第41話、俺たちとダンタリオンと真の力
「この姿になるのは久しぶりです」
そこに居たのは360度、あらゆる方向に顔があり、背中には悪魔の翼、そして一冊の大きな本を持つ化け物がいた。
「これがダンタリオンの本当の姿なのね……」
「その通りでございます。とは言え、私自身に戦闘力はございませんのでご安心を」
「ですので先程と同じく、土人形と戦ってもらいましょうかね」
「あんな人形で私たちを止められると思っているの?」
「先程とは違いますとも。この呪術書を使えば、先程とは比べ物にならない力を使うことが出来ますので」
そう言うと手に持った大きな本を広げる。
「さぁ目の前の敵を土に還してあげなさい」
そう唱えると先程と同じく、ティナさん、アビィちゃん、フィー、シスター達とそっくりな人形を創り出す。ぱっと見でも10体はいる。
「『スピードアップ』『ストレングス』!」
「ありがとう、リン。行くわよ!」
「ハァァァァア!」
フィーの拳が土人形にめり込む。予想よりも戦闘力は低く、簡単に崩れる。
「あら、やっぱり大したこと無いんじゃない?」
「おや、暴れ足りないようですね。では追加致しましょう」
そう言うと直ぐに土人形を補充する。
「くっ…!人形を創り出すのが早すぎる…!」
「これは手強いですね……」
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「ハァ…ハァ……」
フィーが土人形を何体倒したかもう分からない。
フィーが人形を壊しながら前進する度に、ダンタリオンは少しずつ後退する。
「どんだけいるのよ…この人形…」
「あの呪術書を破壊すれば……!!!」
「でも人形がっ!多過ぎて!近付けないわッ!!!」
フィーは人形を倒しながら答える。
「もう少し…もう少しの辛抱です」
「おや、もうお疲れですか?では大量の土人形で貴方達を生き埋めにしてさしあげましょう」
そう言うとダンタリオンは天高く呪術書を掲げる。
「!!!」
「『ストレングス』『エンハンス』!!!」
「最後にもう一回!『エンハンス』!!!」
「フンッ、無意味な抵抗は見苦しいですよ。そちらのフィーさんはもうお疲れの様ですし、いくら魔法をかけても無駄です」
「ハハハハハッ!!!貴方たちは!!!ただの土塊に殺される!!!私の呪術は最強です!!!」
「今の魔法はフィーさんにかけたのではありません」
「私たちの勝ちです」
次の瞬間、大きな矢がダンタリオンの呪術書を貫く。
呪術書はダンタリオンの手を離れ、地面に突き刺さる。
「なっ………!?」
「一体……何が………?」
ダンタリオンは矢が飛んで来た方向を見る。
その方向には教会が。
教会の時計塔には大弓を持った人影が見える。
「まさか……!」
「私たちは4人で一つのパーティーです」
「あのエルフの……狙撃…?あの教会からこの広場を…!?」
「あり得ない!!!そんなに矢が届くわけがない!それに、この私が矢に気付かない筈がない!!!…………ハッ!?」
「そうです。矢にアビィちゃんの気配遮断魔法を付与しています」
「あの時貴方が魔法を唱えたのは………」
「はい。最初はティナさんの筋力強化とそれに対する増大魔法で超遠距離狙撃を可能にしました」
「最後の増大魔法は、アビィちゃんの気配遮断魔法の強化をしました」
「クソッ!クソッ!!」
「だがしかし…たかが4人程度、呪術書が無くとも……!!!」
「4人じゃないわ」
「なに?」
「貴方と戦っているのは私たち4人だけじゃないわ」
「この国の国民全員よ!!!」
フィーのその声に反応し、広場の周りにある建物の窓が一斉に開く。
「投擲、開始です!!!!」
マリアさんの合図で国民たちは一斉に小瓶をを投げる。
広場に大量の小瓶が宙を舞う。
小瓶がダンタリオンに当たる。
「ッ!?こ、これは!?」
「ポーション!?」
「そうです。ポーションはシスターの祈りが凝縮した、神聖なものです」
「貴方はずっと、シスターさんたちの祈りやポーションを避けていた!何故なら、弱点が神聖属性だからです!!!」
「グアアアアアァァァ!!!!!!」
次々とポーションを身体に浴び、のたうち回る。
「熱い!!!熱い!!身体が灼ける!!!!」
「人間共ガアアアァァァ!!!!!!」
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大量ポーションを身体に浴び、遂にダンタリオンは倒れる。
次の瞬間、広場は歓声に包まれる。
「お疲れ様」
大弓を背負ったティナさんが合流する。アビィちゃんも一緒だ。
「あら、ティナ。流石だったわよ。アビィもね」
「ありがと。でもあんたの誘導と、リンとアビィの魔法のお陰よ」
「えへへ……」
アビィちゃんは嬉しそうに微笑む。
「……だです…。……まだです…」
「まだ、終わりではありません……」
ダンタリオンはドロドロに溶けた顔でこちらを睨みながら手を伸ばす。
「呪術書は破壊され、シスターさんたちの呪術も、先代の代表にかけられた呪術も解けるでしょう。終わりです。ダンタリオン。貴方の負けです」
「負け………。負け…ですか……」
「フフッ…フフフフフッ……」
突然ダンタリオンは嗤いだす。
「確かに私はもう死ぬでしょう。ですが、最後に貴方たちを、この国を道連れに……」
「そして……サタン様から承りし任務を…遂行するのです……」
「なっ!?」
「我が身に宿る呪力よ、我を、この者たちを、この国を飲み込め!!!!この命は!サタン様の為に!!!!!!」




