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第23話、俺たちと領主と企み

前回のあらすじ!

気配!探検!ピンチ!





「飲ませたか」


「……はい」


「フフッ……フハハハハハハハッ!!」

「バカな連中め!!!どうだ?お前ら専用に調合させた超強力痺れ薬の味はッ!!!」


領主は高笑いしながら叫ぶ。


「おい、意識はあるんだろ?なんか言ってみたらどうだ?って口も舌も痺れて何も言えないか!!!フハハハハハハ!!!!」


「あな…た……やっぱり外道……ね」

フィーがやっとの思いで口を開く。


「ん?おいおい!凄いじゃないか!あの薬を飲んで話せるとはな。やはり調合させて正解だった」


「で?何だったか……あぁ、そうそう外道だって?」

男はわざとらしく思い出した振りをする。


「外道で結構!この俺様の計画に貴様らは邪魔になるのだ!!!元々、他の街の冒険者に救援依頼など出させないつもりだったんだがな……ゴミ共の誰かが勝手に依頼しやがった」



「やっぱり貴方……この街を魔物に売ったのね……」


「何故そう思う?話してみろ」

領主はゲスな笑みを浮かべながらフィーの顔を覗き込む。



「簡単…よ。敵の指揮官の存在を知っていながら、一切の調査をさせず、街からも出させなかった……。幾ら戦力が不足してるとは言え、少人数の偵察隊くらいは組めるでしょう…」


「おぉ、やるじゃないか。あのクソッタレ兵長も同じ事を言ってきた。まぁ、『それ以上文句を言ったら奴隷共に行かせる』って言ったら直ぐに黙ったがなッ!!!フハハハハッ!」


「……あとは住民たちから、『領主の命令が朝令暮改だ』って不満も聞いたわ。身を守りたいだけなら、わざと混乱させる様な命令をするのはおかしいでしょう……」


「ハァ…ハァ……そして極め付けはアビィちゃんのチョーカー。それは魔法でも精霊術でもないわ……」


「さっきティナが思い出して教えてくれたの」


「そのチョーカーは魔物が扱う『呪術』だってね……それに、貴方の部屋を覗いた時に、ティナの精霊ちゃんが呪術書を見つけたらしいわ」


「そこまで分かれば、貴方が魔の者と通じているという事は想像に難くないわ」


フィーが全ての推理を言い終わる。



「クッ……ククッ………クハハハハハハハハハハハッッッ!!!!」

「おいおいとんだ名探偵様がいたもんだ!!!そうだよその通りだよ名探偵様ァ!」

領主は高笑いした後、下衆な笑みを浮かべながら答える。




「俺は魔物の指揮官と既に会っている。そしてそいつと契約した!『俺が魔王になる為にこの街を売る』とな!!!」


「調査に行かせなかったのも、その指揮官が力を蓄える儀式を邪魔させない為だ!!!それも今日で終わるがな」




「何故…そんな事を……この街の領主なのに住民のことは何とも思わないの?」



「フハハハッ!!!当たり前だ。あんなゴミ共は俺の言う事だけ聞いて、俺の為に命を捨てればいいんだよ!!!フハハハハハッ!!」




「……そう。もう、終わりね」


「あぁ!そうだとも!お前らも!この街も!!この街の奴らも!!!全部終わりだ」




「おっと、喋りすぎたな。誰か来ても面倒だ。さっさと殺すか」


「この街の奴らよりも少し早いが……悪く思うなよ。ってのも無理か!ハハハハハッ!」

そう言うと領主は、手に持っていた剣を振りかぶる。



「そう、残念ね」


「ああ、残念だったな」

そして領主はフィーに向かって剣を振り下ろす。












「残念なのは、貴方よ。リーゼベルンさん」

そう言うとフィーは立ち上がり、領主の腕を左手で掴み、右手で領主を殴る。



「グアッ!!!!!」

領主は剣を落とし、吹っ飛ぶ。


「貴様ッ!!!何故だ!!!ならこれからどうだ!!!!」

領主は懐から拳銃を取り出し、フィーに向かって撃つ。


凄まじい発砲音が鳴り響く。









「精霊の加護よ!!!」

「『リーンフォース』!!!」


その弾丸はフィーに当たる事はなく、強化された精霊術により、フィーの手前で止まり、地面に落ちる。




「き、貴様ら!何故動ける!!!は、半獣人!貴様か!!!毒を盛らなかったのか!!!」

アビィちゃんは恐怖に震えながら首を振る。




「いいえ違うわ。アビィちゃんは確かに痺れ薬を入れたわ」

「でもね、アビィちゃんが紅茶を注ぐ時の辛そうな顔や、小刻みに震える手を見逃しはしないわよ」


「元々、貴方が何かしらの毒物を盛る可能性は考慮していました。そしてやるなら私たちが気にかけているアビィちゃんならやらせる事も。ですので、事前に解毒薬を飲んでおきました」



「馬鹿なッ!解毒薬は毒にかかってからでないと意味が無いはず!それに、市販の解毒薬では防げないように調合させた筈だぞ!!!」



「えぇ、ですので、解毒薬に効果増大魔法をかけておきました。解毒の効果はもちろん、効果時間も延長しておきました」



「クソッ!!!クソッ!!!!」

リーゼベルンが地面を拳で殴る。






「いや、だが待てよ。フハハハハハハハッ!!!そうだ!!!貴様らの負けだ!!!」

男は何かに気付き嗤いだす。


「『ティエスから来た冒険者が、領主の屋敷に踏み入り、領主を殺そうとした』と、ティエスの国中に言いふらしてやる!!!貴様ら冒険者より、貴族にして領主の私の方が説得力がある!!!」

リーゼベルンは勝ち誇ったように嗤う。




「そんな事言ってくると思ったわよ」

そう言うとティナさんは指を指す。


リーゼベルンは指の指された方向を見る。そこには小さな空間の歪みがあった。


「………なんだ?これは……?」


「それはエルフ族の精霊術。本来は村に帰る時に使う術だけど、エルフの村を中継して別の場所にも歪みを作ることが出来るのよ。そうすれば離れた場所から離れた場所へ、声や風景を届ける事も出来るの」



「そしてそこにある歪みは、エルフの村を中継して、この村の広場に開かれているわ。つまり、貴方の言動は全て、この街の住民に筒抜けってわけ」

ティナさんは答える。



「フハハッ!何を言うかと思えば!!エルフ?そんなものお伽話の生き物だ!!!見苦しい嘘を吐くんじゃない!!!」


「ふーん……お伽話…ね」

そう言うとティナさんはフードを外す。







「どうも、お伽話の生き物です」




「!!!!そ、その耳!!!馬鹿な!!!エ、エルフ…だと!?いや作り物だろう!!」


「現実を受け止めなさいよね。ほら、外見てみなさい。貴方への不満が爆発した住民がお集まりよ」



リーゼベルンは恐る恐る外を見る。そこには斧や包丁を持った住民や、兵士の姿も見える。




「もう、終わりです」




そう言うとリーゼベルンは頭をかかえ、ふらふらと立ち上がる。

「俺は……俺は魔王になる男だ…こんなところで終わる訳が無い!!!」

そして、リーゼベルンは懐から小さなクリスタルの様な物を取り出し、それを叩き割るのだった。

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