第69話、俺たちと大弓と反撃
「何をしてる!!早く来い!!!」
「はい!」
こうして、少しずつ、リヴァイアサンとの距離を縮める。
しかし、他の魔物がそれを許す事もなく、次々と襲いかかってくる。
「魔物たちは私に任せてくれ!ンー!マッスル!私の筋肉をみてくれ!!!」
ビリーさんが上半身だけポージングをとりながら、全力で走る。
すると、全ての魔物が吸い寄せられるようにビリーさんに飛び掛かる。
「これはいくらなんでも量が…!」
「あぁ!いい!!!いいぞ!!!もっとだ!!」
ガトリング銃の様に襲い掛かる魔物を全て受け止める。
「いいぞ変態!このまま進め!」
「でででで、でも!あれは流石に多過ぎますよ!?」
「大丈夫だ。攻撃を受ける度に体力が回復するんだろ?弱い攻撃をいくらしてもアイツには無意味……というか逆効果だ。体力的にも、精神的にも」
「あぁ!その通りだ…あぁ!!今凄くいい感じだ!!!あっ!そこ!!!そこいいぞ!!!」
「進みましょう」
少しだけ進行が遅れているビリーさんを残し、進む。
何故だか罪悪感はない。
魔物では止められないことを理解したのか、リヴァイアサンは大きくうねり、尻尾を海に叩きつける。
それと同時に、ホテルくらいなら飲み込んでしまいそうな程高い波が俺たちに向かって来る。
しかも、ここからでも分かる。
あの波はリヴァイアサンのスキルか何かによって作られたものだろう。尋常ではない魔力を感じる。
「来たぞ!ティナ!!」
「えぇわかってるわよ!!!」
そう言うと、ティナさんは大弓を構える。
エレオノールさんが言っていたように、技術部に強化されてその弓は、前の木製の弓とは
大きく異なり、機械的な見た目になっている。
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〜作戦前〜
「あの〜?エレオノールに弓を取りに来る様言われたんだけど…?」
「あぁ、貴女がティナ様ですか?」
1人の男性がが現れる。
あたりを見回すと、ドワーフと人間が共に働いている。
「あぁ、不思議な光景ですよね。ここではエレオノール様に認められたドワーフや人間が働いているんです。ドワーフは元々加工に優れた種族ですが、その中でも特に腕利きなドワーフだけを集めたのです」
「アンタたちがこの街の色々なものを作っていたのね……」
「はい。しかし、アイデアや製法はエレオノール様の指示ですが。過去に色々な偉人が居ましたが、エレオノール様のような方が世界を変えるのでしょうね」
「まぁそれには同感ね」
「おっと話が長くなってしまいました。私は技術部主任のゲルガーと申します。どうぞ奥へ、弓を用意しております」
ゲルガーと名乗る男について行く。
部屋に入ると、一つの大弓が部屋の真ん中に飾られている。
前の木製の大弓とは見た目が全く違う。
機械的と言うか、メカメカしい?だっけ?
前に
「男の子はこう言うのが好きなのよ♡」
ってフィーが言ってたっけ。
男の子では無いけど、うん。結構好きかもしれない。
「どうぞ、お取り下さい。私たちの最高傑作、その名も『機械神の大弓』でございます」
言われるがまま、大弓に手を伸ばす。
掴むと同時に『シューー』っと蒸気が出る。
「驚かれましたか?この大弓は機械と蒸気、そして魔力によって構成されているのです」
「ふーん。見た目の割に思ったより軽いのね」
「はい。とても軽い金属を使用しています。ですが耐久性もバッチリです」
実際に弓を構えてみる。
弦を引っ張ると再び蒸気が出る。
「普通では引くことが出来ない強度ですが、蒸気のサポートにより、それを可能にしています」
確かに。思っていたより少ない力で弦が引ける。これは蒸気のお陰だったのか。
「この大弓に『機械神』という名前が入っている理由をお話しましょう。なんと!この弓の核に機械神のコアを使用しているのです!」
そう言うとゲルガーは興奮し、手を広げる。
「機械神ってなによ」
「エレオノール様が見つけたと言われる、未来のロボットの事です」
「アタシのこと馬鹿にしてるの?」
「とんでも無い!私も言われた時は正直疑いました。しかし、いくら調べても、今の技術じゃとても作れない高文明な代物だったのです!!」
「ふーん」
「そのロボットのパーツの殆どはこの国の施設に組み込まれてしまいましたが、コアだけはまだ残っており、そのコアの一部を加工して大弓に使っております」
「まぁいいわ。で、そのコアとやらがあると何が良いのよ?」
「コアは魔力に反応します。ティナ様が魔力を込めると、その魔力に反応し、さらに強力な魔力を生成します」
そう言うとゲルガーは再び興奮した様に手を広げる。
「その威力は!!!山をも砕き、海を割るほど!!!!どうですか?凄いでしょう?」
「まさか、エレオノールが言ってた波の対処法ってこれ?エレオノールの推測ではアレはただの波じゃなくて、触れたものを切り裂く魔力が込められてるって話だけど」
「ええ、その通りでございます。ご安心を、我ら技術部の全てを注いだ至高の一品です。海を割るどころか、リヴァイアサンを倒す事すら叶うでしょう」
「凄い自信ね。なら、これ使わせて貰うわよ。感謝するわ」
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「あのゲルガーってやつ、嘘だったら許さないからね!!!」
弓を構える。弦をゆっくりと引く。最後まで引くと大弓から蒸気が漏れる。
「機械神とやら、頼んだわよ!!穿て!『マシーナパニッシュメント』!!!」
「『スピードアップ』『エンハンス』!」
思いっきり弦を引っ張り、放つ。蒸気の音と共に放つ。
衝撃波が遅れてやってくる。
ティナさんの周りが水飛沫に包まれる。
その一矢がリヴァイアサンの作り出した大波に衝突すると同時に、矢を中心に波に大きな穴が空く。次の瞬間、波は霧となり消え、貫通した弓は、リヴァイアサンの腹にあるコアを掠め、腹から血を流す。
リヴァイアサンは苦しそうに身を捻る。
「くッ!避けられた!」
「でも今の内に距離を詰められそうね。進みましょう!」
フィーの号令と共に霧の中を駆ける。
「皆様、あと少しで霧を抜けますよ!」
ん?今一瞬、何か光らなかったか?
「リン!行くわよ!」
「は、はい!」
いや、今の光は………まさか!?
「ダメです!霧を抜けては……」
しかし、その言葉を言い切る前に、先頭を走っていたエレオノールが霧を抜ける。
その瞬間、エレオノールに光が当てられ、胴体から真っ二つになる。




