『夢の体。』
体の中から自分が出たがっている。鳴咽はやがて吐き気へかわり視覚の替わりに鋭くなった嗅覚は全身という繋がった身体を部分に解体しつつある。敏感な嗅覚により嫌気で頭がもたげている意識だけがもたげさせ鼻の奥に残っている。
いつまでも走馬灯が続いていく、音に記憶が付随している、私達は音を介してどこか奥のほう、それは臍の緒よりも深い、で繋がっている。
ベットの上で目が覚めると自分が寝ている体とベットの間に沈んでいくのを感じた。目は本来の位置より後方、後頭部に近い位置、それは大脳の辺りを漂っている。意識としての自分が半身分ベットに沈み込んでいる。息がきつく体が鉛のように重く動かない。目の位置はもうベットの下から、そこにあるだろう体を見上げていた。ベットから落ちていく。床に接地した瞬間体に意識は戻っていた。
鏡の中に知らない人がいて、でもそれはいつもの自分なのだが、私は鏡でしか自分をみたことがないと気付く。鏡で見る自分が自分なのか、鏡の中の自分が自分なのか。自分の中から自分を感じてみた。桜井和寿が「ミラー」というラブソングを歌っていたのはこのことかと気付く。