



 スライムを体にこべりつかせたジェネラル、その体についたスライムから絶え間なく気泡が上がる。と同時にジェネラルの顔が苦悶に歪む。痛そうにしながら必死に体にくっついたスライムを引き剥がしていくジェネラル。



「GUOOOOO」



 全てのスライムを剥がし終えたジェネラル、怒りをむき出しにして今度は大斧に炎を吹き出させて巨大スライムに切りつける。


 すると切りつけられたスライムの切り口から白い煙が上がる。どうやら炎で切られた部分はくっつかない様子。巨大スライムが明らかな動揺を見せる。


 それを見たジェネラル、口元に笑みを浮かべると炎を吹き出す大斧を振り上げ巨大スライムを切る。切る。切る。切りまくる。切られまくった巨大スライムは全身の切り口から白い煙を上げる。


 しかし、そこで巨大スライムは再び自ら回転し始める。そして回転と共に体中にぶら下がる部位を鞭の嵐のようにしてジェネラルに迫っていく。


 スライムの鞭を数回大斧で受けたジェネラルだが、一瞬スライムの勢いに後れを取り脇腹に一撃を食らってしまった。苦しそうな表情でスライムから距離を取るジェネラル。急いで脇腹のスライムを引きちぎって取り除く。


 そんなジェネラルに勢いそのままに接近する回転巨大スライム。それを見てジェネラルはたまらず逃走。と思いきや、距離を開けて向き直る。と、その手に握る大斧から噴き出す炎が一段と勢いを増す。そしてジェネラルはその大斧を振りかぶり…投げた。俺が登ってた大木をぶった切ったアレだ。



スパン 



 投げられた大斧はその炎の刃で巨大スライムを上下真っ二つに切り裂いた。


パシャ



 巨大スライムの切られた上半分が水となって地面に落ちる。下半分は切り口から煙が上がったままだ。切り口が修復できず体の形を変えられない様子。


 その巨大スライムに近づくジェネラル。巨大スライムの中であちらこちらと動き回る核を一発でつかみ取る。



パキン



 ジェネラルの手の中で粉々になる巨大スライムの核。それによりなんとか形を保っていた巨大スライムの下半分も弾けて水になる。そして超巨大スライムはその姿を消した。



❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


うおおおい、巨大スライムの復活とかやめてくれ。

しかもデカすぎんだろ! いい加減にしろや!


これ以上バグを増やされたら…もう、俺どうにかなっちゃいそう。



おおおおおー、ナイスだジェネラル!

よくやった! バグなんかに負けるな!

フレー、フレー、ジェッネーラル!



――――――――――――――

◇達成したこと◇

・海坊主たちと合流する。

・白馬に乗ってテンションが上がる。

・習得:【騎乗】

・デカすぎる巨大スラムに驚愕する。

・ゴブリンジェネラルvs巨大スライム観戦



◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:(仮)星獣ヒュペリオン[★★★★★★]

 肩書:マジョリカの愛弟子(EX)

 職業:上級薬師

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1(+3)

 敏捷:1(+13)

 器用:1

 知力:1

 装備:ただのネックレス

 :悩める道化師のトルピード

 :仙蜘蛛の道下服【耐久:+3、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気)】

 :飛蛇の道下靴【敏捷+13】

 :破れシルクハット

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【正直】【薬の基本知識EX】【配達Lv10】【勤勉】【逃走NZ】【高潔】【依頼収集】【献身】【リサイクル武具】【採取Lv10】【採取者の勘】【精密採取Lv3】【調合Lv10】【匙加減】【投擲Lv10】【狙撃Lv2】【鍛冶Lv9】【調薬Lv10】【団粒構造Lv2】【農地管理Lv4】【農具知識EX】【料理Lv1】【広範囲収集】【遠見】【工作Lv1】【釣りLv1】【木登り】【よく見る】【自動照準】【下処理】【火加減】【創薬Lv4】【念和】【騎乗】new!

 所持金:約1045万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]


◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

〇進行中クエスト:



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★☆☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【氷華草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ




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