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Mari-chaaaaan!!!

「どぉぉおーすんのっ!ねえ、どぉおーすんのっ!?」

「やばいってマジやばいってコレやばいって」

「まてまて落ち着け、何か策はあるはずだ、待て、待て…落ち着け」

とはいえマジで何にも浮かばねえ。

その辺をうろうろしてる奴らを取り込むか…?


「ちょっと待ってよみんな、落ち着いて?」


私たちを静める声が一人…乃木坂だ。

彼は少し何かを考えるような仕草をして。

「笹原さん、確か一人仲間がいるって言ってたよね?」

「ああ、そういえば。でもその子会場にいないよ、棄権しちゃって」

「…駄目じゃん」

「そうだね」

あはは、と笑って。

和気藹々とした雰囲気がチームに流れる…


「うわああああああやばいってどうすんのどうすんのぉぉおお!!!?」

「落ち着けニーノ!落ち着いて素数を数えるんだ!素数!分かるか!?SO・SU・U!」

「素数!えーとえーと1・3・5・7…」

「それは奇数だああああ!!!」

「えーと、3.141592…」

「それは円周率ぅぅううう!!!」


かなたを筆頭に大騒ぎな真矢良戦隊・架葉ンジャー。

おかげで少し冷静になれた。そう、私は客観的に物事を見ないと…

見ないと…多分このチームやっていけないだろ…

ああもう、こういうのは普通乃木坂の役目だろーがよー。


とりあえず周りを見回してみると、ちらほらとはぐれている人がいる。

足りない団体もいくつかあり、多くの人がパニックに陥っているようだ。

そんな中私が見つけたのは、一人の、高校生くらいの少女。

どうやら、無理に勧誘されて困っているようだ。

…なんか、見覚えあるなあ。

ん、クラスメイト?…にしては、だいぶ印象が違う。

まあうん、私服だと印象変わるしな…そういうことだろうね。


「だ、だから、私、あの」

「何で?いいじゃん、あんたも出れるし俺らも出れる。一石二鳥だろ?」

「いや、私約束してて」

「そんなのほっといて俺たちと組もうぜー、なあ?」

近づいてみるとなるほど、よく分かった。

柿原さんだ。あの後姿は、間違いなく。

ミコを抱いて困ったような声音で見慣れない男からじりじりと距離をとっている。

さて、ならば助けるしかない、と。…凄く王道な展開っぽいなあ。


「ま…あ、やっぱ無理名前呼び…柿原さん!こんな所にいたんだね、探したよー」

「あぁ?お前誰だよ。コイツはもう俺のチーム…」

「真ぁ矢良ぁ!遅いよー、もう。他のみんなはどう?」

「みんな見つけて、今はあっちにいるよ。ほら、柿原さんも早く行くよ」

「 話 を 聞 け よ ! 」

ナチュラルに去ろうとしたって言うのにこの馬鹿はもう。

そっちがそのつもりなら見た目は強そうなニーノに追っ払ってもらおう。

…乃木坂が頼りにならない訳じゃないよ?乃木坂よりは笹原のほうが頼りになるし、笹原よりはニーノの方が強そうに見えるだけで。

「ちょっとニーノ!にぃーのっ!騒いでないでこっち来なさい!」

「え、なになになにうわあ可愛い!君名前はー?タナハの友達?」

「え、あ、柿原茉莉ですけど…」

「マリ?かわいいなあー、日本って可愛い子いっぱいいるょいってぇええ!!?」

「ナンパすんなッ!」

空気読め抹茶ああああ!!!?


「ちょっと、チームメンバー横取りとかそういう系?」

「うっわー、卑怯じゃん」


さっきの馬鹿のチームメイトかな。

なんか凄いちゃらちゃらしてるよ…うわあ、嫌だわあ。こういう奴ら。

私、こういう奴ら嫌いなんだよね。ああちょっと待って頭痛してきた。

とりあえず緊急チーム会議だ会議!

騒がしい会場内で近くの4人にだけ聞こえるよう言ってみた。


(ちょっと乃木坂、笹原。この子柿原茉莉って言うんだけど、仲間にするからね。あとあの人たちに絡まれて困ってんの、どうにかできない?)

(んー、かな的にはもう適当に小指切らせて)

(グロい)

(とりあえず柿原さんは真矢良さんの高校の友達なんだよね?)

(そうそうって今それ関係ない)

(じゃあ、とりあえずどうにかしてみるからみんな合わせてね。ニーノさんたちも)

(りょーかい!)

(うん、頑張ってみる)


会議終了ー。頭脳労働は乃木坂の役目なんだよ…一応。

だってこの中で一・二を争う成績だもん。あ、もう一人は笹原だけど。ニーノは知らん。


「あの、すみません。本当に柿原さんは最初から約束してたんです」

「はぁー?どーせ口約束だろ?」

「うっせ…じゃない、それでも彼女はこうして僕らのところに来てくれましたから」

「今小さくうっせって言わなかった?」

「言ってませんよ?ねえ、真矢良さん」

「乃木坂がそういうこと言う訳ないじゃん。あのクソ真面目優等生な乃木坂が」

ね、と同意を求めてみる。

柿原はこくこくと頷いて、笹原は…

「だよねー!かなもそう思う!でもかなも優等生なんだよー?」

「成績だけな」

「あ、真矢良酷い」

…うん、間違ってないよ。


「だァッ!埒があかねえ、こうなりゃ…Earth of Beat!」


瞬間、鎧に身を包んだ男。

慌てて乃木坂を引っ張り戻すと元いた位置を拳が通る。

「うわあああ!!!暴力に訴えやがったこいつー!」

「逃げっぞ乃木坂・笹原・柿原・ニーノ!」

「あいよ!あー」

「発動はしないでおいた方がいいよ、ニーノさん!」

「すお、ぶ、え?」

乃木坂の言葉にちょっと首をかしげて、でも拳を避けたのはさすがと言うべきか。

しかし発動はしない方がいいとは…どういうことだろ。

乃木坂には乃木坂の考えがあるだろうし、とりあえず従っておくか。

ともかく!私たちは人込みを縫ってするすると逃げていくのでした!


ま、チーム決定したからいっか!


頭脳労働担当だけどどこかとぼけてる乃木坂圭祐。

教科書の知識なら豊富な元気いっぱい笹原かなた。

成績は微妙でもトラブルには慣れてる無表情っ子柿原茉莉。

どっかの軍みたいに刃物の扱いに長けてるナンパ男ニーノ・マッツァリーノ。

で、頭もそんなに良くない、教科書はさっぱり、トラブルも慣れてない、刃物や戦闘には全く関係なかったけど、ちょっとだけファンタジーに詳しい私。


…ねえ、このチームでやっていけるの?

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