第64話、俺たちとエレオノールの過去とリヴァイアサン
「セバス……これ、なに?お家は?みんなは?おとうさんは?」
「エレオノール様………」
私は何も言えず、ただエレオノール様を抱きしめる事しか出来ませんでした。
その私を見て、エレオノール様は気付いたのでしょう。村が海に呑まれたことを。
昔から聡明な方でしたが、それが仇となり、気付いてしまいました。
「セバス、あれ、なに?」
エレオノール様が指をさした海を見ると、見たこともない大きな蛇、いえ、龍がいました。
そう。リヴァイアサンです。
「セバス、あれが村を襲ったの?」
「………恐らく」
「あれが村を……お母さんとお父さんを…」
「エレオノール様……このような事を言うのをどうかお許しを。今の私たちに出来ることは、何も、ありません」
「分かってる。僕は子供だから。今は何も出来ない。『今は』」
そう呟いたエレオノール様の目は子供の目ではありませんでした。復讐を誓った、決意の目をしていました。
「セバス、行こう」
「どちらへ?」
「街に。お金が必要だ」
「かしこまりました。このセバス、最期の時までエレオノール様にお仕え致します」
………………………
……………
………
「長くなってしまいましたね。つい話が長くなってしまいます。歳はとりたくないものですね」
「そんな過去が……」
「はい。私の、エレオノール様のお父様の最後のお願いは『レオを頼む』です。お父様に救って頂いたこの命、エレオノール様の為に使うと誓いました」
「『そして、何も出来ずに沈んでいく村をただ見ることしか出来なかった子供は、金と権力と、力を手に入れた。全ては復讐の為に』と言ったところか。ハハハ、三流小説もいいところだな」
「エレオノールさん……」
「やめろ。同情などいらん。セバスが今話したのは、同情して欲しいからじゃない。俺とセバスが、どれだけの時間、どれだけの労力をたかが1匹のトカゲ野郎に費やしたかを知ってもらう為だ」
「本当にあの海の魔王を倒せるんですね」
「当たり前だ。この島の持てる戦力全てを使う。そして誰一人として死人は出さん。全てを奪われたんだ。今度は何一つとして奪わせない」
「私たちも最大限助力させてもらうわ。リヴァイアサンとはいつ戦うの?」
「過去の事例と照らし合わせると、魔物の出現量から言って3日後と言ったところだな」
「3日……少ないわね」
「だが足りなくはない。どうせいくらシュミレートしようが、実践練習など出来んからな」
「確かにね。それと?こんな話を私たちに聞かせた本当の理由は?」
エレオノールは少しだけ口角を上げる。
「流石だな。教えてやろう。何故なら、ここに居るものが『対リヴァイアサン精鋭部隊』だからだ」
「『精鋭部隊』ってどう言う意味よ」
「そのままだ。街にいる俺の兵士たちはリヴァイアサンを取り巻く魔物どもを引き受けてもらう。それと街の防衛にな」
「そして、ここに居るものがリヴァイアサンとの戦いの主力メンバーとなります」
「ちょっと待って頂戴。精鋭部隊にはエレオノールとセバスさんも入っているのかしら?」
「当たり前だ。話を聞いていなかったのか?」
「あ、貴方達、戦えるの!?」
「当たり前だ。俺を誰だと思っている?」
「で、でも……」
「ご安心下さい。エレオノール様の強さは私が保証致します。必ずこの作戦に必要な戦力だと、すぐに理解して頂けるかと」
「分かりました。ですがどうやって巨大なリヴァイアサンを倒すのですか?」
「リヴァイアサンにはな、明確な弱点がある」
「それは?」
「リヴァイアサンには3つの核がある。それを全て壊せば殺せる」
「なんでそんなことが分かるの?」
「様々な神話と魔物を長年研究した。信じろ」
そう言うとエレオノールは立ち上がる。
「どこへ?」
「付いて来い。お前らに必要な物を用意した」




