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元ブラコン妹は冒険者デビューする

さて、あのお茶会から早八年。二人とも、立派な馬に蹴られろカップルに成長し、学院も卒業して、第一子がおなかの中におりますの。


あまりの過保護さに、お姉さまは日々、兄に抗議していますが、兄はお姉さまの怒った顔も大好きなのであまり意味がなく、むしろバカップルを助長する結果になって

おりますわ。


そんなこんなで、晴れて血を存続するスペアから解放された私は、兄の許可を取り、家を飛び出しましたの。

家に居続けても小姑になるだけですし、正直、兄もお姉さまも私のことかわいがってくれますが、あの糖分過多の中にいたくないですわ。


あと、あのまま行くと、金銭的利益のある家に売りつけられそうでしたの。

ですので、飛び出しましたの。


父と母の許可?当然取っておりませんわ。ですが、もう実質的な当主は兄ですし、近いうちにあの二人は自分でやらかしたいろいろな小さい悪事の責任を取って領地の隅に引っ込むでしょうから、もう関係ありませんわね。


当然、兄が手を回しておりますのよ。


そうそう、つい最近両親のそれぞれの隠し子が見つかりましてね。片親ずつしか血をひいていないので、純血の貴族とは認められないのですが…、それぞれスラム街にいたのを偶然みつけましたの。

魔術鑑定の結果、片方しか血のつながらない弟妹が一人ずつできて、その子の扱いに兄がついにブチ切れましてね。貴族なら大なり小なりしているあれやこれやを、今引っ張り出している最中なのですって。


兄は、度のすぎたシスコンではなくなりましたが、兄弟は大事にする方ですから。


あんな親では余計に。



そんなこんなで、家が騒がしくなる前に、飛び出したというわけですわ。

学院は中退いたしました。終えるべき勉強は曲がりなりにも高位貴族でしたので、家庭教師により、終えていますもの。


学院にはコネを作るためと、貴族たる証を得るために行くのですが、冒険者になる私には関係ありませんわよね。




さて、冒険者ギルドの中に到着いたしました。

ローブのフードをかぶってできるだけ目立たないようにギルドに入ります。


少し、定番の返り討ちをやってみたくもあったのですが、ペナルティ等が怖いので止めておきます。

目立つのは、ハイランクになってからで十分です。


そう思っていたのですが、入った途端、周りから下卑た視線が私に突き刺さります。

どうやら、前世で見た男女平等なギルド、なんて夢のまたゆめ。女であるというだけで、獲物認定されるようです。


私はため息をつきながら、受付へ向かいました。




「お嬢さん、冒険者登録かい?」


「ええ、そうです」


「ふーん。わかった、じゃ、このカードに自分の血を垂らして…こっちの書類に必要事項書いて…はい、これで終了。最初は十三階級ね。数字が小さくなるほどに強いってことだからよろしく。

ギルドカードの再発行は四千ガルラ。高いからなくさないでね。で、昇格は一定の依頼をこなしたら受けられるよ。

ただ、スタンピード等で活躍したら飛び級もあるから」


「わかりました」


なんとなく、やる気がない受付にざっくばらんに説明されて冒険者登録は終わりました。

この人、あまり好きではありませんね。


「あ、あと、新人に受けてもらう強制依頼があるんで受けてね。これ」


そういって押し付けられたのは、とある農村に出るゴブリンの討伐でした。ゴブリンのイメージは定番のやつです。


「冒険者の覚悟を見ないといけないからさ。あと、新人研修もかねて。大丈夫、ベテランもついていくからさ」


そういって、どこか暗い笑顔をしながら受付の人はニタニタ笑います。


なんとなく嫌な予感がしますが、受けなければ冒険者になれないなら仕方がないです。

その依頼書を受け取って、踵を返します。

ギルドをでるまでに、だれか絡んでくるかと思いましたが、予想外に誰も絡んできませんでした。相変わらず、視線はうっとおしかったですが。


私は、家に帰ると、兄からもらったレターフクロウに手紙を持たせました。レターフクロウは、魔物だけが通れる魔道を通って手紙を特定の人に運んでくれるのです。


「杞憂だといいけど…」


そう呟きましたが、きっとそうはならないだろうという予感がしてたのでした。

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