第54話、俺たちと大富豪とクエスト
前回のあらすじ!
悪魔殺し!ジークさん!エレオノールさん!
「話って……何の話ですか?」
「商談さ」
そう言うとエレオノールは不敵に笑うのだった。
エレオノールさんに付いていく。
というか、俺は前の世界で見慣れていたからか不思議に思わなかったが……
この島、開拓されすぎじゃないか?
いや、リゾート地だから普通だと思っていたが、こう、何というか、文明レベルが違う。
この世界の庶民の家は木造りだ。俺が寝泊まりしているティエスの宿も、ギルドも木造りだ。
アビィちゃんがいたティランの屋敷のような貴族の建物はお城のように石造りだが……。
このリゾート地、ビルのような建物が多い。
などと考えていると、エレオノールの足が止まる。
「ここだ。ようこそ、我が城へ」
エレオノールの前には、周りの建物に比べ、一際目立つビルがあった。
日本の高層ビルとまでは行かないが、この世界の中で、こんなに高い建物は見た事がない。
「おっきい………」
アビィちゃんは目を輝かせる。
「ハッハッハッ!そうだろうそうだろう?」
「こんな高い建物一体どうやって……」
「俺が職人を雇った。それも大量にな!各国の優秀な職人を買い取ったのだよ」
「でもこんなに高くしたって上に行くのが大変なだけよ」
ティナさんがため息混じりに言う。
「ハッハッハッ!この俺が汗水垂らして階段など使うものか!こっちに来い」
そういうとエレオノールさんは丸い石の床に立ち、手招きをする。
言われた通りに丸い石の床の中心に寄る。
すると次の瞬間、床が上へと上がって行く。
「なっ!?」
「飛んでるー!」
「これは…流石に驚いたわね……」
これって、もしかして……エレベーター!?電力なんて存在しないんだぞ!?
「ハッハッハッ!良い反応をしてくれて嬉しいよ。これは私が考案し、職人たちに作らせた『フロートフロア』だ」
「どうやって上がっているの!?」
「私からご説明を。この島の地下には魔力が自動生成される地点が幾つかございます。それらを管理し、莫大な魔力の一部を使い、この床を押し上げているのです」
セバスさんの説明が終わると同時に最上階に辿り着く。
「さぁ、掛けたまえ」
言われた通りに席に座る。
「それでだ、早速だが商談の話に移ろう。とは言っても、大体予想はつくだろうが」
「海に出現する魔物の退治でしょうか?」
「あぁ、そうだ。どうだ?報酬は間違いなく君たちの人生で一番高額だと思うが」
「い、いえ。私たちはこの海が好きです。ですので報酬はいりませ………」
そう言おうとするとエレオノールさんは俺たちを睨みつける。
「いいか?俺は実力を認めたものにしか仕事は与えん。逆に言えば、仕事を与えるからには報酬支払う。それが雇用主の責任であり義務だ」
「で、でも……」
「良い事を教えてやる。自分の評価を、自分で下げるな。契約をするなら黙って報酬は受け取れ。前払いだ」
「は、はい」
そう言い、報酬を確認する。
「なっ!?」
幾ら何でも多過ぎる。
「何を考えているかは想像が付く。報酬が多く感じたのだろう?だがな、これはミスじゃない。この額に釣り合う働きをお前達に依頼する」
「貴方、何か知っている事があるでしょう?」
「あぁ、そうだ。これは勘だが、今回の騒ぎはもっと荒れる。間違い無くこの島一番の危機が訪れる」
「その危機とは……?」
「そこまでは知らん。だが俺の勘は必ずと言ってもいいほど当たる。だからその危機に備えてお前達を雇いたい」
「まぁ元々お手伝いはしたいと思ってましたし」
「そうか。では商談成立だな」
そういうとエレオノールさんは手を差し出す。
「へ?」
「なんだリン?握手を知らないのか?」
「あ、あぁ、いえ。よろしくお願いします」
「あぁ。よろしく頼む」
エレオノールと握手を交わす。
「貴方は握手とかしないタイプだと思っていたわ」
「俺が雇った者に共通することは「優秀」ということだ。優秀な者には敬意を払う。当然だろう?」
「そうね。その評価に感謝するわ。今まで碌な貴族と出会わなかったからか、ついそういう目で見てしまうのよ」
「ん?あぁ、そういうことか。大体の貴族は自分の上の代が作り上げたちっぽけな栄光にすがっているだけの無能に過ぎん。それに俺は貴族ではない。産まれは平民だからな」
「「「「えっ!?」」」」
「エレオノール様のいう通りでございます。エレオノール様はお一人でここまで上り詰めたのです」
「じぃの言う通りだ。つまり俺は貴族でも大貴族でもない。大富豪だ。そんじょそこらの無能貴族共と一緒にするな」
「は、はぁ……」
「おっと、無駄話が過ぎたな。いや、俺の話だから無駄ではないが。では早速、お前たちには海で起こっていることの調査をしてもらう」
「それは問題ありませんが…魔物は大丈夫ですか?」
「当たり前だ。俺の兵士たちだぞ。お前たちは調査をし、原因と近くに迫っているであろう危機を報告しろ」
「はい!」
こうして大富豪エレオノールからのクエストを受けるのだった。
6連勤おじさん




