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寝坊

日本時間なら午前5時くらいだろうか?


まだ寝ていたかったがそうもいかない。 まったく、労働は朝目を開けて起き上がる瞬間が一番辛いのだ。


今日は収穫祭で忙しくなるらしく、昼過ぎから開店するこの店も、いつもより早く下準備に取り掛かるらしい。


下の酒場へ降りると、とっくに起きていたウォーリオが一人で荷馬車から酒樽を下ろしていた。


「よぉ、起きたか!」


「あれ?ジーカは?」


「あいつはまだ来てない。多分寝坊してるから起こしに行ってやれ」


あいつが寝坊?珍しいこともあるもんだ。


俺は酒場を出て徒歩2分のジーカの住んでいる長屋へ向かう。

一部屋四畳半ほどの悪くない部屋だ。


家の前についてドアをノックするが、なんの反応もない。


昨日の教会でお清めを見てしまったので同じミスは繰り返すまいと何度もドアをノックする。



「おーい、ジーカー!」


なんの反応もない。


「ジーカ開けるぞー」


俺は仕方なくドアを開け中へ入る。一応ことわっておいたから大丈夫なはずだ。


本当にぐっすりと眠っている。


俺はカーテンを開けて部屋に光を入れる。


「おいジーカ?起きろよー」


ジーカの顔を覗くと、光で少し眩しそうな顔をしたものの寝返りを打って光を遮る。


「お兄ちゃん、今日は休みだよ〜」


いつもはしっかりしているジーカだが、朝には弱いらしい、こいつの子供っぽいところを初めて見たような……


…てっ!!…お兄ちゃん!?

俺はどきりとして後ずさる。

一人っ子の俺にとっては結構刺激の強い言葉だった。


「ね、寝ぼけて泣いて早く起きろ。」


と言いながら勢いよく布団を剥がす。


「やめてよシルフお兄ちゃん」


とまた寝返りを打ってうつ伏せになる。


シルフ?誰だそれ


どうやらジーカは俺とそのシルフという男を勘違いしているようだ。

お兄ちゃんと言ったが俺はジーカのお兄ちゃんなんて見たことも聞いたこともなかった。


「はっ!」


と言って勢いよくジーカは飛び上がる。


そして俺と目があったかと思うと、いつもの大人びたジーカに戻る。


「もしかして私、寝坊しちゃいました?」


「お、おう」


「本当にごめんなさい。すぐ行きますんで先に行っておいてください」


そう言われて俺は外に出る。

中からはすぐに急いで支度するジーカの足音が聞こえる。


お兄ちゃん、、たとえ間違いだとは言え案外悪くない響きだ。

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