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第24話、俺たちとリーゼベルンと謎の男

前回のあらすじ!

領主の企み!呪術!罠!





「俺は……俺は魔王になる男だ…こんなところで終わる訳が無い!!!」

そして、リーゼベルンは懐から小さなクリスタルの様な物を取り出し、それを叩き割るのだった。



「ハハハハハハッ!これで終わりだ!!!」

リーゼベルンは両手を広げ焦点の定まって居ない瞳で嗤い続ける。


「貴方、一体何をしたの!?」


「今壊したクリスタルはな、魔物の指揮官にこの街を落とす準備が整ったことを知らせる為のものだ!」


「直にこの街は魔物に呑まれる。そして俺が魔王となるのだ!!!」

そう言うと再び高笑いをする。



外ではティナさんの精霊術を通じて声を聞いていた住民や戦士がパニックに陥っている。



その時


「落ち着け!!!」

精霊術の空間から大きな声が聞こえた。

そこには広場の高台に登り、声の限りに叫ぶ兵長、ハルベルトがいた。


「今まで私たちは何の為に戦ってきた?領主の命令だからか?他に手段がないからか?」


「違う!!!愛すべき街を、愛すべき友を守る為だ!!!!!今こそ立ち上がるのだ!我らティランの民の底力を魔物たち見せてやろうではないか!!!」





「そうだ。守るんだ」

「その為に兵士になったんだ!」

「何でもいい!武器になるもん持ってこい!」

「この際兵士もそうじゃないやつも関係ねぇ!戦えるやつは武器を持て!」

住民の一人一人が武器を手に立ち上がる。



「皆さん……」

ティランの住民の結束力に胸が高鳴る。



「フンッ!貴様ら無能どもに何が出来る!」

リーゼベルンは鼻で笑う。



「人と人が手を取り合った時の強さを私は知っています」


「そうよね。不可能な事なんて無いんだから」


「まぁアンタには一生縁の無い話でしょうけどね」



「き、貴様らァ!!」

リーゼベルンが落ちていた剣を拾い、振り下ろそうとした時、近くの空間が歪む。


「今度は何だ!!!」

リーゼベルンの目の前の空間の歪みが徐々に大きくなっていく。



「これも……精霊術…ですか?」


「い、いや、ち、違うわ……これは、この気配は……『呪術』!それもこんなに濃い気配感じた事ない!!!」


「みんな、構えなさい」

フィーの真剣な表情に俺たちは直ぐに臨戦態勢に移る。




歪みが人間大ほどになると、そこから人間の手が現れる。

そこから徐々に身体が現れる。


「これは……とても歓迎されている雰囲気では無さそうだね」


そこには綺麗に銀色に輝く白にも近い髪色と、紫に妖しく光る瞳、整った容姿の男が現れる。


「貴方は一体……」

フィーが拳を構えながら聞く。


「僕かい?参ったな。名前か……」

男は顎に手を当て悩む。



「何よ?まさか、記憶喪失とでも言うつもりかしら?」


「プッ…ハハハハハハ!それ、いいね。でも残念ながら違うよ」

お腹を抱えて笑った後、男は直ぐに顔を上げて続ける。


「君たち下等種族に名乗る際の名前を考えて居なかった。許してくれ」

「まぁ、分かりやすく言うなら…『悪魔』かな」

男はそう言うと笑みを浮かべる。




「お、おい!!アンタ指揮官だろ!!!俺だよ俺、リーゼベルンだ!魔王になる存在だ!!!」


「おやおや!これは魔王様!!お迎えに参りました」

男はリーゼベルンの前に片膝をつき、服従する。



「そうだ!早く俺を魔王にしてくれ!!!」


「そうですね。では失礼致します」

男は呪術で俺たちのと間に壁を作り、リーゼベルンに近付く。


「ちょっと!待ちなさい!!」

ティナさんが必死に呪術の結界を殴りつけるがビクともしない。



「ハハハハハハッ!!!お前達ももう終わりだ!!!!」

リーゼベルンは目を見開き、嘲笑う。









「はい。その通りでございます。終わりですよ、魔王様」








そう言うと男はリーゼベルンの腹を素手で貫く。





「カハッ!!!!な、何を……!!!」


「言った通りですよ魔王様。貴方は終わりです。正確には『用済み』ですが」


男の行動に俺たちは全員固まる。


「俺は……魔王になるのだと!貴様が言ったのだぞ!!」


「はい。言いました。しかし私、悪魔ですので」


「な…なんだと……?」


「だから私は悪魔ですので。悪魔が人間如き下等種族に施しを授けるとでも?」


「自分の肉体を形成するまでの時間を有効活用する為に貴方を利用させて頂きました」


「この街の情報を手に入れ、可能なら貴方を使って戦力を低下させておいて、楽に乗っ取ろうと思いましたが……」

男は這いつくばるリーゼベルンを見下しながら続ける。


「戦力の低下どころか、他の街から戦力を補充する始末。無能にも程があります」


「そ、そんな……俺は…魔王に…」

リーゼベルンは虫の息で言う。



「あぁ、でも、安心してください。契約は契約ですからね、しっかり果たしますよ」

そう言うと男はリーゼベルンに手を差し伸べる。


リーゼベルンは最後の力を振り絞ってその手を掴もうとする。







「ただし、『夢の中で』ですが」

今度はリーゼベルンの心臓を素手で突き刺し、息の根を止める。

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