第40話、俺たちと作戦とダンタリオン
前回のあらすじ!
ダンタリオン!開戦!ダンタリオンの呪術!
「我が従者達よ、この者たちの相手をしろ」
男は手を空に伸ばし唱える。
「フフッ…フフフフフ……憎い私なら兎も角、相手は無実のシスターです。貴女達に彼女達を攻撃することが出来ますかね?」
「あら、それは怖いわね。でも随分と来るのが遅いみたいね」
「……なに、もうすぐさ」
「『シスター達は全員祈祷中で、この教会に居るはずなのに何故来ないんだ』って思っていませんか?」
「………」
ダンタリオンの額に汗が滲む。
「無駄よ。だってさっきから言ってるでしょう?」
「『貴方の呪術は三流だ』ってね♡」
「き、貴様ァ!!!!」
「我が従者達よ!!この者達を殺せ!!!八つ裂きにしろ!!!!」
「あら?貴方の従者はどこかしら?」
「くっ………!!!」
「無駄です。貴方の呪術はシスターさん達にはかかっていません。よって、この場にシスターさん達が現れる事はありません」
「そんな訳がないッ!!!!」
「貴方の呪術は戦う前から分かっていたのよ?私たちが何も用意せずに挑むと思った?」
「リンさんには、貴方の呪術を解く支援魔法がありますから!!!」
「そ、そんな事が………あるはずが…」
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時は今日の朝まで遡る。
「ティナさんには重要な役を任せたいと思っています」
「ただ、難しいですし、ティナさんの負担も大きいのですが……」
「なーに俯いてんのよ。リンが決めた役割でしょ。それなら文句無いわよ。それで?何をすればいいの?」
「ティナさん……ありがとうございます!」
そう言うとティナさんは顔を少しだけ赤らめ、腕を組み、そっぽを向く。
「ティナさんには、精霊術を使ってシスターさん達を結界の中に閉じ込めて貰いたいんです」
「それでアイツの呪術から守るってこと?」
「その通りです」
「理屈は分かったわ。でもシスター達全員を一度にってなると、バラけてるし、そんなに大きな結界は張れないわよ?」
「そんなに大きな結界は必要ありません。シスターさん達は一つの場所に集まりますから」
「それってどういう………あっ!!!」
「そうです。毎日17時半に行う祈祷のタイミングに結界を張ってもらいます」
「だからエリックに仕掛けるのも17時過ぎって事ね」
「そうです。もちろん、エリックさんが呪術を使ったタイミングで遠距離からティナさんに支援魔法でサポートします」
「なるほどね。後は直ぐに結界を張れる環境を今のうちに整えておけって事ね」
「あ、でも、ずっと結界を展開し続けるのは流石に厳しいわよ?」
「それは大丈夫です。エリックさんに『シスターさん達は呪術にかかっていない』と思い込ませれば、諦めて他の手段に出るはずですから」
「…………正直、リンの支援魔法は強力だし頼りにもしてるけど、まさか作戦立案能力がメインだったりしない?」
「皆さんの一歩後ろで支援をしていると、見えてくるものがあるんですよ」
「そういうものなのね……」
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しかし、ダンタリオンの呪術はかなり強力だ。シスターさん達を呼び寄せる力がかなり強い。
俺が支援魔法を使っているのがバレない様に、澄ました顔をしているがかなりキツイ。
支援魔法をかけているだけの俺でもこんなに辛い。ティナさんはもっと大変だろう。
早く諦めてくれると良いんだけど……でも、焦っちゃダメだ。焦ってボロが出たら一気に不利になる。
「アビィちゃんの言う通りです。私には対象の精神力を向上させる『ブレイブ』という支援魔法があります。この魔法を応用すれば、対象の精神支配を解く事が出来ます!」
これは嘘では無い。対ダンタリオン用に習得した魔法だ。しかし、シスターさん達はダンタリオンと過ごした時間が長いこともあり、かけられた呪術が強力で、精神支配を解く事が出来なかった。
「くっ……!まぁ良い、それなら別の方法で殺して差し上げましょう」
ダンタリオンは諦めたのか、呪術の使用を止めた。
そのタイミングでアビィちゃんは気配遮断の魔法を使い、姿を消す。
「ふん、気配遮断系の魔法でも使ったのですか?無駄な事です。あの程度の子どもの攻撃など、痛くも痒くもありません」
「安心しなさい。貴方の相手は最初から私よ。私の筋肉で貴方を月まで吹っ飛ばしてあげる♡」
「ほう、それは恐ろしい。では私も抵抗すると致しましょう」
そう言うとダンタリオンの身体が震えだす。
全身の骨が砕ける様な音が響き、不規則に身体を曲げる。
エリックだった顔も徐々に崩れ、人間離れして行く。右目は左耳の方へ、口は後頭部へ、鼻が脳天へ、そして左目が顔の中心部分に移動する。
顔のパーツが不気味に散らばったと思うと、今度は散らばったところに新たな顔が出来る。
「皆様は『ダンタリオン』という悪魔の真の姿をご存知ですか?」
そう言うダンタリオンの背中から悪魔の翼が生える。
「元々私は数十個の顔を持つと言われているのですよ」
「この姿になるのは久しぶりです」
そこに居たのは360度、あらゆる方向に顔があり、背中には悪魔の翼、そして一冊の大きな本を持つ化け物がいた。




