第37話、俺たちとエリックと作戦
前回のあらすじ!
シスター!エリック!呪術!
「呪術士の撃破と先代の代表さんの救出を手伝って下さい」
フィー、ティナさん、アビィちゃんの方を真っ直ぐ見て言う。
「ふふっ♡貴女が決めた事だもん。もちろん手伝うわよ」
「まぁこうなるとは思ってたけどね」
「わたしはもちろん手伝います!」
「ま、待って下さーい!」
マリアさんが慌てたように間に入る。
「皆さんはシスターを探すのが目的ですよね!?セルティアの事を皆さんに頼るわけには……」
「そう言うわけにも行きません。それに、全く関係ない訳ではありませんから」
「関係…あるんですか?」
「はい!」
「でもでも、流石に…」
「リンは意外と頑固だから無駄よ。諦めなさい」
ティナさんの一言にマリアさんは諦めたように微笑む。
「でも、マリアちゃんにも協力して貰うわよ♡」
「は、はい!私に出来ることであればなんでも……」
「じゃあ、これから作戦会議をします。まずは………」
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「作戦、上手くいきますかね?」
アビィちゃんが心配そうに尋ねる。
「きっと大丈夫よ♡直ぐに戦闘にはならないだろうし、今は夕食の時に平静を装えばいいだけだから」
「マリアが頑張ってあちこち走り回ってくれてるお陰ね」
「そうですね。シスターなのにほとんど呪術の効果を受けていないマリアさんの存在は、エリックさんからしても不測の事態でしょうからね」
などと話していると
「失礼します。御夕食の用意が整いましたので、是非お越し下さい」
「じゃあ、行きましょうか」
昨日と同じ様に食堂へ向かう。
食堂に到着すると、エリックは席に座って俺たちのことを待っていた。
「よくぞいらっしゃいました!今夜も良い料理を揃えておりますので、どうぞお座り下さい」
言われるがまま席に着く。
「皆様がセルティアに着いてからもう2日目も終わろうとしておりますが、パーティーに入れたいシスターは見つかりましたか?」
「まぁぼちぼちですかね。明日にでもお話しして、上手く行けばそのまま契約して帰ろうかなと思っています」
「おお!皆様のお眼鏡に叶うシスターを見つけられる事を心より祈っておりますよ」
「ありがとうございます」
「今日も冒険の話をしようと考えては居たのですが、昨日でほとんど話してしまったので何を話せば良いか……」
「そんなに気にしないでください。そうですねぇ……では、皆様の戦い方などをお聞きしたいです。強大な悪魔を倒したと言うその方法を知りたいので」
「あら、いいじゃない。じゃあ私が教えてあげる♡」
「まず私はね、この筋肉を使ってみんなを守る盾なの♡」
「だから防御系のスキルを駆使してあの時は悪魔の攻撃を受け続けたのよ」
「それは凄い!素晴らしい耐久力ですね」
「そして私が耐えている間に、魔法使いであるティナが攻撃するの」
「でもティナの魔法は時間がかかって直ぐに攻撃は出来ないから、詠唱中は私が守るのよ♡」
「成る程!」
その後もフィーは嘘の情報を話し続けた。
何が凄いって、100%の嘘はついていない事だ。確かに悪魔の攻撃を受け続けたのフィーだし、ティナさんは魔法…では無いが精霊術を使うし。
あの時は悪魔が怒ってフィーを狙っていただけで、防御系のスキルなんて使っていなかったが。
しかも、話し方もうまい。抑揚のつけ方とか、ジェスチャーとか。コミュ力が高いとは思っていたけど、こう言うことにも応用できるんだ……。
「いやはや、貴重なお話、ありがとうございました」
「うふっ、いいのよ♡」
「そう言えばこっちからも聞きたい事があるんだけど」
「はい、何でしょう?」
「シスターちゃんから聞いたんだけど、ポーション作製の祈祷に貴方は参加されないそうね?」
「聞いた話では、先代の代表は祈祷には必ず立ち会っていたという事だったけど」
「あ、あぁ、それは…シスターの練度も上がり、わざわざ私が立ち会わずとも良いポーションが作製出来る様になったからですよ。ですので私はその間に他の仕事をしているのです」
「あら、それは良い事ね」
「あ、そうそう、そう言えばエリックさん?この教会では毎日、夕方の5時半にポーションの作製とは別に、祈祷をしているでしょう?」
「はい、よくご存知で。あれはポーション作製の為の祈祷ではなく、純粋に我等が神のセルティアに感謝を捧げているのですよ」
「それでね、貴方、気を付けなきゃいけないわよ♡」
「と、言いますと?」
「いや、ね?ちょっと小耳に挟んじゃったんだけどね?」
「シスターさんたち数人が『先代は一緒に祈祷をしてくれたけど、今の代表は祈祷を一緒にしてくれない。なんか怪しい!』って愚痴ってるところを偶然聞いちゃったのよ」
「な、成る程。愚痴……ですか。ちなみにそれは最近の事ですか?」
「ん?そうね。今朝くらいだったかしら」
「そのシスターたちの名前や顔は分かりますか?」
「いえ、扉越しに聞いただけだから分からないけど……って、ちょっと!問い詰めたりしたら気まずい雰囲気になるからやめておいた方がいいわよ〜?」
フィーは悪戯そう微笑む。
「あ、ああ、いえ、失礼。その様なつもりでは。純粋に代表として、シスター達の不安は取り除きたいのですよ」
「そうですか……私を怪しんでいたのですか……」
エリックさんの顔が険しくなる。
「っと、ちょっと暗い話しちゃったわねごめんなさい♡」
「あぁ、いえいえ、お気になさらず。おや、皆さん食事もお済みのようですね。ではこれで失礼致します。お休みなさい」
「えぇ。貴方もねエリックさん」
「じゃあ部屋に戻りましょっか!」
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「フィーさんフィーさん?シスターさん達、本当に愚痴なんて言っていたんですか?」
アビィちゃんはフィーに尋ねる。
「うふっ♡100%嘘って訳ではないわよ。マリアちゃんが言ってたでしょう?『今の代表の評判はあまり良く無い』って」
「でもあれって、エリックが来て間もない頃の話でしょ?」
「そうよティナ。だから『今朝言っていた』ってのは嘘よ」
「何で今朝なんて嘘を?」
「エリックはね、シスター達を完全に支配したと思ってるの。自分の不利益になる事は言わないし、言えない。ましてや、自分を疑うシスターなんて居ないと思っているはずよ」
「なのに、『今朝貴方の愚痴を言って疑っているシスターが数人いた』って言われたらどう思う?」
「え〜と、凄く不安になる…ですかね?」
「そう言う事。100%安心だと確信していたのに、99%になったら急に不安になるでしょう?」
「特に、信頼は1%でも欠けたらもうお終いよ。その力や技、あるいはその人に頼るのが不安になるの」
「アンタって……たまにこの世の真理みたいなこと言い出すわよね。悔しいけど説得力あるわ」
「あらやだ!照れちゃうわねぇ〜!いや〜ん!」
「ちょっ!くねくねしないでよ!」
「でも凄いです!色々考えていたんですね!」
「確かに、このホラ話は私が考えたけど、相手を不安にさせるって言うのはリンの作戦よ」
「おー!!!」
アビィちゃんがキラキラした目で見てくれる。
「でも、エリックが超ポジティブだったら気にしないような内容でもありそうだけど」
「はい。まぁ、悪足掻きみたいなものです」
「でも、エリックさんは何か大きな事をしようとしている様でしたし、忙しいというのも事実でしょう」
「それなら神経質になってるんじゃないかなぁ……と思って考えてみたんですけど、上手くいってくれますかね……」
「リンって子どもなのにやたらと頭回るわよね」
「ま、まぁ、慣れ?ですかね?」
(ゲームとか小説とか沢山見てたからなぁ……それとネカマだとバレないように相手の立場になって考えたりしてたのが役に立った……)
「記憶を失う前も作戦を考えたりしてたのかもしれないわね」
「そ、そうかもしれないですね!」
「まぁ、何はともあれ、今日は警戒しながら寝ましょう。明日帰るかもと伝えたし、何かしてくるなら今夜か明日よ」
「そうね、念の為精霊術で結界を張っておくわ」
「ティナさん、お願いしますね。じゃあ皆さん、お休みなさい!」
「「「はーい!」」」




