全速抹茶 俺様海神
…はい、皆様毎度おなじみ真矢良架葉です。
現在超ピンチです。
崖の下にアルコンがいました。
ミク教えてよっていったらマジで気付かなかったらしい。
気配消されちゃうとどうやってもわかんないらしくて、まあそれはしょうがないにしても。
「だから仲間になれってばー!」
「逃がさへんでー!」
アルコンとロリコンはなんとなく似てる気がする。
ってそんな現実逃避してる暇はねえええええ!!
まずはアルコンの猛攻をどうやって避けるかだよ!
めっちゃ羽飛んできてる!羽飛ばして攻撃するっぽい!当たったら多分やばい!樹が斬れてたからああ!!
「ミク!森抜けたっぽいけど会場どっちか分かるか!?」
「そのまままっすぐ!」
かなり広い、噴水のある広場。
そして、かなり向こうの方に大きめの体育館みたいな建物。
…うわあ、私的にはとっても戦いづらいフィールドというかなんというか。
こうなれば仕方ないかな…うん、仕方ない。
あのロリコンは意外と戦闘経験ありそうだし、ちらりと見たら武器は剣、というか刃物。
持ってたのは、見た感じはグラム、って言う剣だと思うんだけど。
ただね、グラム片手に持ってたのが多分、戦扇だったから…うん、やっぱ武器は刃物か。
つまり前衛、ktkrイケる、一時的になら仲間になってもいいかも。
とりあえず振り返る。
アルコンもロリコンも付いてきてる、よしよし。
そしてアルコンは攻撃の手を止めてこちらの出方を伺っている。
そりゃそうだな、横には噴水があるもんな、多分関係ないけど。
「ロリコン」
「ちげえ!俺はロリコンじゃねえ!」
「名前は?」
「えぁ、名前?ニーノ・マッツァリーノだけど」
「じゃあ抹茶、今この時だけ仲間になるから手伝え」
「マッツァリーノ!抹茶じゃないの!」
「うっせぇロリコンーノ・マッチャリーノ」
「ニーノ・マッツァリーノ!」
本を取り出して捲る、アルコンは動かないまま。
まあいい、抹茶が何とかしてくれるだろう。
「水域の神さま、力を貸してくれ…」
これでも真面目に考えている。
頭に浮かんでくる魔法陣の構成、これは呼び寄せるための図式、これは実体化させるための図式。
指で描いてくっつけ押し込む。魔法陣が目の前に出来ていく。
「させへんで!」
「それはこっちの台詞だぜ?」
アルコンが腕をぶん回して羽を飛ばせば、抹茶がなんか不思議な杖的なもので叩き落す。
なんていったっけ、降妖宝杖?西遊記の。
…あれ、3トンあるんじゃなかったけ…
まあいい、それよりもこっちに集中だ。
「海の神、リル!」
高らかに名前を宣言すれば呼べるはず!
…そして、思った通り魔法陣が輝きだす。
本はページがばらばら捲れてる。青色の風が渦巻く。
いつの間にか鍔迫り合いを始めていた二人の注意がこちらに向けられる。
…あ、あんま見んといて。恥ずかしいデス。
『俺様を呼び出すたぁいい度胸だな。お前か?呼んだのは』
「あ、はい、架葉です」
『タナハ? …ふむ』
「ななななんですかぁぁ…」
現れたのは、抹茶と同じぐらい…いや、それ以上?
そのくらい背の高い男の人でした。服は神話っぽい。
トライデントみたいな三叉の槍を持ってる。
そんな人…いや、神が値踏みするようにこっちを見てる。
そりゃビビってもいいだろ?私だっておにゃのこよ、容姿はいまいちだけど
『いいだろう、力貸してやらぁ』
「ほぁ!?御眼鏡に適ったのはどこら辺!?」
『なんかしでかしそうな瞳』
「…そんな度胸ねえええ!?」
どういうことなの!?ねえ、どういうことなのっ!?
なんかしでかしそうってつまりトラブルメーカーフラグ!?
「と、とりあえず。あの…なんていうんだろ。羽男をあの森までぶっ飛ばしてくれると嬉しいです」
「はぁ!?ちょ、まちぃや嬢ちゃんそれ死ぬ!オイラ死ぬ!」
「っていうかオレまで一緒にされたら困るわーじゃあ頑張れよアルコンさん」
「ちょ、抹茶ァアア!オイラん事見捨てんといてやー!」
「抹茶じゃねえ、ニーノ・マッツァリーノだ」
『…あの煩い方か?』
「そう、煩くてオイラオイラの方」
割と意思疎通は出来るみたいだ。
リルさんいい人みたいだし、よかったー。
『よっしゃー!じゃあ…ふっとベーっ!』
「何やねんその楽しそうな声ぇぇええええ!!!?」
アルコン…お前の事は忘れない
颯爽と踵を返して、私は歩き出すのであったとさ。
「よしゃ!リルも帰っちゃったし、さっさと会場行きますか!」
「おーよ!オレも仲間ゲットできたし言う事なしだぜ!」
「一時的にって言ったのに結局仲間入りしてるのかお前」
「えー。いいじゃん別に」
「大人気ない。大体私には既に2人ほど仲間がいるぞ」
「マジで?どんな奴だか楽しみだぜ」
…誰かこの抹茶を抹茶アイスにでもしてやってくれ