第21話、俺たちと貴族の屋敷と女の子
前回のあらすじ!
貴族!住民の謎!聞き込みへ!
そんなこんなで戦争やこの街についてのことを聞く為に聞き込みに行くことになった。
「あのぉ〜。この戦争に関して何か知っていることとかありませんか?」
「ん?あぁ、さっきの冒険者の子たちか。さっきはありがとう」
「は、はぁ……」
「あぁ、それで戦争に関してだったか」
………
……
「それじゃあ、住民たちからの話をまとめてみましょうか」
まず、異変に気付き始めたのは大体3ヶ月くらい前らしい。
街の近くに普段では遭遇しないような魔物が現れたらしい。
最初は何とも思わなかったが、少しずつ強い魔物が出現したり、数が増えたりして街に不安が募っていた頃、街を黒い雲が包んだ。
その黒い雲から黒い影が現れ、こう言った。
「我は偉大なるお方に仕えるもの。偉大なるお方はこの街をご所望だ。ひれ伏し、街を差し出せ。
抵抗すれば殺す。素質のあるものは仲間にしてやる。今夜からは楽しくなるであろう」
その言葉を聞いた兵長ハルベルトさんは即座に部隊を編成、その晩に来た魔物の軍隊と戦い、何とか追い払ったらしい。
それからも防衛戦を行い、既に5回撃退したそうだ。
「あのハルベルトって人、案外凄いのかもね」
ティナさんが口を開く。
「凄いなんてもんじゃ無いわよ。限られた戦力で攻め入ってくる魔物の軍勢を5回も退けるなんて相当のことよ」
そんな話をしていると
「お話中失礼致します」
1人の男が片膝を地面につき、話しかけてくる。
「私はこの街の領主であるリーゼベルン二世様の遣いのものでございます。領主様は皆様との対談をお望みです。どうか御同行を」
「ちょっと待ちなさい。ついさっきアタシたちを殺そうとしてきたやつが対談?笑わせないで」
「領主様はこうおっしゃいました」
「『少々腹が立っており、我が街を救いに来た冒険者に対して酷い対応をしてしまった。お詫びとして今夜は屋敷でご馳走を振る舞いたい』とのことです」
「いや幾ら何でも怪しすぎ……」
ティナさんが文句を言おうとするとフィーがそれを止め、小さな声で言う。
「この街の領主、少し怪しい気がするの。危険だけれど、手掛かりがない今、行ってみるのも手だと思うわ」
続いてティナさんも遣いの人に聞こえないように小さな声で話す。
「いや、どう見ても怪しいでしょ。アタシたちを殺すつもりでしょ」
「そういう意味じゃないわ。もちろん、その可能性はあるけれど、私はもっと別の意味で怪しいと思うの」
「どう言う意味よ?」
「ごめんなさい。これは『乙女の勘』ってやつよ」
「乙女……?まぁいいわ。どうする?リン?」
「乙女……?と、取り敢えずここはフィーさんの勘を信じましょう。でも皆さん、警戒は怠らずに」
話し終え、遣いの人について行く。
30分ほど歩くと他の家とは明らかに違う、大きな屋敷が見えた。
今までの街の外観から、それほど裕福な街では無いと思っていたが、この家だけ立派なのを見ると、領主の性格が分かるようだった。
「どうぞ、中へ」
遣いの人に門を開けてもらい、敷地内に足を踏み入れる。
そのまま進み、屋敷の扉を開く。
「よく来てくれた。冒険者たち。先程はすまなかった。お詫びの意味も含めて歓迎しよう」
領主のリーゼベルン二世が中央の階段の踊り場から語りかける。
「いいのよ。私たちもごめんなさいね。人間でも獣人でも半獣人でも、困ってる人を見るとつい助けたくなっちゃうのよ」
「素晴らしい考え方だ!私も普段は手をあげたりしないのだが……いやいや歳をとると短気になって困る。君たちのお陰で大切な従業員である半獣人を傷付けなくて済んだよ。礼を言おう」
「立ち話もなんだろう。奥に君たちの部屋を設けた。そこで荷下ろしでもしてくるといい」
そう言うと奥から犬耳でメイド姿の半獣人が現れ、案内をしてくれる。まだ小さい。小学生くらいだろうか。
しかし……何というか、子どもらしい元気さのカケラも無く、目に光がない。
「お荷物をお持ち致します」
「うふっ♡いいのよ。私、力には自信があるの。だから案内だけお願い出来るかしら?」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
領主から離れ、部屋に向かう道の途中でフィーがメイドに尋ねる。
「ねぇ、貴女?あの領主に酷いことされてない?大丈夫?」
そう聞くとメイドの女の子は一瞬身体が止まる。しかし直ぐにまた歩き出しながら言う
「領主様は我々半獣人にも優しくして下さいます。皆様が見たような暴力は普段では絶対に致しません」
「でもあんた、とても元気そうには見えないんだけど?」
「領主様は我々半獣人にも優しくして下さいます。皆様が見たような暴力は普段では絶対に致しません」
!!!!!
「ちょっとあんた!」
ティナさんが女の子の肩を掴む。
「領主様は我々半獣人にも優しくして下さいます。皆様が見たような暴力は普段では絶対に致しません」
女の子の無機質な瞳からは俺でも分かるほどの恐怖が感じ取れた。
「…ッ!!!」
「ティナ、今は抑えましょう」
「ぐっ……」
ティナさんは女の子の方から手を話す。
「では皆様、こちらへ」
女の子に案内され部屋に着く。女の子は一礼すると戻ろうとする。
「待って下さい!案内、ありがとうございます。私はリンって言います。あなたのお名前は?」
「……………『アビィ』」
「うふっ♡素敵なお名前ね♡私はフィーよ」
「アタシはティナ。よろしくね」
「皆様の身の回りのお世話は私に任されています。何かあればお呼びください」
そう言うと女の子は一礼して去っていった。




