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第34話、俺たちとマリアさんと庭園

前回のあらすじ!

ウェイトレスさん!庭園!マリアさん!



「あ、わ、私は『マリア』って言います」

「ほほほ、本当に先程は申し訳ありません……」



「うふっ♡大丈夫よ。それより、マリアちゃんはここで何をしていたの?」



「は、はい!えっと、お庭の手入れを……」


「へー。アンタ一人で?」



「そ、そうです。ここは私が先代の代表に頂いたお庭なので……」


「頂いた?」



「は、はい。えっと…少し長くなっちゃうんですけど……」


「いいわよ」


俺たちは皆、庭園のベンチに腰掛ける。

その後、マリアさんが語り始める。




「実は私、捨て子だったんです。だから、親の顔も自分の名前も知らないんです」


「そんな時、私のことを拾い、育ててくれたのがこの教会の代表なんです……あ!と言っても今の代表では無く、先代ですが!」



「先代は私に名前と家と暖かいご飯にお風呂を与えてくれました」


「先代に恩を返そうと『立派なシスターさんになる!』って言って頑張っていたのですが……私は…その…失敗ばかりで…」


「祈りの言葉を間違えちゃったり、掃除をすればバケツをひっくり返したり……他のシスターさんたちはみんな優しくて、励ましてくれたけど、それがまた辛くて…」



「そんな時、偶然この庭園を見つけたんです」


「最初は花も枯れて、元気の無い庭園だったんですけど、気分転換に手入れをしたりしてたら少しずつ元気になってくれたんです」



「ある日、いつも通りお庭の手入れをしてたらそこに先代がやって来て、凄く褒めてくれたんです」


「そして『マリア、この庭園を君にあげよう。私は君が育てたこの庭園が大好きだ』って言ってくれたんです」



「だから今もこうして手入れしているんです。嫌な事があったり、失敗しちゃった時はここに来てお庭のお花や草木に語りかけながらお水をあげるのが好きなんです」




「素敵なお話だと思います!」


「そうね、この庭園が輝いて見えるのは、貴女の暖かい気持ちのお陰ね」



「え、えへへ…ありがとうございます」



「先代の代表さんって良い人なんですね!」

アビィちゃんが笑顔で言う。


「はい!どんな種族にも優しくて、困ってる人を見過ごせないお人好しなんです。ポーション作製もそんな思いから成し遂げた事なんですよ」



「それに比べて、今の代表は何なのよあの態度」

再びティナさんか口を尖らせる。




「……確かに、今の代表のエリックさんには、他のシスターさんたちも思うところがあるらしく、あまり評判は良くありませんね……」



「でも、先代が急に病気なっちゃったし、しょうがないんです…」

そう言うとマリアさんは寂しそうに俯く。



「あれ?今何時でしたっけ?」

ふと、何かを思い出したかのようにマリアさんが尋ねる。



「えーと、あと少しで17時半ですよ」


「17時半…17時半……17時半!?」

マリアさんは勢いよく立ち上がる。


「毎日17時半から一斉祈祷があるんでした!!!長くなってしまってすみません!」


「あ、いつでもこのお庭に遊びに来て下さいね!では失礼します!」

そう言うとマリアさんは走って庭園から出て行く。


遠くから

「遅刻しちゃう〜」

と聞こえる。



「マリアさん、すっごく良い人でしたね!」


「はい、優しい人でしたね」


「ちょっと…ていうか、かなりドジっ子な気はするけどね」


「ふふっ、じゃあ私たちもお部屋に戻りましょうか♡」





部屋に戻った後、少し休憩する。

なんでも、エリックさんからの誘いで夕食を振舞ってくれるらしい。



各々、時間を潰したあと、食堂に向かう。


時間は19時と言ったところだろうか。この時間になると、住み込みのシスターさんや料理人以外は居ない為、かなり静かだ。


「お待ちしていましたよ」

エリックさんが出迎えてくれる。


テーブルには既に料理が置かれており、どれも美味しそうだった。

「どうぞお掛けください。宜しければ冒険のお話をお聞きしたいのですが、如何でしょう?」



「はい。と言っても大して冒険はしていませんが…」


「またまた、ご謙遜を!!」

「リン様とフィー様はどの様にして出会ったのですか?」


そこから俺とフィーの出会いを話した。



「いやぁ、実に面白い」


「ありがとうございます。次に出会ったのはティナさんで……」


「そう言えば、ティランの悪魔というのはどの様な悪魔だったのですか?」


「あ……えっと…」


「まぁそれは明日にでも話しましょう?物事は順序っていうのがあるのよ」

「ティナと出会った時なんてビックリだったのよぉ!」

フィーはそう言うとティナさんとの出会いを語り始める。


エリックさんは笑顔で相槌を打っているが、その笑顔は、先程の笑顔とは少し違う気がした。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「いやぁ、貴重なお話をありがとうございました。宜しければ明日も夕食はご用意致しますので、是非いらして下さい!」



食べ終わった後、部屋に戻る。


ティナさんは再び愚痴を言い、それをフィーがなだめる。



そして夜も更け、眠りにつく。


こうしてセルティアでの1日目が終わった。

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