ハーレムは向こうからやってくる?
俺の名前は中嶋志郎どこにでもいる社会人だ。
今、スゴイ事が起きているんだ。
俺、異世界にいるんだよ。
嘘じゃないよ!見る気失せたみたいな感じ出すのやめて!
コホン、とりあえず、そこのお客様。俺の姿をよーく見て下さいよ。それでも帰りますか?
ほらほら、見る目が変わったね、お客様。他の皆様も気づき始めましたね。
あれ、皆さん、なんか………見る目がおかしいですよ?
なんか獲物を見つけた目をしてますよ?
ちょっ!!待って!!アッーーー!!
ハァハァ、なんとか逃げられた………やっぱり姿を見せるのは良くないな。
でも、最ッ高に………興奮した〜〜〜!!
アッハッハッハーーーーーマジで異世界最高!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「やっぱり、良いなぁ異種族娘」
そう言いながら俺は最近お気に入りの本を置いて、ベットに寝転ぶ。
「おっと、ゲームのスタミナもう回復したかな」
置いていたスマホを手に取りアプリを起動させる。
やっているのはもちろんモンスター娘が主役のゲームである。
「今日はどの子を育てようかな〜よし!ラミーちゃん(ラミア娘)キミに決めた!」
ピリリリリリリリリ!!
スマホのアラームが鳴り出した。
「嘘だろ。もう夜勤の時間だなんて………しょうがない、準備するか」
バックに貴重品、夜食、眠気覚ましの類を詰め込んでいき、最後にポケットにスマホを入れて準備を終わらせる。
そして俺は暗い夜になっている玄関の扉を開けて外に出ると………そこは明るい街道でした。
「…………………はい?」
俺は気の抜けた声が洩れた。
目の前には人や馬車などが右へ左へ流れていってる。
いや、人ではない、よく見ると頭にケモノの耳が生えている。
さらに空を見ると、俺の情報が確かなら今、空を飛んでいるあれは………
「ハーピー?」
もう状況に頭が追いつかない理解が出来ない。
「あぁ、夢だな。これは夢だ。俺があんまりモンスター娘が好きすぎて夢を見ているんだな、これは重症だな早く夢から覚めないっと!?」
そこまで言って俺は突然後ろからの衝撃にコケそうになる。振り向くと自分より大柄な獣人の男がいた。
「悪りぃな、ぶつかっちまって、ボウズもボーッとしてるとアブねぇぞ?」
「アア、スミマセン、キヨツケマス」
思わずカタコトになってしまったが後ろからぶつかったという事は………
玄関の扉が無くなっていた。
「嘘だろ?夢じゃない?」
「大丈夫か、ボウズ?」
心配そうに獣人の男の人が聞いてくる。
「あの、変な事をお聞きするんですが、此処どこですか?」
獣人の男は不思議そうに答えてくれた。
「どこってここはセドアノス国のウェミドルだけど………」
全く聞いたことのない地名だった。
獣人の男に別れを言って当てどもなく歩いていると色んな種族が歩いていた。ウサミミにネコミミ、スライム娘にケンタウロス娘と正直言って………最高だった。
考えてみろ俺、どこかまだ分からないけど現実にモンスター娘がいるんだ。男の獣人とかもいたけど………
楽しまなくては損だ。
ただ時間と共にこの世界の夜になって冷静になってくると現実問題が浮上してくる。
「衣食住の確保しないと………」
バックには夜食用に食料はあるがこの世界のお金がないのだ。
「日本のお金は通用しないと思うし………」
財布から五百円玉を取り出して空にコイントスを何度もしているとその腕を老いた龍人にガッと掴まれた!
「青年よ!その光輝くも精巧に紋様を刻んだ金貨はどこで手に入れたのだ!是非ワシに売ってくれんか!なんならこの娘も渡そう!」
「う、売るのは構いませんけど、む、娘って?」
「おう、ほら!こっちにこんか!」
よく見ると龍人の手には鎖を持っていて、その鎖の先にある後ろには俺と同じ位の女性がいた。
整った顔立ちではいるが眼が暗く濁っており、服も布の服一枚でいた。何より目を引いたのは女性の下半身で下半身が蛇の姿、彼女はラミアだった。
「あの、彼女は?」
「見ての通り、ラミアの奴隷じゃよ。売れ残りでな、すまんがその分金貨12枚支払おう」
「は、はい、それで良いです」
老人の言葉にただうなずく事しか出来なかった。五百円玉を渡して、金貨12枚とラミアの彼女の鎖を受け取った。
「それではの、新しいご主人様に可愛がってもらうんじゃぞ」
そう言って龍人の老人は夜の町に消えて行った。
残されたのは俺と彼女の2人だけになった。
「えっと、とりあえず宿に行こうか?」
その言葉に彼女はコクンとうなずくとあとをついて来た。
宿を探していると深刻な問題に気づいた。文字が読めないのだ。
「君、文字読める?」
「はい、多少なりは………」
「その、名前は?」
「ラム………です」
「……………」
「……………」
会話が続かないけどラムのおかげで宿にたどり着く事ができた。
宿の受付でラムに任せていたが店主が露骨に嫌な顔をしたが、ここは金の力、金貨2枚渡すと笑顔で良い部屋を用意してくれた。ついでに店主にある事を3つ頼んでおいた。
用意された部屋に入るとなかなかに豪華な部屋だった。
ラムは豪華な部屋で落ち着かないのか扉の前でソワソワしていた。
俺は俺で女性と2人きりでいるのが初めてでソワソワしていた。
しばらくお互いに落ち着かない時間が続いたが静寂を破ったのは第三者だった。
「あの〜鍵屋ですけどご用件はなんでしょうか?」
「彼女の腕の鎖の鍵を外して欲しいんですけど………」
「えっ?」
「えっ?」
2人が予想外の声を上げた。あり得ない事を聞いたみたいな反応だった。
「何か問題が?」
「いえいえ、ダンナ本当によろしいんですか?」
「?お願いします」
「もの好きなダンナですねぇ。ちょっとお待ちを………はい開きましたよ」
鍵屋に代金を支払い、鍵屋が帰ると、ラムがポツリと。
「どうしてですか………」
「えっ?」
「どうして鍵を外してくれたんですか?外した瞬間に逃げられると思わないんですか?」
「それは考えてなかったな。君はそんな事をしようとする人に見えないし?もし逃げ出されたらその時はご縁がなかったというだけだよ。それよりもまずは君の事からだよ。お湯を用意して貰ったから入って来なよ。その後は服を着替えよう。俺たちは知り合ったばかりだ。聞きたい事、知りたい事はお互いにいっぱいあるだろうしね」