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どこかで見たよな辛ァい赤ァい アレ

ああ、そういえば何で仲間にしてるんだ?

そんな事を聞いてみたのだがなんとなくという言葉しか返ってこない。

そういやこいつ馬鹿っぽいところがあるんだったと思いつつ、時は流れてとある平日の日常茶飯事。


「うあー!負けっ…負けてな…やっぱ負けてるー!?」


放課後の教室にて、某レースゲームをする輪から少し離れて、ミクをもふもふする。

対象となる年代と運営者にしか見えないようで、授業中もずっと頭に乗っていたのだ、このミコさんは。

「ってか喋るんだ、その子」

「喋るよ、たまに」

されるがままなミクを撫で、無表情に笑う。

彼女は柿原かきはら 茉莉まりという。

戦いにおいて何の関係もない普通のクラスメイトだ。

「可愛いよね、ミク」

「ミクっていうの?」

「うん、初音じゃあないけど」

「じゃあリンレンルカカイトメイコも?」

「原子のリンと、あとレンはいたな」

「あとは三人かぁ」

「だね」

クラスの中でこの話が通じるのは彼女と後二人だけだ。

少し寂しいなあ、と思いつつミクをもふもふ。

やらかい。


「私のとこにも来ないかなー」

「もう締め切ってるでしょーよ」

「あー、そうかも。残念だなー」

しゅん、と沈む柿原さん。

そんなに戦いたいのかこの人は


「…一応聞いとくけど、なして残念?」

「鮮血の茉莉って名乗ってみたくて」

「あんたはそういう人だったね!」


―――


そんな日常も過ぎれば一瞬。

夏の暑い日差しを避けるように日陰に逃げ込み、小さく息をつく。

「あっつ」

「夏だし」

「まあな…で、」

言葉を続けようとして、ふと気付く。

視線。殺気。背筋に走る悪寒。


「…どこに行けばいいんか聞きたかったんだけど」

「まず生きて行けるかが問題なんやとさ」


背後に男が立っている。

確かあの衣裳はスペインとかそんな感じの衣装だったか。


「試練を与えに来たで、hija」

「イハ?ふざけないでよイホ?」

「hijo言わんといてやー」

「いちいち発音良すぎだよ、坊や?」

「お嬢さん、人をからかうのもいい加減にしとき?」


人の良さそうな笑顔、しかしながらどこかおかしい関西の方の言葉・・・なのか、アレ。

発音がとんでもない所からすれば本場の人間なんだろう。

…創作でかじっただけなんだってば、正しい発音なんか知るはずもない。

「でさー、架葉」

「はいはいなんよミク」

「ここであの人に勝たないと予選敗退なんだよね」


…沈黙。

しばらくして息を吸って、吐いて、また吸って。


「そういう事は早く言えやああああああっ!!?」


シャウト。

そりゃそうだ、自分の戦闘スタイルからして無謀というか無理というか無茶というかなんというか!

第一あの男の戦闘スタイルが分からない以上自分から攻撃するのはさすがに阿呆としか思えない!

…まぁ、先手必勝とも言うのだけど。


「うーうー。しゃーなし、負ける気は微妙にしない事だけがちょいと希望か」

「じゃあその希望打ち砕いたるで」

「やめてくれないそういうシャレにならない台詞」

「とりあえずルールの説明してもええ?」

「あ、はいどうぞ」


大人しく説明を受ける。

…いや、いつでも何処でも暴走してるわけじゃないし。


簡単に言えばこうだ。

『とりあえずめっちゃ攻撃するからめっちゃ逃げて会場にたどり着けたらおk』

生きてれば万事おーけいらしいね。

んで、チーム組んでもいいけど敵は一人増える、と。

…え、何この無理ゲー


「あ、あとおいらはアルコン言うんや、よろしくな。ほないくでー」

「説明終わって3秒で開始とかなにそれえええ!?Earth of Beat!そして華麗に逃走!」

「逃がさへんで!」

「逃がしたって!」


素早く能力を発動、後いつもよりかなり速い速度で全力疾走。

…したんだけど、男、アルコンは追ってくる。

っていうかアルコン?鷹?つまり空中戦が不利なんだな、覚えておくか。


そんな事は気にせず走る訳だが…

あれ、ちょっと待って、会場何処?

まず最初に私方向音痴なんだよね。んでもって会場の場所知らないんだよね。

「ねえ、これって出来レース?死へと向かってまっ逆さまな出来レース!?」

「右だよ、架葉!」

「ミク…よっしゃ、右だな!」

「といいつつ左に曲がるのやめてええええ!!?」

よく考えたらとっても便利な連絡ツールなミクちゃんがいました。

あのさあ、いいんだけどさあ、早く言おうぜそれは。


後ろからは猛攻。

前はよくわかんない。


迷走する私たちは、いつしか暗く冷たい森の中へと迷い込んでいたのだった。

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