第33話、俺たちとセルティアとエリックさん
前回のあらすじ!
ヒーラーがいない!出発!信徒の国!
ティナさんはまた馬車酔いしている。
エルフは馬車などの乗り物に乗る事はほぼ無い為、乗り慣れていないらしい。
俺は転生する前に営業とかで散々車に乗っていたが、馬車はかなり揺れるし慣れていない人からしたら大変そうだ。
セルティアはそれなりに遠いところにあるらしく、途中の村や街の宿で夜を明かしながら進む。
ティナさんの為にも会話を絶やさない様にしたり、歌を歌ったりしていたが、フィーが元気付けようと一人ボディビル大会を開催したあたりからティナさんは完全にダウンしている。
やっとの思いで村に着き、宿で夜を明かす。次の日も、その次の日も馬車に乗り、また宿で寝る。
迎えた4日目の朝。
「あ!見えてきましたよ!!」
その言葉にティナさんの瞳に光が戻る。
「わぁ……!」
アビィちゃんは目をキラキラさせている。
大きな橋を渡り、セルティアに入国する。
「綺麗な街並みね♡」
フィーの言う通り、建物の色なども淡い色の家が多く、外国的な雰囲気が強い。実際外国なのだが。
「はぁ……はぁ……着けば何でもいいわ…早く降りましょ…」
ティナさんも限界そうなので御者のおじさんにお礼を言い、降りる。
今までの国や街のイメージから、大きな門などがあると思い込んでいたが、そんな事は全く無く、かなりウェルカムな雰囲気だ。
これなら観光客が多いのも頷ける。
フィーが荷物を持ち上げる。
「それじゃあ、教会に行きましょうか!」
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「こんにちは〜?」
扉を開ける。
ティエスの教会とは違い、多くのシスターが祈りを捧げている。
「こんにちは、この教会に何か御用でしょうか?」
30代くらいの男性が声をかけてくる。
「えっと、ティエスから来た冒険者です。この手形を見せれば伝わると言われたのですが……」
そう言い、モリアナさんから貰った手形を渡す。
手形を渡すとその男性は一瞬目を見開く。
「悪魔を撃退したと言う冒険者は皆様でしょうか?」
「ええと……まぁ、一応…」
男性は俺たちを一人一人見てから直ぐに優しそうな笑みを浮かべる。
「よくぞいらっしゃいました。まだこんなに若い人間の女性が悪魔を撃退するだなんて、同じ人間種として鼻が高いですよ」
「おっと…紹介が遅れてしまいました。私はこのセルティア教会の現在の当主を務めております、『エリック』と申します」
「エリックさんですね、よろしくお願いします。でも、悪魔を撃退したのは私だけじゃ無くてこちらの3人の力もあってですから…」
「おお、そうでしたね。あなたは素晴らしいガタイをしておりますね。さそがし活躍したのでしょう」
そう言いながらフィーと握手をする。
「それにしても貴方、この教会のトップって事よね?随分若いのね」
「ええ、先代は少し前に病気なってしまったのです」
「病気……ですか…。それは…ごめんなさい」
「いえ!頭を上げてください!亡くなった訳ではありません。それに、この教会はポーションの作成に長けていますから、いつかきっと先代の病気を治すポーションを作りますよ」
「おっと、すみません。暗い空気にしてしまいましたね。どうぞどうぞ、長旅で疲れたでしょう。奥に部屋を用意させましたのでどうぞこちらへ」
そう言い案内される。
「なーんか嫌な感じね」
ティナさんが小さい声で言う。
アビィちゃんも悲しそうに俯く。
「ささ、どうぞ」
エリックさんに案内され、椅子に座る。
「それで、シスターをパーティーに加えたいという事で宜しいですかな?」
「はい」
「いやはや、皆様の様なパーティーに入るシスターが羨ましいですな!」
「あはは…ど、どうも」
「ただ、シスターは沢山居ますが、最終的に決めるのは冒険者の方々自身という方針をとらせて頂いております。皆さんの性格や目的に合ったシスターを見つけるのは皆様が決めるのが一番ですからね」
「なるほどね。確かにその方がパーティー側も、パーティーに入るシスター側も納得出来るってわけね」
「その通りです」
「そこで、冒険者の方に提案しているのですが、何日か、観光も兼ねてこの教会に寝泊まりしてはどうでしょう」
「ここで…ですか?」
「はい。もちろん宿泊費は結構です。この街を観光しながら、教会や教会の外で働くシスターを見たり、実際に話したりしてみて、お決めください」
「なるほど……」
「ま、いいんじゃない?どうせ宿は探すつもりだったし、宿泊費がかからないのはこっちとしても有難いし」
ティナさんが言う。
「そうですね。ではそうします」
「かしこまりました。では案内致しますね」
そう言われ案内された部屋は大きくて綺麗な部屋だった。
「ではごゆっくりどうぞ」
「ねぇ、アイツなんか嫌な感じじゃない?」
ティナさんは口を尖らせる。
「ええ、確かにティナとアビィちゃんに対しては冷たかったわね」
「冷たいどころじゃないわよ!無視よ!無視!居ないもの扱いされてたわよ」
「おかしいわねぇ…私が聞いた話ではどんな種族にも優しいって話だったのに」
「うぅ……」
アビィちゃんの耳がいつも以上に垂れる。
「落ち込む事ないわアビィ!帰り際に文句言ってやりましょ!」
ティナさんは腕を組んでご立腹だった。
「ま、まぁ、折角ですし、言われた通り観光しませんか?美味しい料理も食べたいですし!」
「ふふっ、そうね。久々の休みって事にして楽しみましょう」
こうして俺たちのシスター探しと言う名のセルティア観光が始まった。




