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オルランの一人ぼっち  作者: 矢部涼
6/11

6.跳躍者の戦い方

 空が焼け始めている。この種族世界はオルランよりもやや、日の流れが速いようだった。うっそうと茂る木々の間の影が、濃くなってきている。それらはウィルにとっての死角を作りだしているが、アルヴにとっては違うだろう。完全に暗くなる前に、決着をつけるべきだった。

 跳躍を使わずに、ウィルとフィーリタは大講堂へ向けて移動し続けている。隠れ家からは、まだそれほど離れてはいない。最大限の警戒をしながら進んでいるせいで、その歩みは遅くなっていた。

 フィーリタが立ち止まると同時に、彼もまた視界の中でそれらを捉えた。透身によって隠れているのが、六体いる。


「おい」

「わかってます」


 緑子の証とも言えるこの目は、存在を見逃さない。多少のごまかしは効かないようになっていた。

 露見したと判断したのか、前方に三体のアルヴが出現した。


「脳みそまで、やられたらしいね」


 真ん中の豊満なアルヴが嘲笑うと、左右も追随する。彼女たちは弛緩したような空気をまとってはいるが、隙を見せているわけではなかった。もう三体が、まだ隠れている。こちらを油断させて、一気に攻めるつもりなのだろう。

 彼女たちは全員、フィーリタに注目していた。


「半端者。あんた終わりだよ。白餌に同情して、なんになるの?」


 チ、チ、チ、チ。

 頭の中で、時計を想像する。秒を刻んでいく音が、常に耳の奥で響いている。あともうしばらくは、この型で続けるつもりだった。


「白きアルヴを疎んでいるのか?」


 相手は皆、耳を少し上下に動かした。声を加速させているせいで聞き取れなかったのかと思ったが、そうではないらしい。


「こいつ?」

「そ。エラを殺した奴」

「へえ、男か。ウィルの方が良さそうだけどね。仮面を剥いでみないと何とも」


 同意するような声が上がる。

 少し待ってから、もう一度同じ質問を繰り返した。彼女達はそれを聞いても、馬鹿にしたように笑うだけだ。


「あれは、アルヴでもなんでもないよ。気色の悪い、ただの肉さ。もういいかい? 死ぬ前の気晴らしくらいにはなっただろう」


 チ、チ、チ、チ。

 ウィルは透明になっているアルヴも含めた、全ての敵の構えを観察した。誰もが、近接用の武具を携帯している。術での攻撃は、一切するつもりがないらしい。

 背中を、冷たい汗が伝った。やはり、用心を重ねて正解だった。既に魔素の暴発による殺害方法が、解明されている。他の全ての部隊にも共有済みだとと考えていいだろう。アルヴ達には、距離を無視した伝達手段が用意されている可能性が高い。

 彼女達が悠長に会話をしているのも、時間稼ぎのためだ。

 素早く、フィーリタの腕を握る。彼女は予想以上に大きな反応を示してきたが、事前に言っていたので、受け入れる準備はできているはずだった。

 彼はできるだけもっともらしい声を作りながら、宣言をした。


「お前達全員、次の瞬間もだえ苦しむだろう」


 そして、跳躍を始めた。このアルヴの部隊と接敵してからの時間を、正確に測りながら。

 トク、トク、トク、トク。

 一秒。その長さを決めたのは、一体誰だったのだろう。日が落ちて沈むまでの時間を分割したもの。水が重力に従って一定の高さから落ちる時の音、あるいは脈拍が刻む音の間隔。他にも、たくさんあるはずだった。時間について、多くの者達が考えてきたはずだからだ。

 様々な間隔を、現在設定されている一秒という枠組みに当てはめる。同じ刻み方をずっと続けるのは、厳禁だった。何重もの計測を続けていく必要がある場合、その時間を認識する方法そのものを、多様化させていかなければならない。

 再出現した直後に、己の脈を測る。多少早くなっていても、問題はない。既に一秒ちょうどの脈拍の間隔を、脳が覚えている。


「離せ」


 その声でようやく、まだフィーリタに触れたままであることに気がついた。ウィルはその声に従ってから、彼女の様子を観察する。まだ、綻びは見られない。


「他も見つけ出していきましょう。まだ、耐えられますか?」

「問題ない」


 既に彼女は、周りの警戒を始めている。最初は提案した作戦に半信半疑でいたようだが、有効な代替案を出せなかった。だから受け入れて、成功するために全力を注いでいる。ウィルは自分の中の不安が小さくなっていくのを感じた。やはり、フィーリタに協力を求めたのは間違っていなかったのだ。

 予想が正しければ、アルヴ達は十の部隊を展開させていることになる。それぞれが一定の距離を保ちながら、捜索網を広げているというわけだ。

 移動し、接敵すればその構成を把握して、過去へと跳ぶ。これを繰り返していくことで、全ての敵部隊の戦力と、その位置を把握できる。特にそれぞれの位置関係については、完璧な情報収集が不可欠だった。もし本番で合流されでもしたら、難易度が格段に跳ね上がるからだ。

〈一週目〉の段階でも、致命的な危険を犯す可能性は十分にあった。途中で不意打ちを受けて自分が即死すればそれまでだし、過去の自分と下手に遭遇してしまったら、時間軸が分裂するかもしれない。

 それでも、問題は何も起こらなかった。この戦いの方法を何日も前から夢想していたが、実際に試したのはこれが初めてだ。ごく少数の味方で、多数の敵を排除しなければならない状況のために考え出したもの。

 もちろん、期待した通りの状況ばかりではなかった。六体編成の部隊同士がかなり近い距離で動いていた区域もあり、また別の大きな障害が用意されていた場合もあった。そこに関しては、臨機応変に対応していくしかない。

 発見できたアルヴは、全部で五十七体しかいなかった。所々で部隊の数が欠けており、独自の行動をしている個体がいることを示してきている。

 長老。そして最も若いアルヴだと考えられる、金髪のシシルと黒髪のロメテ。

 彼女たちが浮いた駒だとは、あまり考えられない。特にロメテは、唯一手を出してはいけない相手だ。もしその命を奪いでもしたら、その瞬間に自分も死ぬことになる。彼女には、ルイシーナの死体だと思われるものを、過去の自分へと運んでもらわなければいけない。

 ここが限界だと判断し、ウィルは細かい跳躍を繰り返した。この段階ですでに二十を超えた数になっていたが、まだ準備段階でしかない。なるべく余裕の持てるようにルートを構築したが、油断はできないだろう。

 そうして、ぴったり五分三十秒前の時点へと戻った。場所は沼の地下にある隠れ家だ。

 転移を終えた瞬間、上の出口が閉まる音がした。計算はほぼ正確だったらしい。今まさに出ていった過去のウィル達は、最初の接敵に対して緊張を高めているだろう。その不安は杞憂だったと、指摘してやりたかった。

 フィーリタは、ニーハが取り外されるところを、無言で眺めていた。ウィルがその黒い刃で泥の壁に図を描き始めても、座っているだけだ。一度大きく、深呼吸をしていた。


「こうして考えると、やはり全体的にこちら側に寄っていますね。俺と貴方が逃げた方向の目星は、ついていたみたいです」

「そうだな」


 彼はアルヴの部隊の位置関係を示した図を見ながら、独り言のように続けた。


「ここから近いものから、順に処理していくのがいいでしょう。一分以上かかったら、修正案件です。すぐに俺の体に触れてください。あとは、臨機応変にお願いします」


 返事がなかったので、後ろを振り向いた。

 フィーリタの顔には、少し疲労が含まれているように思える。しかし、深刻なものではない。他者が跳躍の力に関わることは、本来避けるべきことらしい。普通の生物は時間をさかのぼっただけで、魂そのものに負担がかかる。

 ウィルは付けていた仮面を外し、控えめに彼女の方へと寄った。


「きついようなら、次善策に移りますよ。俺だけでもほとんどは…」

「いや、大丈夫だ」


 彼女は胸のあたりを押さえてから、軽く叩いた。豊かなふくらみが波打つ。さらけ出されている肩には、少しの汗が流れていた。相当に鍛え、体力もあるのだろうが、跳躍にそう何度も耐えられるとは限らない。

 フィーリタは頭へと手を伸ばした。髪紐を取り外し、中くらいの長さの銀髪がほどけていく。その瞬間彼女特有の香りも放出されたような気がしたが、あまりそういうことは考えないようにした。

 後ろ手で髪を縛り直してから、少し吊り気味の目を向けてくる。


「お前は、経験があるのか?」


 驚いて、彼は後ずさりそうになった。


「どういう?」

「慣れているように見える。戦争をした経験が?」

「ああ、いや。全然。でも、こういうものじゃないですか? 誰だって妄想くらいはしたことあるでしょう。もし自分が指揮官だったら、とか」


 途中から恥ずかしくなってきていたので、俯いた。そのせいだったかもしれない。前から軽く笑うような声がしたのに対して、反応が遅れた。

 顔を上げると、既にフィーリタの顔にはわずかな残滓しかない。それでも、彼女が初めて純粋に笑ったのだと伺い知れた。


「お前のような奴はそういないだろうな」

「どうでしょうか」

「すまなかった」


 瞬きする間に、彼女は立ち上がっていた。そして、ウィルのそばへと歩いてくる。彼よりも頭一つ分背が高いためか、近づかれるとより迫力が増した。ただ威圧感はない。彼女の体が、まるで磨かれた針のように均整が取れているからだろうか。細く綺麗な出で立ちは、乱暴な印象を全く与えてこない。


「何のことです?」

「あれだけの傷を治してもらった礼を、まだ言っていなかった。最初は怪しかったとはいえ、恥ずべき態度だ。すまない。そして、恩に着る」

『それほどでも』


 ホロが跳び出してきても、フィーリタは動かなかった。ただ静かに、自分を見下ろしてきている。そのやや青みがかった瞳は、何かを気にしているようだった。 

「平気か?」


 少し前までは、その口からそんな言葉が出てくるなんて、考えもしていなかった。


「俺には、負担がありません。いくらでも跳躍できます」

「そうじゃない。これから、多くを殺すことになる。耐えられるか?」


 少しだけ、思い返した。彼女は、ここが最後の境界線だと言いたいのだろう。アルヴ達がかつて向けてきていた、好意的な視線。一緒に鍋を囲み、食事をしたこと。多くはない思い出の全てが、フィーリタの話した事実によって黒く塗りつぶされていた。


「俺は……」


 ゆっくり言い始めることで、声に震えがないことをちゃんと確認した。


「アルヴという種族を、心底軽蔑します。もう、同じ生物だと考えられない。種族そのものの存続よりも、ルイシーナの生が優先されるべきです」


 目の前に、褐色の体。

 フィーリタは彼の肩を強く握ってくる。眉をわずかに下げていた。今言った言葉を、肯定も否定もしない。その手のひらの熱を感じながら、ウィルは目を閉じた。自分は一人で戦っているのではないと、強く心に刻みつける。

 そして、〈二週目〉を始めた。









「お前達全員、次の瞬間もだえ苦しむだろう」


 七十五点。客観的に聞くと、あまり良いとは言えない。声の末尾が安定していないし、今考えると最善の言葉選びをしていない。もう少し、恐怖をあおるようなものにするべきだった。喉が確実に潰れる、だとか。

 トク、トク、トク、トク。

 秒を心の中で刻みながら、ウィルは鞄を開いていた。その中から、六つの球体を取り出す。半分をフィーリタに分けた。

 そして自分達が跳躍し始めたのを確認してから、彼女と同時に投げた。

 六体のアルヴは皆、完璧に反応していた。直前に過去のウィルとフィーリタの消失を目にしていたというのに、ほとんど隙を見せない。二体は球体を武器で破壊し、三体は軽々とかわした。そして残りの一体は、体から噴き出した黒い気体でそれを飲み込んだ。

 たとえ直撃したとしても、まるで意味はなかっただろう。何の変哲もない粘土作りの球体には、殺傷能力など備えられていない。

 すぐさま、ウィルはそれぞれに付けていた時場を操作した。同時に展開できるのは、七つまでだ。複雑な時間操作をすれば、それだけ時場の数は減っていく。

今回は単純だった。六つ全ての球体を、過去へとほんの少し跳ばすだけ。

 成功したかどうかは、アルヴ達の反応を見れば判断できた。

 彼女達は一様にして、表情を歪ませていく。口を開けながら、手で喉をかきむしるようにしていた。

 ウィルの眼前にまで迫っていた投擲武器が、落ちていく。彼はその攻撃がまるで見えていなかった。もしあと一瞬でも遅かったら、鼻先をずたずたにされていただろう。

 夜精霊種(アルヴ)は、半実体種族だ。手足をどうにかしたとしても、止められるとはかぎらない。だが頭とその周辺の部位は、実体種族とほぼ変わらない構造だ。だから喉の中に突然、気道を埋め尽くす程度の大きさの球体が出現したら、何もできなくなるのは当然だった。

 跳躍させた物体もまた、他の何かと重ならないように座標の調節がなされる。裏を返せば、あえて重ならせることもできるのだ。ウィルはこれを、過転砲と呼んでいた。

 過去へと転送された砲弾が、相手の思考を奪っている。透身術で隠れていた者も、姿を現し始める。

 木々の間を跳びながら、風のように影が通り過ぎた。振るわれる闇の刃が、アルヴの額を次々と貫いていく。フィーリタはまるで踊っているようだ。飛び散る血をその身に浴びながらも、臆することなく最後の一体のとどめを刺した。

 仮面の下で、ウィルは浅く呼吸する。手をまっすぐ伸ばし、死体の中に残っている球体を跳躍させた。それらは全て、鞄の中へと収まっていく。。一度使った道具を再利用できるというのも、過転砲の大きな利点だ。

 体に異常は出てこなかった。ルイシーナや、フィーリタの深く傷ついた姿を見た時は酷かったのに、今は何も感じないように思える。真ん中に倒れている相手が、かつて広間で一度話したことのあるアルヴだと気づいたが、それもまた影響を及ぼしてはこなかった。

 戦闘はわずか十数秒で終わった。

 フィーリタは、手早く死体の首元から何かを外し始める。装飾品のようなものだ。そしてそれらをまとめて、草の生い茂る方へと投げ捨てていた。

 二対六十ではなく、二対六を十回繰り返す。これを徹底するだけでいい。一つの部隊を処理したら、過去へと戻る。そしてまた別の場所で、別の部隊と戦う。同時に全ての敵と対すれば、合流されることも、こちらの戦い方の情報を共有されることもなくなるだろう。

 改めて、跳躍の力のすさまじさを思い知らされた。本来なら勝てるはずもない状況を、たやすくひっくり返すことができる。


(今までに、跳躍者(リプナー)が大規模な侵略行為を行ったことはあるのか?)


 強大な力を手にしたら、誰だって一度は考えるかもしれない。種族の差を埋めるだけのものがあるのだ。


『どうだろう。でも大抵は、目的を達成する前に死んでるだろうね』


 自己の認識と矛盾するような過去に変えてしまうと、世界が分裂する。使用者はその時の負荷に耐えきれず、死亡する。他の者達は、それに気がつくことはない。

そこから導き出される推測は、あまり気持ちの良いものではなかった。


跳躍者(リプナー)は、記録されている数よりも、どれだけ多くいた?)


 ホロは前を走るフィーリタの背中にくっつきながら、薄く笑った。


『面白い考えだ。まあ、二体だけなんてことはないだろうね。実際は、その何倍も多く存在していたかもしれない。きみがうかつな失敗をして、その他全員から忘れられることがないように祈るよ』


 彼らは順調に、アルヴを殺していった。仕掛けられた何重もの罠があった上で、待ち伏せのような形を取っている部隊もいた。しかし、こちらにもフィーリタがいる。彼女はアルヴの戦い方を熟知していた。


「おい!」


 フィーリタの焦っているような声は、初めて聞いたような気がした。

 ウィルは、身動きが取れないでいる。太い毛むくじゃらの手に押さえつけられていた。

 アルヴ達は、混種生物を狩猟することで暮らしていた。多くの種族世界があることで発生する、害獣のようなもの。それを狩って食べるだけではなく、使役することもしていたようだ。

 その獰猛な動きには、すぐに対応できなかった。

 歪んだ視界の中で、相手の首元を見る。輪になっている力場で覆われている。おそらくそこから魔素を全身へと浸透させて、意のままに操っているのだろう。つまり、暴発させれば中から破壊できるというわけだ。

 横から二つの時場が飛んでくるのを認識して、すぐさま同じことをする。 

 獣の大きく発達した両腕、そして両足。さらには首や腹部にも加減速が作用していく。流れている魔素の多重的な流れが、大きく乱された。そして所々で衝突し、外へと力を発散させていく。

 混種生物は、全身を破裂させて即死した。その体液を嫌になるほどかぶりながらも、ウィルは立ち上がる。そして、フィーリタの足が伸びていくのを見ていた。

 彼女とニーハは、相性が非常に良かったようだ。もともと縁のある種族同士だとはいえ、すぐに連携を完成させるのは難しい。しかし、彼女たちはお互いの可動域を見極めて、最適な動きをしていた。

 アルヴは、ある程度の肉体変形を可能としている。一時的に非実体にすることもできるが、フィーリタは変形そのものを最も得意としているようだ。敵のアルヴも使っていたが、その速度や変形の幅には明らかな差があった。

 部隊の最後の相手を下し、彼女は着地した。ニーハと何かを話してから、元の身長へと戻っていく。


「怪我は?」


 まだ何かを続けそうだったが、ウィルは手で制した。


「ちょっとそこの木の裏で、待っててください。過去の俺を助けないと」


 十八秒ほど前へと戻り、必要な事をした。最も緊迫する瞬間だ。誰の目にも入らない位置から、食われかけている過去の自分へと、援護の時場を出す。

 そして全てを見届けてから、佇んでいたフィーリタへと合流した。彼女はちらりと見てきてから、前を歩き始める。


「まさか、ここまで上手くいくとは思っていなかった」


 彼女の呼吸は、やや乱れている。


「あとは、大講堂周辺の二部隊だけです。工夫しないといけません」

「特に団長のヴァリは、正面からでは分が悪い。お前が狙われたら、まずい」

「上手くやりますよ」


 彼女は立ち止まった。少しだけ追い越してから、ウィルは振り返る。

 限界が来ているわけではなさそうだ。その目は、逡巡の色を見せているように思える。


「こっちに向かいたい。予定とは違うが」


 示した先は、大講堂とはずれていた。


「そっちに部隊はいませんよ」

「アルヴを滅ぼすのなら、やらなければいけないことがある」


 時間に余裕があるとは言えなかったが、その真剣な様子は安易に否定することをためらわせた。言った彼女からも、あまりそうしたくはないという思いが伝わってくる。それでも、片付けるべきことらしい。

 ウィルは頷き、彼女に付いていった。




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