第9話、俺たち?とエルフと噂
前回のあらすじ!
共闘!ティナさん!救世主!
「リン!!無事だったのねぇ!!良かったわ!!!」
「フィーさん!!!!」
こうして、俺とフィーは感動の再会を果たす。
俺とフィーが小さく跳ねて喜び合ってる隣で呆然と立ち尽くすティナさん。
「あ、あのさ……そのオカm……じゃなくて、そこの人は一体…」
「あっ!紹介が遅れました!この人がさっき話した、一緒にキノコ採集していたフィーさんです!」
「はぁいリンのパーティーメンバーのフィーよぉ♡」
「えっ…こ、この人がフィーなのね…。い、いいパーティーね」
ティナさん、ドン引きである。慣れてしまっていたが当然の反応である。
「あんらありがと♡それで、貴女は一体どこのどなたかしら?」
「あっ、この人はティナさんです!危ないところを助けてもらいました!命の恩人さんです!」
俺がそう言うとフィーは一瞬動きが止まり、真面目な顔で言う
「貴女がリンを助けてくれたのね。本当にありがとう。」
フィーが頭を下げる。
「なっ!?別に命の恩人なんて言い過ぎよ!それに……私もリンに…た、助けて貰ったし…」
徐々に声が小さくなっていく。
「と、とにかく!別にそんな大層な事はしてないから!それよりあんた、どうやって結界の中に入ってきたのよ!」
「ん?そうねぇ…上手く言えないのだけど…リンとはぐれてから、近くを探していたのよ」
フィーは腕を組んで続ける。
「そしたらこの辺からリンの魔力を感じてね、思いっきりその空間殴ってみたら空間が歪んだのよ」
「「思いっきり殴った」」
俺とティナさんは顔を見合わせる。
「エルフ一族の集大成と言われている結界を素手で……」
「あら、それは悪いことしたわね」
フィーが困ったように身体をよじらせる。
「まぁいいわ…取り敢えずアタシの村の長に会ってみるわよ。人間が結界内の入るなんて異例中の異例だし、村長じゃないと判断出来ないわ」
「てなわけで、アタシの村に一緒に来て欲しいんだけど、いい?」
「はい!」「えぇ!」
ティナさんの村に向かう道中。先ほどと同じ犬型の魔物と何回か遭遇した。
しかし、フィーが加わったことでかなり楽に進めるようになった。余裕で勝てる…という訳ではないが。
「あ、あんたたち結構やるじゃない」
「あんらありがと♡でも流石エルフ族ね。噂通り、素晴らしい弓術と精霊魔法よ」
「べ、別に大したことじゃないし…!でも…ありがと」
などと微笑ましい会話をしていたが、ふと、疑問に感じた。
「そう言えば、この森にはあんな強い魔物がいっぱい居るものなんですか?」
「いや、それはないわ。断言できる。今まであんな禍々しい魔物がこの森に現れた事は無いわ」
ティナさんは怪訝そうな表情で続ける
「この森にはさっき言った通り、エルフ族の集大成でもあり、奥義とも言える結界があるから、結界内に魔の者が現れることもなく平和に暮らしていたのに……最近になって急におかしな事が増えたわ」
「アタシがここに居るのも魔物の調査をしに来たからだし」
「確かに、ティエス王国の近辺でも今まで見た事のない魔物の目撃情報が相次いでいるわ」
フィーも眉をひそめる。
「噂では『魔王が現れた』なーんて言われてるわよ」
「ま、魔王!?そ、そんなのもいるんですか…」
驚く俺にティナが教えてくれる。
「えぇ、そもそも今いる魔物は遥か昔に居た魔王が創り出したものと言われてるわ」
「見た事の無い魔物が現れたってことは、新しい魔王が創造した……って事なんですかね?」
「そう言われているわ」
少し雰囲気が暗くなってしまった。しまったやらかした。
「それはそうと、ティナちゃんはどんな子がタイプなのよぉ〜♡」
雰囲気を変えようと、冗談交じりにフィーが言う。
「な!?バ、バッカじゃないの!?そそそそんなの教える訳……ちょっと待って」
顔を真っ赤にしてあたふたするティナさんだったが急に顔が険しくなる。
フィーも何かに気付いたかのように顔が強張る。
「今、誰かの叫び声が聞こえたわね」
「そうね。アタシも聞こえたわ」
俺も耳を澄ます。
……
…
遠くの方で微かに悲鳴が聞こえた。
「確かに…聞こえました」
「この近くには何かあるのかしら?」
そう言うとティナさんは何かに気付いたのか、絶望に顔を歪める。
「む、向こうには……アタシの…村が…」
昨日投稿出来ませんでした。申し訳ありません。