6,細胞の化身
圧倒的強者の前に立つすべがなかった二人だったが、同時に凄まじいほどのやる気が湧き出た。
獅子王「なぁラルク、あのオッサン強かったな!」
ラルク「アイツに勝つビジョンが見えない。」
ここまでの二人の戦績は
獅子王D3戦4連勝 あと1勝
ラルクD3戦2連勝 あと3勝
ラルク「獅子王はあと1勝で上がれるのによ…何で試合しないんだ?」
獅子王「ラルク…司会者の話を聞いてなかったのか?D2戦に上がる条件は…タッグ戦をしないといけないんだよ。」
ラルク「タッグ戦!?」
D3戦のタッグ戦とは2対2のことであり、組みたい仲間は4連勝しているD3選手なら誰でも組める様になっている。
そのため、獅子王はラルクがあと2連勝してくれるのを待っているのだ。
ラルク「この荒れ狂ったD3戦で友情的物を試すってか…気味悪いな。」
獅子王「あぁ…この異種格闘技界の会長は何を考えてるんだか…」
二人は呆れながらそう言った
ラルク「とりあえずさっさと2連勝してくるわ。待ってろよ獅子王!」
獅子王「こっちのセリフだ、バカ野郎。」
夜が明ける…
さぁさぁ今日もやってきましたD3戦。今日殺る午前の選手はこいつ等だ。
元D2選手の毒葬のアオアシを倒した若きルーキー、この世の生き物と相反して生まれたかのようなその超再生…今宵もその姿を見せてくれるのか。
一匹狼…ラルク…
見た目は普通。だがコイツは…自分の筋肉を自在に移動できる!パンチ力が欲しければ殴る際に全筋肉を腕から拳に集め殴る。見ていてもわけが分からない珍妙な生き物。
科学からの死者…細胞具
バトル…開始!!
ラルク「見た目は人間の形をしたなにかか。」
試しにラルクは正面から殴りました。ラルクが殴った所は穴ができていて殴った感触がありませんでした。
ラルク「貫通したってよりか…当たってない感じだな。」
ラルクはこの後も殴ったり、蹴りを入れたりしましたが細胞具が倒れることはなくケロッとしていました。
細胞具「我は…不死身だ…」
ラルク「そう思うのは君だけだろ」
細胞具「ならば…示してみせよ」
ラルクは細胞具に殴りかかった。腕は貫通した。
細胞具「ほら…無理だったろ…この通りもどっ…」
ラルク「もどるんじゃないのか?」
細胞具「戻らない…何故だ…」
ラルク「俺は殴るフリをしてお前の細胞を握りしめたのさ。だから、その部分だけ戻らないってことさ。」
細胞具「しかし…他の細胞の部分から修復すれば…」
ラルク「気づいたか?戻りはするが、修復に使った部分は小さくなっていることに。」
ななな…なんと…細胞具選手、不死身ではなく数千億の細胞が合体してできた生物だったとは。それなら細胞具選手の能力にも頷けます。
細胞具「しかし…お前が握ってる細胞…離せば我のとこに帰ってくるのだぞ。」
ラルクは細胞具の細胞を飲み込んだ。
ラルク「これで再生しないな。お前が戦えなくなるまで食べればいい簡単な作業の完成だ。」
細胞具「調子に乗りおって…これでもくらえ!!」
細胞具は下半身の筋肉(細胞)を右腕に集めて2トントラック程の拳でラルクに殴りかかった。
ラルク「こんな物簡単に避け…」
細胞具の拳は靭やかに曲がりました。
ラルク「元は数千の細胞がくっついてるから…一つ一つの細胞が自由に動いてあの巨大な拳でも軽やかに動いてるのか。」
細胞具「ほらほらどうした?逃げても腕を伸ばせばお前に追いつくぞ!」
ラルクは細胞具の拳から必死に逃げました。細胞具は感情が高まっていたせいか、腕を伸ばしすぎて拳がどんどん小さくなっている事に気づきませんでした。
ラルク「これくらいかな…」
ラルクは細胞具の拳を避け拳より後ろの腕に噛みつきました。腕と拳は分断され細胞具はようやく焦り始めましたがもう遅く、ラルクはそのまま腕をどんどん食べ始め細胞具の顔の近くまで食い尽くしました。
ラルク「遠慮なく頂きます。」
ラルクは細胞具の拳だけを除いて多分顔と思われる箇所から食べ始めました。
ラルク「お腹いっぱいだわ。あれ…細胞具何処だ?小さくて見えないなぁ。」
30cm位になった細胞具を眺めながら皮肉として言った。
ラルク「さてと…どうします自称不死身さん」
細胞具は心が折れ膝から落ちました。
これは…決着ついたということでよろしいですかな?………ラルク選手の勝ちです。
今日のD3選午前の部一回はラルク選手の勝ちで終わります。皆様ラルク選手に大きな拍手を…
獅子王「ラルク…アレを食べるとかエグいな、俺だったら吐きそうだぜ。」
ラルク「最初食べた時に体に違和感を感じてさ…細胞具の細胞が俺の体に適応したかのような気がしたんだ。」
獅子王「超再生とアイツの細胞がマッチしたって感じか。」
ラルク「多分…」
獅子王「それじゃいっときは休憩だな。午後の部も頑張れよ。」
ラルク「あぁ…次も勝ってお前に追いつくぞ」