Forest of Loli-con?
「ひああああああ…れ。攻撃来てないぞ…」
「うーん…?この辺一帯に人も居ないねー」
「…道、合ってるの?」
「間違いなく合ってるよっ。信頼してよー」
「してるからこそ聞いたんだけどね」
全力疾走からそっとスピードを落として、停止。
本来かなり運動能力が低い筈なのだが、今は息切れすらしていない。
「なぁ、本当にこれ高性能だよね」
「戦闘服の事ー?」
「そーそ。目とか遠くまでくっきりはっきりだよ」
授業中とか一番前でも眼鏡がいるのにさ。
付け足してちょっと笑って、辺りを見回す。
何処に行けばいいのか…全く見当も付かない。
「どっちの方向なん?」
「ん…なんかレーダーが使えないっぽい…?」
「なん…だと…ミク、お前の道案内だけが希望だったのにっ」
「ごめんごめん」
希望の灯火がかき消された感じだああっ!
最悪だ・・・っ!
「ああ、でも近づいてる事は間違いないと思うよ」
「なんか、勘みたいなアレか?」
「野生の勘的なー」
「的なー」
ほのぼのとした空気が流れる。
あははー。なんかもういいや。
「とりま歩きましょか」
「うい!」
薄暗い森。
それこそ、なんか魔女の家でもあるんじゃないかってくらい。
戦闘服は…何というか、よく分からないけど気配とかが察知されやすいらしく、今は脱いでる。
気配って言うか、何というか。参加者と運営者にはなんとなーくいる事がわかるらしい。
それを聞いて納得したのが乃木坂との戦闘のときのアレ。
普通に暮らしてきた割には殺気的なものが分かったからな!
ほんと…びっくりだよ…
ところで、戦闘服がなけりゃ視力の悪いただの女の子なので現在眼鏡をかけています。
黒縁眼鏡なんだけど、なんていうかデザインが気に入ってるんだよね、これ。
「アルコンが近づいたら分かるかい、ミク」
「運営者が近づけばわかるけどー、誰かまでは。ごめんねー」
「気にすんな、そんなに万能な奴なんていねぇ」
「えへ、ありがと」
雰囲気的には百合だけど私はれっきとしたノーマルだ。
まあ…創作なら好きなんだけどね、百合も薔薇もノマカプも。
「でさ、早速なんだけど参加者が近くにいるよ」
「発動は?まあ私が分かんないんだからしてないか」
「うん。こっちくるよ」
耳を澄ませば確かにがさがさいってる。
さて、ここで逃げるか否か…どうすっかな。
「容姿とか分かる?」
「んー…大きい男の人?邪魔な草とか切ってまっすぐこっち来てる」
「ナイフ持ちかな?そしてまっすぐこっちって事はミコに聞いてるのかな。つまり」
「敵と認識する方が正しいんじゃないかなあ」
まあそりゃそうだわな
いつでも逃げられる様に逃げ道を探しておいて、その近くに立ってじっと待つ。
眼鏡は外さない。けどこれ目が疲れるんだよな…しかも最近少し度が合わなくなってきたし…
がさがさ。
「お、本当にいた。やっぱお前すげえなあカイト」
「いやいやそんな事は」
少し青みがかった男声っぽいミコさん、名前は恐らくカイト。
流暢な日本語の金髪碧眼の世間一般で言うイケメン。
まあ私にはそのイケメンの基準が分からないのだけれど。
動きやすそうな格好で、ジャケットの中にナイフをしまいこんで、ついでに私に手を差し伸べる。
「よし、お前仲間になれ」
「善処します」
「一目見て気に入った、お前ぜってー強いし面白い」
「考えておきます」
「こんな森に女の子一人じゃ心細いだろ?」
「また今度」
「それにお前俺から逃げなかったろ、勇気もあるじゃん」
「答えは全部」
「だからとりあえず俺の仲間になれ!」
「いいえだこのやろおぉぉおおおぉぉぉ!!!!」
全力で逃げ道に駆け込む。
怪しすぎるなにあいつ絶対騙して金を取るつもりだーっ!
「あ、ちょ、待てって!」
「嫌だあああああああーすおぶびーとおおおおお!!!」
渾身の叫び。
一瞬で戦闘服に着替え加速。
本なんざ持っていられないのでポケットしにま…あれ?
本当に高性能だなこの戦闘服!この小さなぽっけに結構でかい本がしまえたぞ!?
「ああもう待てってば!アースオブビート!」
「やべえええええロリコンやべえええええ」
「俺はロリコンじゃねえぇぇえええ!!!?」
違うのか…!?
しかし信用できないっていうかマジででかいから怖いっていうか。
とりあえず形振り構わず走っていたらいつの間にか足場がない事に気づく。
「…あれ、これ」
「落ちるよ?」
「ですよねぇーぇぇえええええ!!!」
台詞の途中で落ちたああああ!!