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第69話 次の駅へ

 私たちはガトーのイチゴのケーキセットを食しながらスイーツについて熱く語り合った。そして40分ほどが経過した時、ガトーの店員が部屋に入って来た。



 「ソレイユ様、王国魔法士団のバランス隊長が到着されました。ご案内してもよろしいでしょうか」

 「バランス隊長との会議はまだ1時間も先のはずだ。俺が早めに到着して食事をしているのを知っているから早く来たのだろうか」

 「兄様、どう致しましょう。せっかくリーリエさん達をお食事に誘って、こんなにも楽しい時間を過ごしているのに、仕事のお話になるのは悲しいわ」


 「そうだな。約束の時間まで待ってもらうことにしよう」

 「ちょっとお待ちください。実は私たちは次のカフェへ行く予定があるのです。せっかくですが私たちはこの辺で失礼致します」



 ついついスイーツの話で夢中になってしまったが長居は無用である。ガトーのイチゴのケーキのクオリティーを確認することができたので、次のカフェへ向かうことにした。



 「え~~~。もっとお2人とお話がしたいです」

 「リュンヌ、わがままを言うのではない。2人にも予定があるのだ。それに、俺たちは暫くの間は王都へ滞在することになるのだから、次の機会にでも話の続きをすれば良いではないか」


 「わかりました。リーリエさん、ローゼさん、また一緒にお食事をしましょうね」

 「はい、喜んで」

 「こちらこそよろしくお願いします」



 今回の食事はソレイユがおごってくれたので、支払いをすることなく店を出ようとした時に、バランス隊長と出くわした。



 「おや、これはリーリエ嬢とローゼ嬢ではないか!こんなところで何をしているのだ」



 バランス隊長は私たちに気付いて店内に響くような大きな声で話しかけてきた。あまりにも声が大きいので私とローゼは恥ずかしくて顔を伏せて通り過ぎようとした。



 「お~い!俺だ。バランスだ。こんな所で出会うなんて奇遇だな」



 バランス隊長はズカズカと私たちの道を遮るように突っ込んできた。



 「これはバランス隊長ではありませんか!気づかなくてごめんなさい」

 「ガハハハハ、気にしなくても良いぞ。で、こんな所で何をしているのだ」



 カフェですることなど1つしかない。



 「ローゼと一緒にケーキを食べていたのです」

 「ガハハハハ、そうだな。ガトーのイチゴのケーキは絶品だ。でも俺が聞きたいのはそれじゃない。2階席から降りてきただろ?今日はソレイユ様が2階席を貸し切りにしているはずだ。どうして、ソレイユ様と一緒に居たのだ」


 

 私は何か面倒ごとに巻き込まれる気がした。



 「バランス隊長、私とリーリエさんは偶然ソレイユ様と出会ってお食事に誘われたのです。私たちは別の用事がありますので、先に退出させて頂きました」

 「ほほう、そうなのか。俺は今からソレイユ様と大事な話があるのだ。お前達も一緒に来てくれ」


 「それはご命令でしょうか」

 「その選択は君たちに任せよう」



 バランス隊長は言葉では選択を促すが、顔からにじみ出る圧力がヒシヒシと感じる。しかし、その圧力は横暴でなく嘆願である。


 「リーリエさん、断ることはできないでしょう」

 「そうね。ソレイユ様のところへ戻るわ」



 私はバランス隊長と一緒にソレイユの元へ戻ることにした。



 「ハハハハハ、俺は君たちなら戻ってくると思っていたよ」



 ソレイユはさわやかな笑みで私たちの出戻りを歓迎する。



 「リーリエさん、ローゼさん、嫌なら断っても良いのよ」



 リュンヌは優しい笑みで出迎えてくれる。



 「ガハハハハ、これも運命のお導きというヤツだな」



 バランス隊長の言っていることは正しい。私はゲームが敷いた運命のレールに乗せられている。次はどんな駅に向かわせられるのだろうか……。

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