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第67話、俺たちと開戦と海の魔王

「来るぞ!!!全員、構え!!!!!」


「「「「はっ!!!」」」」


その一声で前衛の盾と槍を持った兵士たちが隙間なく並び盾を構える。


そして、海辺から弾丸の様に大量の魔物が飛び、兵士たちの盾に弾かれる。


凄まじい金属音と共に、戦いの火蓋が切られた。



「重装兵はそのまま戦線を維持しろ!!槍兵は弾かれた魔物を逃すなよ!!!砲撃兵、休まずに撃て!!!」


エレオノールさんは最前線で指揮をとる。




俺たちはリヴァイアサンが現れるまで待機を命じられている。


「あーもう!ここからならアタシも弓で援護出来るのに!」

ティナさんはもどかしそうに言う。


「気持ちは分かるけど今は我慢よティナ。きっと、私たちはリヴァイアサンの為に体力も魔力も出来るだけ残しておいて欲しいんでしょうね」


「でも、肝心のリヴァイアサンが現れませんね」


「こ、このまま何事もなければ良いんですけどね……」

マリアさんが弱々しく呟く。



「それにしてもこの陣形、上手く行っているわね」


「はい。重装兵が最前線で攻撃を受け止め、槍兵、弓兵が後ろに構え、重装兵に弾かれた魔物や、重装兵を飛び越えた魔物を倒す」


「しかもその後ろには魔法による砲撃を浴びせる砲撃隊、回復のヒーラー。完璧に魔物の進行を止めているわね」


「あの魚型の魔物だけなら問題無さそうね」


フィーがそう言い終わると同時に、激しい水飛沫が上がる。


「ッ!?」


「リヴァイアサンでは無いわね。でもかなり大きいわ」


「あれは……鮫型の魔物です!!非常に凶暴な性格だと本で読んだことがあります…!!」



日本にいた頃、テレビとかで鮫は見たことあるが、こいつは大きさが比べ物にならない。

ただでさえ恐ろしい鮫が魔物になっている。エレオノールさんに伝えないと…!



「エレオノールさん!あの魔物は危険です!!」


聞こえていないのか表情を変えない。




「エレオノールさ……ん…?」


今、エレオノールさんが少し笑ったような……。



「来たぞ!!作戦通りだ!!!砲撃隊、放て!!」


エレオノールさんの一声で砲撃隊が魔法を放つ。


鮫型の魔物に着弾すると同時に魔物が大きく痺れる。



「バリスタ隊、トドメを刺せ!!!」


痺れて動きが鈍くなった魔物に遠くからバリスタ隊の攻撃が降り注ぐ。


鮫型の魔物は何も出来ずに消滅する。



「雷属性の攻撃で痺れさせ、高威力の遠距離攻撃で倒す。無駄がなく、安全な対処ですね」


「雷属性特化の砲撃隊を控えさせていたのね」




「ハッハッハッ!その通りだとも!海に生息する魔物は何年もかけて調べた。どんな奴が出てきても問題ない!」



「あとはリヴァイアサンが現れるのを待つだけ……ですが、長引けば長引く程、不利になってしまうんじゃ……」


「まぁな。だが、この島にある魔力ソースを地面を介して兵士たちに供給している。いつもの倍以上の時間、戦うことも可能だ」


「本当に準備万端ですね……」


「当たり前だ。だがしかし、持久戦になれば先に限界が来るのはこちらだろう」


「リヴァイアサンはいつ現れるのでしょうか……」


「戦いが始まってから1時間は経っていますが……」

マリアさんが時間を確認する。


「もう1時間も経つんですね……」


「ちょっと待って頂戴!?1時間……。自分の用意した兵が1時間経っても全く進行出来ていないとなったら……」


「ッ!?自らで戦況を変えに来る……」


「あぁ。噂をすれば何とやらだ。全員、構えろ」

エレオノールさんがそう呟くと、地面が揺れ始める。


「奴が来るぞ!!!陣形を崩すな!!リヴァイアサンは俺たちが抑える!お前たちは目の前の魔物にだけ集中しろ!!!!」



「「「「「はっ!!!」」」」」



地響きが強くなる。

遠くの海が山のように膨らむ。


その膨らみが大きくなり、その中から紅く光る二つの点が現れる。




『キシャアアアアアアアアアァァァァ!!!!』


恐ろしい鳴声と共に、海の魔王が姿を現わす。それと同時にその紅い点が瞳である事が分かる。


「ッ!?こ、これは……!?」


鳴声と時間差で衝撃波が伝わる。天気と海が荒れ始める。



「あ、あれがリヴァイアサン……」






皆がたじろいでいる中、エレオノールさんは前に出る。



「よぉ、久し振りだなトカゲ野郎。今回、海に沈むのはお前の方だ。一人も殺させやしない」


「この時を……この時を待っていました。あの時は守る事が出来なかった。今回は必ず、この力で皆を守ります」

セバスさんが今までに見た事ないような決意の表情を浮かべる。




「行くぞ。お前たち。俺に続け」


俺たちは皆、武器を握りしめ、頷く。


「よし。じぃ。出るぞ」


「はっ!この命、エレオノール様の為に」


「ハッハッハッ、ここで捨てようものなら許さないぞ。じぃ?」


「そうでしたね。ではこのじぃ、必ずやこの復讐劇に終止符を打ちましょうぞ」



俺たちは並び、リヴァイアサンを睨みつける。


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