表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

100/322

第100話 対ジェネラル戦1

『異世界の者よ、汝は我を助けるか否か』



 そっか、【献身】ってそういう事なのね。相手の過去と言うか、背景を知ることができると。なるほどな。そうなると…こりゃ、助けないって選択肢はないな。



 もうあの米粒っ子の時みたいなのは懲り懲りだ。後で後悔したってあの時間はもう戻ってこない。あの時、もう少し米粒っ子のことをよく知っていたら、もう少しあの子の心を理解できていたら。もう少しあの状況の背景を理解していたら、きっと…。




「俺は助けたい。今のあんたのために俺にできることって何かあるか?」


『決断を歓迎する。まずは汝の名を』


「名前はスプラ」


『ではスプラ、我に名を与えよ』


「え、はい? 名前?」



 俺が名前を付けるのか? ってか、名前なかったのかよ。じゃあ…ネギ坊の次だから影坊とかかな?



『ゆら!』


 ネギ坊が俺の頭をペチペチ叩く。冗談だって、冗談。ってか、自分は受け入れてただろ。なんだよ、もう。



『早く決めるがよい。我に名を与えよ』



 うーん、早く決めろとか言われてもな。名前でしょ? なんかネギ坊の時とはシリアス度が違うんだよな。なんだかふざけちゃいけない空気だし? うーん、こんな大きな星獣だしな。大きそうな名前がいいと思うんだが…大輔、大ちゃん、ジャイアント、デイタラボッチ…。だからネギ坊、まだ考えてるだけだからペチペチすんな。


 うーん、そうだな。なんかカタカナで長いやつとか…あ、アレいいんじゃね?



「わかった。『ヒュペリオン』とかどう?」


『ゆらら!』


 おお、ネギ坊から賛成の意が表明された。が、ネギ坊、受け入れるかどうかはお前じゃなくてこの影が決めることだ。


 ちなみに、この名前「ヒュペリオン」は昔、地球で最も背が高い大木と言われた木の個体名だ。双葉の名前の由来を母親に聞いたらなぜか世界一の大木の名前を教えてくれた。なぜ母親が急にこの名前を出してきたのかはいまだ謎のままだが。



『仮初の契約は成った。我が名は「ヒュペリオン」』


 ヒュペリオンはそう高らかに宣言すると、大斧を防いだまま美しい雄叫びを上げた。さっきの将軍様の咆哮とは真逆でなんか心が洗われる感じがする綺麗な声だ。


 雄叫びを上げたヒュペリオン、その全身が光に包まれる。


 その様子にジェネラルは打ち付けていた大斧を下げ、雑魚ゴブリンたちは光を恐れてヒュペリオンから大きく距離を取る。


 そこから銀色の光が数秒の間輝き続けた。


 光がだんだんと収まってくると、ヒュペリオンが徐々にその姿を現す。


 ゴブリンたちが遠巻きに見つめる中、ぽっかり空いた中央には、全身が銀色に輝き、頭には白く発光する一本の角を生やした巨大な馬が現れた。



『我は汝スプラを知り、汝に適した形態へ進化を遂げた』



 おおお、すっげーーー。巨大なユニコーンじゃん。かっけえええ。



『あとは汝が指揮してこの局面を打開して見せよ。今、汝に我が力を示そう。まずはステータスを確認するがよい』



 はい? 俺が指揮して局面を打開する? はあ? 無理難題過ぎるんですけども?


 と内心思いつつも。


「ステータスオープン」


 見たい。星獣とかのステータスぜひとも見たい。



 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:(仮)星獣ヒュペリオン[★★★★★★]

 肩書:マジョリカの愛弟子(EX)

 職業:上級薬師

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1(+3)

 敏捷:1(+13)

 器用:1

 知力:1

 装備:ただのネックレス

 :悩める道化師のトルピード

 :仙蜘蛛の道下服【耐久:+3、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気)】

 :飛蛇の道下靴【敏捷+13】

 :破れシルクハット

 …

 …


 おおお、星獣の欄が増えとる。星獣ヒュペリオンか、いいじゃん、かっこよ。で、ヒュペリオンの性能は?



 名前:ヒュペリオン

 種族:星獣[★★★★★★]

 契約:(仮)小人族スプラ

 Lv:255

 HP:60/9790

 MP:530/12900

 筋力:415

 耐久:380

 敏捷:1260

 器用:525

 知力:610


 固有スキル:【雷撃】 ■■■■


 スキル:【疾走Lv10】【飛翔Lv10】【刺突Lv10】【串刺しLv10】【足蹴Lv10】【流星蹴lv10】【踏付けLv10】【地割りLv10】【念話】【変貌】



 …えっと、いろいろぶっ飛んでて何から検証したらいいのようかわからん。


 うーん、ま、とりあえず、HPはヤバいと。ジェネラルから一撃食らったら余裕でアウトだな。MPは…どうなんだ? まだいけるのか? 固有スキルの【雷撃】いけるなら雑魚ゴブリンは殲滅できるかもな、範囲攻撃っぽいし。あ、でもそしたらジェネラルどうすんだ?


 あ、違うダメじゃん。たしか大切な眷属が人質になってるんだよな。じゃ、まず眷属を助けるところからか? どこにいるんだ?



【遠見】で人質になってる眷属を探す。



「あ、いた」


 ゴブリンジェネラルの後方でしっかりとヒュペリオンの視界に入るように設置されてるな。なかなかズル賢いじゃん。



「じゃあ、まずアレを何とかするか。【自動照準】っと」



 取りあえず、木の上からを眷属の人質、眷属質を担いでいるゴブリン4体をピエロダーツで狙撃する。さすがは【自動照準】と言うべきか、すべて眉間にヒットし4体ともほぼ同時にポリゴンになっていった。



「ありゃ、ダメか」



 4体がポリゴンになって眷属解放かなと思ったけど、甘かった。眷属は横になったまま動かない。というか、じたばたしてるのを見る限り、動けないらしい。そして再び他のゴブリンたちに担がれる。



「えっと、もしかしてなにかで縛られてる?」



 【遠見】を最大拡大して眷属質を確認してみる。すると、眷属の体に薄くて細い青い鎖のようなものが見えた。



「ああ、なるほど、アレを壊さないといけないのか。でもどうする? 敵じゃないのに【自動照準】なんてできん…って、できるんかーい」


 俺の意志ひとつで見事に青い鎖に標準を合わせてくる【自動照準】。使い勝手がいいのは結構だが、こんな汎用性高くして大丈夫なのか?



「でも遠慮なく【狙撃】っと」


 使えるものは何でも使う。俺が生き残るにはそれしかないのだ。



 キィイン


 ん? もしかして今弾かれた? マジ? 念のためもう一回。



 キィイン


 マジかよ。もしかして「遠距離からズルすんな」って事か? 「ゴブリン倒しながら近づけよ」って事か? いやそんなん200%無理だぞ。



ピンポーン

『特定行動により【念話】のスキルを習得しました』



『スプラよ。見事な腕だが、残念ながらその鎖は高い魔力で練られた聖銀で作られておる。魔力で守られておるゆえその…フッ、その投擲武器では破壊は出来ぬぞ』



 …そっか。破壊できないのか。それはわかったが、今ちょっと笑わんかったか? 【悩める道化師のトルピード】のこと言おうとして笑わんかったか?



『いや、我は笑ってはおらぬゆえ、早急に打開してみせよ』



 くっそ、言葉が分かりやすくなったと思ったら、こんな微妙なニュアンスまで伝わってくるとか。【念話】か、すべて【念話】の仕業か。


 しかし、まさかヒュペリオンがネギ坊枠だったとは。やっぱ、名前、影坊にしとけばよかった。


 ぶつぶつ言いながらもストレージを探る俺。そして真っ黒なダーツを取り出す。周辺が黒くなるエフェクトによってちょっと持つのも憚られるほどの逸品だ。



【ダークマターダーツ】1/1

 相反する4組の属性が纏まる事で純粋かつ膨大なエネルギーを包有するダーツ。

 効果:レアドロップ化



「これなあ、1/1ってことは一回きりってことなんだよな。レアドロップ化とか書いてあるし、できればボス相手に使いたかったのにな」



 でも、まあヒュペリオンが動けるようにならなきゃこの局面の打開はありえないんだし、これしかないよな。


 しげしげと真っ黒ダーツを見つめて別れを告げる。次に出会うのは再び【酸袋】手に入れた時だ。はてさていつになる事やら。



「じゃ、【自動照準】アーンド【狙撃】っと」



 【遠見】越しに真っ黒ダーツが青い鎖に向かってぶっ飛んでいくのが見える。で、途中から周りの空間が螺旋状に歪みながら渦巻きだして漫画に出てくる魔法の弾丸みたいなエフェクトに…



「…これ、まさか眷属まで巻き込まんよな」


 心配する俺の心などどうでもいいと言わんばかりにすごい勢いで青い鎖に迫る真っ黒ダーツ。そのまま眷属を縛る青い鎖に吸い込まれるように… あれ?


 なんか視界が真っ暗になったんだが?



 状況が分からず、急いで【遠見】の拡大を緩めてみる。


「げええええー」


 そこには俺と眷属の間に右手を伸ばしたジェネラルの姿があった。



「GUOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!」



ピンポーン

『条件を満たしたため称号【魁の息吹】の効果により、参加可能プレイヤーに協力要請が発信されました』




❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


え? 契約? なんそれ?

一文字AIって契約とかすんの? マジで?


あ、違うわ。(仮)じゃん。だよな。

このシチュエーションを打開するための契約だもんな。

びっくりさせやがってもう。



あああああー、小僧、あのバグダーツ使いやがった。

やめろよ、そういうことするの。

予測が難しくなるんだって。

さすがの俺にだって性能に限度ってもんがあるんだから。

特にバグ関連はやめてくれ。



あああー、そういや小僧【魁の息吹】持ってやがったじゃん。

小僧がレイドボス相手に一発目で1%以上のダメージぶち込んだから作動しちまった。


もう何が何だかわかんねー。


――――――――――――――

◇達成したこと◇

・星獣に「ヒュペリオン」と名前を付ける。

・習得【念話】

・ヒュペリオンがネギ坊枠だと知る。

・真っ黒ダーツを使ってジェネラルに阻まれる。



◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:(仮)星獣ヒュペリオン[★★★★★★]new!

 肩書:マジョリカの愛弟子(EX)

 職業:上級薬師

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1(+3)

 敏捷:1(+13)

 器用:1

 知力:1

 装備:ただのネックレス

 :悩める道化師のトルピード

 :仙蜘蛛の道下服【耐久:+3、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気)】

 :飛蛇の道下靴【敏捷+13】

 :破れシルクハット

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【正直】【薬の基本知識EX】【配達Lv10】【勤勉】【逃走NZ】【高潔】【依頼収集】【献身】【リサイクル武具】【採取Lv10】【採取者の勘】【精密採取Lv3】【調合Lv10】【匙加減】【投擲Lv10】【狙撃Lv2】【鍛冶Lv9】【調薬Lv10】【団粒構造Lv2】【農地管理Lv4】【農具知識EX】【料理Lv1】【広範囲収集】【遠見】【工作Lv1】【釣りLv1】【木登り】【よく見る】【自動照準】【下処理】【火加減】【創薬Lv4】【念話】new!

 所持金:約1045万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]


◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

〇進行中クエスト:



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★☆☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【氷華草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ