第38話、俺たちとセルティアと準備
前回のあらすじ!
作戦!夕食!2日目終了!
「朝よ、起きてリン」
「んん……フィーさん…?」
「そうよ。夜に襲撃は無かったみたいよ」
フィーが微笑む。
「そうですか……良かったです。ティナさんの結界に感謝ですね」
身体を伸ばしながらフィーの顔を見ると薄っすらと目の下にクマがあった。
「あれ?フィーさん目の下にクマが……」
「あらやだ!ちゃんとお化粧出来てなかったのかしら!」
「夜の間、ずっと見張りを?」
「戦闘状態ではないけど、ここは敵陣のど真ん中だからね。念の為よ」
「そうですか……。ありがとうございます」
「やんだ!私たちの仲でしょ!いいのよ」
「『親しき仲にも礼儀あり』ですよ」
「あら、良い言葉ね。リンの故郷のことわざとかかしらね?」
「あ!は、はい!そうだと思います」
「そうね。『ありがとう』ね。感謝の言葉は言える時に言わないとダメよね……」
フィーは何処か遠くを見つめる。
「フィーさん?」
「ああ、いえ。何でもないわ。それよりアビィちゃんとティナを起こしましょう」
2人を起こした後、事前に決めていた集合場所である庭園でマリアさんと合流する。
庭園に入るとティナさんは結界を張る。
「あ、皆さん!おはようございます!」
マリアさんは駆け寄ってくる。
「おはようございます。昨日はどうでした?」
「はい!リンさんの言う通り、呪術はこの国全体に影響を与えていました」
「でもでも!シスター達に比べたら影響は少ないみたいで、『エリックさんが代表になった事を疑問に思わない』という認識阻害の呪術のみでした!」
「良かったわ。流石に国民全員を操られていたら勝ち目が無かったわ」
俺たちはこれまでのシスターの言動や受けた呪術の強さから、『エリックはシスターを自分の思い通りに操れる』という仮説を立てた。
国民全員を操られたら勝ち目がないと思った俺は、マリアさんに国民が受けた呪術の強さを確かめてもらっていた。
「あ、ちゃんと言われた通り、国民の方々には伝えてきました!」
「ありがとうございます」
「何を伝えたんですか?」
アビィちゃんがポカンとした表情で尋ねる。
「マリアさんには噂の流布をお願いしたんです。『そう言えば何でエリックさんが代表なんだろう』とか『実はエリックさんは本当の代表じゃないかもしれない』みたいな噂です」
「この呪術は効果も広いし、何より気付きにくいのが一番やっかいなのよ。でも、誰かの一言をトリガーにすれば、あっという間に効果が切れるんじゃないかと考えたの」
「実際、効果は直ぐに現れました。昨日の朝に噂を広め、お昼には何人かの商人さんに真実を伝え、協力をお願いました」
「それで?結果は?」
「成功です!他の商人にも掛け合ってくれて、結果、全ての商人が協力してくれました!」
「全ての商人って……流石にそれは予想外ね…」
「元々、この国はセルティア神を信仰していますからね、その信仰に泥を塗るような行為は許せないんですよきっと!」
「それで、例のものはいつ頃?」
「今日のお昼には準備出来るそうです!」
「良かったわ。リンの『対悪魔アイテム』は効くかしらね?」
「正直、確証はありません。でも、きっと上手くいくはずです」
「まぁ、やるだけやりましょ。後は仕掛ける時間ね」
「17時半にします」
「最後は?」
「街の広場にしましょう」
「分かったわ」
「マリアさんにはまだやって貰いたい事があります。手伝うなんて言っておいて、頼ってばかりで申し訳ありませんが……」
「いえいえ!私たちの国の問題ですもん!幾らでも頑張っちゃいます!」
「ありがとうございます。では、マリアさんには商人の方たちやこの国の住民たちと共にやって貰いたい事があります。それはーー」
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「わ、分かりました!頑張ります!」
「後は17時半までバレないように準備を整えましょう」
「はーい!」
「あと、フィーさんは少しでもいいから寝るように!ですよ?」
「あら、忘れてなかったのね♡」
「当然です」
「分かったわ。流石に寝てない身体で戦うのは危険だもんね。ちゃんと休憩させて貰うわ」
「後はティナさんはこれから大変ですから、いっぱい食べて、いっぱい休みましょう」
「分かってるわよ」
「わ、わたしはどうしましょう!」
「アビィちゃんにもちゃんとお仕事がありますよ。後で私とマリアさんと一緒に商人さんのところへ向かいましょう」
「リンさんと一緒?やったー!」
頭を撫でてあげると嬉しそうに目を細める。
「じゃあ、皆さん。一緒に先代を、この国を救いましょう」
「「「「おー!!!」」」」




