だりーうぜー、でもルール。
へぃろぅー、皆様。
英語の発音だけはちょっとだけ自信のある真矢良です。
そんな事より、会場内で暴れる男が一人。
そう、柿原を勧誘してた迷惑男。
『諸君、チームは決まったか?』
「あ、ヒートさんだ」
「しぃーっ、真矢良。ばれちゃうよ」
「おっとと」
現在人込みに紛れて身を隠しています。
迷惑男は放送が聞こえないのかまだ叫んでます。うぜぇ。
『…ああ、そうだ。言っておくのを忘れていたが、会場内で武器を呼び出すようなバカは神子に相応しくない。チームが揃っていようとアウトだ。アルコン、連れて行け』
「あいさー」
おー、アルコンだ!アルコンが人に使われている!
そんなアルコンは迷惑男の発動を解除すると、襟首を捕まえて、ぽいっと会場の外へ放り出した。
迷惑男はまだ何か叫んでるけど、扉を閉めたら聞こえなくなった…
強かったんだな、あいつ。つまりリルって超強いんじゃん。多用出来なさそうだな…リスクがあるだろうし。
『さて諸君。チームは出来たようだな…予想より少なくなってしまったのが残念だが』
少ない?…ああ、確かに。
見回して、数えてみるとここを含めて10チーム。
うひゃあー、駄目だ。怖いって言うか、なんていうか。
今更緊張してきたっていうと、正しいかな…!?
『それでは、これから予選を開始しよう』
「予選かあ、チーム同士でぶつかるんだよね?」
「そうだね。基本的にこういう場合トーナメント方式が有力だけど…」
ごにょごにょと柿原と話す。放送の声は途切れない。
『予選はバトルロワイヤル方式で行う。勝ち残った2チームに所属する者が本選に進む。説明は担当から受けてくれ、以上』
…え?ちょっと待って、担当って誰だよ何だよ。
5人で困惑した視線を投げかけあっていると、アルコンが近づいてきた。
ああ、もしかして担当?いやいやいやなんかそれちょっとどうなの?
「お、ニノ坊にマヤ嬢。あとー…ノキ坊とカナ嬢とマリ嬢だな。おいら、担当のアルコンやで!」
「やっぱりお前かっ!仕返しとかいって不利な状況にしないでよ!?」
「せぇへんて!そーゆー細かい事は軽く流すでー、おいら」
けらけらと笑ってるけど…うん、大丈夫。信用しておこう。問題ないさ、多分。
そして。ふと真面目な顔になって説明が始められる。
「えー。じゃあ説明始めるで。まず、担当っつーのはいろいろサポートする係な。まあおいらもお前らのチームの一員と思ってくれてかまへんよ」
「そーか!昨日の敵は今日の友って奴だな!」
ニーノが斜め上な発言をする。
笑顔で言ってる分性質が悪いよ!
「今日の敵が今日の友なんやけどな、コレ。まあええわ。んで、おいらたち世界衆っつーんだけど、世界衆十人一人一人に特殊な能力があるんや」
「あ、もしかして僕たちもそれを使えるって事ですか?」
「うへぇ、ノキ坊は勘が鋭いな!その通り、このチームはおいらの能力が使えるようになる!ただし、発動中に限るけどな?」
「で、アルコンの能力ってなーぁに?」
「まあ待てカナ嬢。まずは説明な。あ、まずはコレ、身に着けといてや」
全員に配られたのは、首からかける小さなネックレス…いや、ドッグタグ?
羽の模様が刻まれてて、なんか綺麗。
頭の上のミクも不思議そうに見つめている。…あれ?なんか違和感が。
「これから先、そのミコたちは連れて行けへんのや」
「案外早い別れだったなミク…」
「でも、ナビゲートシステムや参加パス自体は必要やからな、性格とか記憶とか、そーゆーメモリをこっちのタグに移し替えといたで。ぜんぜん喋らへんかったやろ?」
そういえば途中から空気だったね。
そっかー、ミク、こんなに小さくなって…
とりあえず前の体をアルコンに渡して、タグを装着。
ちりちり鳴ってます!綺麗だなあー、本当に。
「で、何でそのタグにミコを移したんかっていうとな」
「へいへい」
「ミコたちにおいらの力の一部を与えといたさかい、ミコたちの意思でおいらの力を使うんやで」
…えーと、簡単に言うと。
このタグの中のミクたちが、アルコンを介してアルコンの力で戦闘に参加してくれる、と。
「そゆこと?」
「せや。でー、ルールの説明なんやけどー…」
時間ないのかアルコンはノンストップで説明中。
真面目に聞いてるのは乃木坂と私くらいのもんで、他の三人はあたりのチームを見回している。
敵情視察は後でいいから、ここは聞こうぜ…
「バトルロワイヤル方式ってのはな、その名の通り、殺されたら負けっつー単純なモンや。まあ殺すっつーかタグを奪い取る、が正しいんやけど。ただ、単純とはいえ油断は禁物やで。この大会だけの特別ルールがあるからな」
「もちろん説明してくれるんだよね、そのルール」
「当たり前やん、おいら世界衆のアルコンやで?」
だからなんだって言うんだよ。
「で、その特別ルールってのがー、最初にチーム全員バラバラに移動させられるんや」
「…え?」
「いかに早く合流するかが鍵やでー、特にマヤ嬢やカナ嬢。マリ嬢はなんとかなりそうやけど、後衛やろ、あんたら」
「せやね」
「口調移ってるよ笹原」
気のない感じで返しておいて、まあとりあえずルールは理解した。
まずは一人で始めるってのが凄く心細いけど。
…ん、放送が入ったみたいだ。
『ルールは理解したか?』
各々頷くチーム。
…ノリで頷いてるんだろうけど笹原とニーノと柿原。お前ら絶対聞いてなかっただろ。
『それでは…幸運を祈る』
え、何?どういう事?
もしかしてこっからワープとかそういう非科学的な手段で
…一瞬光に包まれたと思ったら、森の中に居ました。
文句は最後まで言わせろっ!