Battle start ?
武器を構えなおす。
彼の武器は大鎌。恐らくは接近戦向き。
対する私は本。確実に不利。
「来ないならこっちから行こうか?」
「…先手必勝、我不迷!」
嫌だけど仕方ない、やらなきゃ殺られる。
一旦距離をとって、適当な詠唱を始めた。
「カチ☆ツル☆ピキ☆ドーン!氷撃柱!」
高らかに叫ぶと、少年《乃木坂》の足元に大きな氷柱。
乃木坂はそれを軽くかわすと、此方へ突っ込んでくる。
しかしそれは私の罠。
「影焔!」
「うわ!?」
炎が吹き出して乃木坂が後ずさる。
戦略なら負けねぇ!主にゲーム的な意味で!
「降参なさい!なんて言ってみたかった!」
「負けるもんか…!って言ってみたかった!」
…沈黙。
「どないやねん」
「どらいあへん?」
前者は乃木坂のミコ、後者はミク。
情けないぞミク。
さて、そんな空気のせいでまったりモードに突入した私達はブランコに腰掛け、互いに情報交換。
「ふむ、0015だからリン、ね…元ネタは?」
「元素記号」
「わかりにく!」
「勉強しなよ」
黄色っぽいミコ…乃木坂のミコ、リンを抱いてブランコをこぐ。
ミクは乃木坂の頭上。
「ところで」
「そういえばさ」
同時に話し始めて沈黙。
無言の攻防戦。そっちからどうぞ、いえいえそっちから。
「…えー、と」
敗者は乃木坂。無言の勝者となった私は興味深そうに彼の話を聞く。
「真矢良さんがよければだけどさ」
「ぬぅん?」
「僕と手を組まない?」
「一緒に頂点目指そうZE、ってこと?」
「そそ」
最終的には戦えと。
こりゃまたご都合主義やね。
「まあ、いいけど」
「ほんと?」
「うむ。一人向きの武器じゃないしな」
呆れたように言えば、軽く笑って。
まあ、いいか。本当の事だし。
「で、そっちは何を言おうと?」
「さっきから威圧感がびしびし来るんだがこれは何なんだろうと」
「…わかんない」
首を傾げて、ぼーっと公園を見つめる。
ふと、シーソーの辺りにでかいミコさんを発見した。
「「指令・指令。巨大ミコ0090〜0100脱走。直ちに討伐せよ」」
二人のミコが同時に口を開く。
まさか…この威圧感…
「巨大ミコ《アレ》?」
「肯定。…で、倒す?」
「まあねえ…」
面倒くさそうな指令に、私達は同時にため息をついた。