第36話、俺たちとマリアさんと決意
「さっきのシスターさんたち…少し不気味でしたね……」
「はい……」
「私も…あんなシスターさんたち、初めて見ました……」
朝食の後、部屋に戻った俺たちは先程のシスターたちの行動について話していた。
他のシスターと違い、いつも通りの様子だったマリアさんも部屋に招いた。
「『精霊の加護よ』」
ティナさんは精霊術で結界を作る。
「ティナさん?どうしたんですか?」
「念の為よ。誰が聞き耳を立てているか分からないからね」
「ティナ、貴女やっぱり何かに気付いたのね?」
「……ええ」
ティナさんは深刻な表情を浮かべる。
「あの時のシスターたちからは呪術の気配を感じたわ」
「「「!!!」」」
その一言にその場の空気は凍りつく。
「呪術……ですか。私も聞いた事があります。魔の物が使う術だとか……」
そう言うとマリアさんは俯く。
「じゃ、じゃあ、シスターさんたちは全員魔物って事ですか?」
アビィちゃんは怯えながら尋ねる。
「そ、そんな訳ありません!!!」
マリアはさんは勢いよく立ち上がる。
「あの場に居たシスターの皆さんとは、辛い時も、楽しい時も一緒に過ごした仲間なんです!」
「いつもダメダメな私を…みんなは見放さずに……」
「安心して、シスター達が悪魔の関係者って可能性は低いと思うわ。前回の悪魔と比べても明らかに気配が弱かったし」
「よ、良かった………」
マリアさんは涙を拭う。
「どちらかと言うと呪術をかけられているって感じね」
「そ、そんな……」
マリアさんは再び俯く。
「あの感じを見ると、『代表の不利益になる言動をしたら自動で作用する』みたいな感じかしらね?」
「そうだと思うわ」
「じゃあエリックさんが悪魔、あるいは悪魔の手先の可能性は高いですね」
「そうね」
「あっ、そう言えば……」
フィーは何かを思いついた様に顔を上げる。
「先代の代表の後継者がエリックなのはどうしてなの?」
「言われてみればそうですね!息子さん……とかですか?」
「い、いえ……先代にご子息は居ません…。あれ?確かに…何でエリックさんが代表を……?」
「『先代が病に伏したから仕方がない』では済まない筈なのに……何故かずっとそれが当たり前かの様に思っていました」
「それも呪術による影響に違いないわ。長期にわたって少しずつ呪術をかけて、認識阻害をしてるのね」
「な、なるほど…。確かに前はエリックさんに対する不満を他のシスターさんからも聞いていましたが、最近ではサッパリです」
「じゃあどうしてマリアさんは呪術の影響をあまり受けていないんですかね?」
「……へっ!?わ、私は悪魔の手先さんとかって訳ではないですよ!?!?」
マリアさんは手をブンブン振り回しながら否定する。
「ふふっ…すみません、そう言うわけで言ったわけじゃありません。それに、マリアさんの事を疑ってなんていませんよ」
「そうですね!わたしもマリアさんの事は信じています!」
「信じてるって言うか、分かり易すぎるからね……」
フィーは隣で笑いを堪えている。
「よ、良かった……えへへ…」
「でも、今はそれよりも考えるべき事があるわ」
「エリックが来た途端、先代の代表が突然病気になったなんて都合が良過ぎると思わない?」
「ま、まさか……」
「えぇ、エリックが先代に何らかの呪術をかけた可能性は高いわ」
「そ、そんな……!!!」
「どんなお医者様に見せても原因が分からないと言われたのはそのせいでしょうか…」
「でしょうね。でも死んでいないなら大丈夫よ。呪具を壊すか、呪術をかけた本人を倒せば解呪される筈よ」
「そ、そうなんですね!」
すると、マリアさんは立ち上がる。
「先代は、私にとって親同然の大切な人です。絶対に助けてみせます」
マリアさんは震えながらも真剣な表情で言う。
その瞳には強い意志を感じた。
「フィーさん、ティナさん、アビィちゃん、お願いがあります」
その言葉を聞くと3人はこっちを向いてくれる。
「呪術士の撃破と先代の代表さんの救出を手伝って下さい」




