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第17話、俺たちとティランの噂と危機

前回のあらすじ!

レベルアップ!ティナさん冒険者登録!クエストがない!


「『ティラン』……」

都市の名を聞くとフィーの表情が少し曇ったように感じた。


「フィーさん?どうかしましたか?」


フィーに確認しようとするとレイラさんも同じように困った顔をする。


「その…実はですね。この『ティラン』という街は私たちの住むこの街と比べますと少々治安の面に問題がありまして……」


「そう…なんですか。じゃあ急ぎのクエストでも無いなら、またのんびり待ちますか!」


「私としてもその方が安全だとは思います。ですがティランからの要請は緊急性を要するものでして、魔物の増加により、ティランの戦力だけでは足りず、死者も出ているとのことで……」



レイラさんがそう言うとフィーさんがハッと何かに気付き、口を開く。

「ちょっと待って頂戴。ティランの戦力だけじゃ足りないなら、今は足りない戦力をどこから補っているの?」


フィーから明らかに焦燥が感じ取れる。


「……………」

レイラさんは俯き、何も言わない。


「レイラッ!!!答えて頂戴ッ!!」


「………フィーさんの想像している通りかと…」


レイラさんがそう言うとフィーは怒りと悲しみが混じったような表情になる。こんなフィーは初めて見た。


フィーは俺たちに向き直り、言う。

「リン、ティナ。お願いがあるの」

「ティランの街に向かわせて頂戴。私1人でも構わないわ」


フィーは申し訳なさそうに言った。


「いいですよ。でも、1人でなんて行かせません。私たちはパーティーです!行くなら3人一緒です!」


「そうよ。なに柄でも無い事言ってんのよ。アタシたちだって行くに決まってるでしょ」


「でも、ティランに行けばきっと辛い思いをするわ。特に貴女たちみたいに優しい子は……」


「関係ありません!それにまだ私はフィーさんに何も恩返し出来てません!」


「アタシはフィーとリンの2人の協力をするって任務なの。だからついて行ってあげるわよ」



そう言うとフィーは嬉しそうに微笑み、頷く。

「そうね、私が間違っていたわ。お願い、力を貸して頂戴」


「はい!」 「し、しょうがないわね」



レイラさんにクエストの依頼書を渡す。

「受領致しました。……どうかお気を付けて」



心配そうなレイラさんを尻目に、俺たちはギルドを出て、ティランに出発する。



ティランまでは馬車で丸一日はかかるらしい。がしかし、準備をするため、夕方に出発する。途中で一泊するから到着は2日後の朝らしい。

俺たちは馬車に乗り込む。そういえば馬車に乗ったのも生まれて初めてだ。


馬車が出発すると、フィーが話し始める。

「リン?貴女に『このティエス王国では全ての種族が協力している』って言ったのは覚えているかしら?」


「はい。人間も獣人も半獣人も協力しているって話でしたよね」


「そうね。でもそれは名目上なのよ。ティエス王国の国王はそういう国を作るために尽力しているの。私たちが住む街は首都って事もあって、王様の努力のおかげでほとんどの種族が協力しあえているわ」



少し寂しそうな顔で続ける。

「でも全ての街までは手が回らないのよ」


「と、言うと?」


「ティランみたいな一部の街では、その街の貴族が好き勝手に街を治めているの」


なるほど。確かに税金を搾り取ったりしている貴族の姿とかは想像に難く無い。


「でもね、ティランみたいな街で一番酷いところは種族差別なの」


「差別…ですか?」


「えぇ、貴女の様な優しい子には言いたくなかったのだけど、半獣人は昔から、どこの国でも差別の対象だったの」

「人間にも、獣人にもなれない出来損ないって言われてたのよ」


「酷い………」


「他の国では未だに半獣人は差別されたり、奴隷にされたり、酷い扱いを受けているわ」


「ど、奴隷!?」


「えぇ、ティランではそういった事が少なからず行われてるの。特に貴族の中ではね。それにもちろん、王の見えないところでね」


「酷い話ね」

ティナさんが胸糞悪そうにそっぽを向く。


「きっと、そういった光景を見たら、貴女たちは特に心を痛めると思って今まで話してなかったの。ごめんなさいね」


「私たちを気遣ってくれてたのなら、フィーさんが謝ることなんてありません。むしろ、ありがとうございます」


「そうよ、どうせいつかは知るんだし、あんたが気にすることじゃないでしょ」


フィーは少し驚いた顔をすると直ぐに優しく笑う。

「貴女たちは本当に優しいのね」


「そ、そういえばあんた、ギルドでかなり切羽詰まってる表情してたけど、あれはどう言う意味よ」

ティナさんは褒められてたことで少し顔が赤くしながらフィーに尋ねる。



「戦力が足りていないと言うことは、兵士の代わりに奴隷である半獣人を無理矢理戦わせてると思ったのよ」

フィーが悲しそうに言う。


「そ、それは幾ら何でも酷すぎますよ!」


「えぇ、そうね。でも追い込まれたティランの貴族ならやってもおかしくないわ」


「そ、そんな…」


「だから私たちにできるのはティランに協力して、1人でも多くの人たちを救うことなのよ」


「最低な街の協力しないと、何の罪のない人たちが死ぬなんて、複雑ね」

ティナさんもティランのやり方に対し苛立っている様だ。


「どの道、やる事は変わりません。魔物の脅威から街の人を守る。それが結果的にティランの人間、獣人、そして半獣人の為になるんですから!」


「まぁ、そうよね。文句を言うのも助けた後なら幾らでも出来るしね」


「ふふっ、貴女たちらしいわね♡そうね、まずは街を助けましょう!」


こうして俺たちは夜の道を馬車に揺られながら眠るのであった。

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