第68話、俺たちとリヴァイアサンと作戦
『キシャアアアアアアアアアァァァァ!!!!』
リヴァイアサンの叫びは海を唸らせ、風を切り、地を震わせる。
リヴァイアサンの口元から光が漏れる。
「あれは……?」
その光は目にも止まらぬ早さで俺たちの後ろにあるホテルを一直線になぞる。
すこしの間の後、大きな地響きと共に、ホテルが真っ二つに割れる。
「なッ!?」
あの一瞬でホテルが真っ二つ!?当たったら即死じゃねぇか!!!
「こ、これは……」
フィーの声が震えている。
「こ、これと戦うっていうの?」
ティナさんの頬に冷や汗が伝う。
ッ!?マズイ!今の一撃は戦意を喪失させるには充分過ぎる。
「み、皆さん!大丈夫です!あんなの、私たちなら何とかなります!!」
クソッ!根拠も無い事しか出てこない!ど、どうしたら……。
「なんだ?お前ら。まだ戦いは始まってないぞ」
エレオノールさんが言う。
「でで、でも!あんなの…どうすれば…!」
マリアさんは慌てている。
「あのホテルに人はいない。全て避難させたしな。それにな、今のはデモンストレーションだ」
「デモンストレーション?」
「あぁ。『こうやって殺せるんだぞ?怖いだろ?早く諦めろ』って言ってやがる」
「でも、あんなの見せられたら……」
「作戦指示書129ページ。『ブレス攻撃への対策』」
「それは……」
「忘れたとは言わせないぞ。俺とじぃの集大成だ。寝てる時も作戦指示書の夢を見るまで読めと指示したはずだが?」
「『ブレス攻撃への対策』リヴァイアサンのブレス攻撃に対しては島の魔力を使った魔力壁でブロック……」
「そうだ、リン。それにな、ブレスは口からしか出ない。首の動きを見ていればどこに攻撃するかは分かる。しかも攻撃前に口元が可愛く光るおまけ付きだ」
「その通りでございます。いくら早くても、予備動作があり、来る場所が分かれば直線の攻撃など、皆様も容易く避けれるでしょう。サイズが大きいだけで、他の魔物と大差などありません。どうか、落ち着いて」
セバスさんが優しく微笑む。
「スゥーー………ハァー……」
バシッと両手で自分の頬を叩く。
「皆さん、深呼吸です」
そう言うと、皆が深呼吸を始める。
「今の私たちには、強力な武器と、緻密な作戦、そして、信頼できる仲間がいます。皆で一つになれば勝てます!」
「ふふっ♡そうね。私らしくなかったわね」
「そ、そうよ!なんかあんなのにビビってたなんてイライラしてきた!あっ、ビビってないけど!!!」
「ハッハッハッ!いやー嬉しいですよ。皆さんも私と同じ様に、あのブレスを正面から受け止めたくてウズウズしていたなんて!」
ビリーさんが元気そうに笑う。
1人だけ感性がバグってる人いるけど、戦意喪失は防げた。
だがしかし、それでも、『ただ大きいだけ』はそれだけで脅威だ。
それにまずは距離を詰めないと……
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〜作戦会議中〜
「ねぇ、エレオノール?私は完全に近距離戦闘型だから、海にいるリヴァイアサンに手も足も出ないわよ?」
フィーが口を尖らせる。
「そうだな。リヴァイアサンもバカじゃない。『海』という最大の強みを活かしながら、遠距離から攻撃してくるだろう」
「じゃあどうするのよ?」
「安心しろ。海の女神の加護を授かるという魔法を使う。これがあれば地上と同じように海の上を移動できる」
「それは…凄いわね」
「だが効果時間が短過ぎる。そこで、お前だ。リン。お前ならこの魔法の性質を強化出来るだろう?」
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「お前たち、距離を詰めるぞ。リン、頼む」
「はい!」
「海の女神よ、悪魔を殺し、この海に平穏をもたらす事をここに誓おう。我らに、加護を与えたまえ!!!!」
エレオノールが詠唱する。
それが終わると同時に俺も唱える。
「『エンハンス』!」
エレオノールを先頭に海へ駆け出す。
続いて、セバスさんも進む。
「私たちも行きましょう」
「「「「はい!」」」」
半分ヤケクソで足を踏み出す。
……………
………
…
「す、凄い…本当に海の上を歩いてる……」
「確かに地上と何の変わりも無いわね。これなら行けそうね」
「波には気をつけるのよ。高い波は流石に避けないと」
「何をしてる!!早く来い!!!」
「はい!」
こうして、少しずつ、リヴァイアサンとの距離を縮める。




