第8話、俺?とエルフとオカマ
前回のあらすじ!
初のクエスト!キノコ!命の危機!
「ちょっとあんた、何でここに人間がいるのよ」
声がした方を向く。そこには赤い髪に赤い瞳、そして何といっても長い耳が特徴的な女の子が居た。外見は…今の俺と同じかちょっと上くらいかな?だから17歳くらいだろうか。
それより……
あの耳ってもしかして……エルフか!?
凄い!本当にいるんだ!!しかも弓持ってる!カッコいい!!
「…な、なによ!?そ、そんなにジロジロ見ないでよ!もう……!」
しまった。感動のあまり凝視してしまった。
「あ、ごめんなさい!それと、助けて頂き、ありがとうございます!」
深く頭を下げる。
「ん…別にいいわよ。って、貴女泣いてたの?もう…ほら、ハンカチあげるから拭きなさいよね」
「で、でも!」
「いいわよ安物なんだから。はい。」
そう言ってハンカチを突き出してくる。
ハンカチを受け取り、頬の涙に軽くあてる。
「それで、何でこんな所に人間がいるのよ」
「それは……」
俺はクエストでキノコを集めていた事、一瞬目を話した隙にフィーと離れてしまった事を話した。
「そう…でもアタシたちエルフは森に結界を張ってるから普通人間が入る事はないはずなんだけど……結界に穴があったかな?」
「あ、あの…結界の外に出る事は出来ないのでしょうか…?」
「ん?あぁ、連れの人…フィー…だっけ?その人と離れたままじゃ心配よね。そういう事ならアタシの集落の長に頼んでみましょう」
「っと……お客さんね」
そういうとエルフの女の子は弓を構える。
その方向を見ると15m程先に、さっきと同じ犬型の魔物が3匹も木の陰から顔をのぞかせる。
「ちょっと厄介ね。あんた、下がってなさい」
女の子にばっかり頼ってはいられない。
俺も今は女の子だけど。
「私も支援します!」
「そう…なら、精々気をつけなさい…よっ!!!」
そう言いながら矢を放つ。しかし、魔物は触手で矢を弾く。
「チッ!」
もう一度弓を構え、放つ。
そうだ!!
「『スピードアップ』!」
俺は咄嗟に放たれた直後の矢に速度上昇の魔法をかける。
すると、矢は先程とは比べ物にならない速さで魔物の眉間を貫く。
「!!なに、これ……!」
エルフの女の子は目を見開き、驚く。
「もう一度、タイミングを合わせて魔法をかけます!」
「わ、わかった。頼むわよ!」
驚きを隠せない様子だったがすぐに弓を構える。
弓を構えるとそれに反応して魔物はジグザグに動く。
「ふんっ、エルフの弓術、舐めてもらっちゃ困るわよ!!」
エルフの女の子は矢を放つ。
「『スピードアップ』!」
すると、放った矢は俺の支援魔法による速度上昇の効果まで計算していたかのように魔物の心臓部に突き刺さる。
「やった!」
「よしっ!あと1匹!!」
しかし最後の1匹は女の子の目の前まで迫っており、高く跳躍し飛びかかる。
「あ、危ない!!!」
「残念!」
女の子が手をかざすと薄い緑色のバリアが展開される。
そのバリアに攻撃を弾かれ、怯んだ魔物に、すかさず矢を撃ち込む。
魔物は地面に落ち、動くことは無かった。
「よしっ!片付いたわね」
そして女の子は俺の方を振り返る。
「アタシはティナ。本名だと長いからティナって呼んで」
「わ、私はリンと言います!よろしくお願いします!ティナさんの弓、凄かったです!」
「そ、そう?まぁ、あんたの魔法も…助かったわ。………ありがと」
頬を赤らめ、そっぽを向きながらいう。
そんな事を話していると俺の側の茂みが蠢く。
そこから、隠れていたであろう魔物が俺目掛けて飛びかかってくる。
しまった!!もう1匹いたのか!!
「危ない!!!」
ティナが手を伸ばすが間に合わない。
く、喰われる!
する突然、近くの空間が歪む。
そこから、
「リイイィィィンちゅわあああぁぁぁん!!!!!」
聞いたことのある声と共に見たことのある豪腕が魔物の顔を捉える。
魔物は吹っ飛び、動かなくなる。
「リン!!無事だったのねぇ!!良かったわ!!!」
「フィーさん!!!!」
こうして、俺とフィーは感動の再会を果たす。
「な、なにこのオカマ…」
そこには喜ぶJKとオカマと、困惑するエルフがいるのだった。