第15話、俺たちとエルフと冒険者
前回のあらすじ!
復興終了!おかえり戦士長!ようこそティナさん!
エルフのみんなに盛大に見送られながらティナさんも一緒に結界の外に出る。
村長に授けられた精霊の加護のお陰で手の刻印に向かって魔力を流すだけで結界が開けるらしい。どこでも開けるって訳では無いらしいが…。
結界を出ると元いた森に戻る事が出来た。
「いやー無事戻れて良かったですね〜!」
「そうねぇ♡お家にもギルドにもやっと戻れるわね♡」
などと話して森の出口に向かう途中、ティナさんがふと口を開く。
「そういえば、あんたたち何でこんな森にいたのよ」
「え?それは依頼でキノコ集めを………」
「「あっ」」
俺とフィーは顔を見合わせる。
しまったすっかり忘れていた。キノコ集めてた籠、騒ぎの最中落としてしまった…。
どうやらそれはフィーも同じらしい。
「流石に4日も戻らずに帰ってきたらキノコ1つありませんでしたってのは依頼主さんに怒られちゃうわよねぇ…」
「どっ!どうしましょう!私初めてのクエストなのに!!」
会話を聞いていたティナさんがため息混じりに言う。
「まぁ、そもそも巻き込んだのはこっちだし早速恩返しするわよ。キノコの特徴教えて。手伝うから。」
お礼をしたあと、ポッケに入っていたキノコの絵を見せる。
「あぁ『ドクピリダケ』ね」
「ドクピリダケ?」
「そう、このキノコの名前。生で食べると毒があるけど、火を通すと毒が抜けて美味しいのよ」
「流石エルフね。森の事なら何でも知ってるのね」
「べ、別に何でも知ってるってわけじゃ無いけど!ま、まぁ、このくらいなら直ぐに見つけてあげるわよ。ちょっと待ってなさい」
そう言うとティナさんは目を閉じ手を伸ばす。手の先が光り、すぐに消えた。
「そことそことそこ、あとあの木の裏、もう少し歩けばあっちにもあるわよ」
言われた通りの場所に行くと本当にあった。
「す、凄いです!!どうやって見つけたんですか!?」
「べ、別に大した事じゃないわよ。精霊に聞いたの。この森の精霊だから森の中の探し物なら簡単よ」
ティナさんと精霊さんのお陰で、前よりも多くのキノコを見つけることが出来た。
ティナさんが即席で作ってくれた籠にパンパンに入れ、街へ戻る。
森を出るとティナさんは深くフードを被る。
「あら?折角可愛い顔してるのに隠しちゃうの?」
「かっ…!!!可愛い……」
ティナさんの顔が真っ赤になる。
「べ、別に!エルフだとバレると色々と面倒でしょ!」
「まぁ確かに話題にはなっちゃかもね。でもこれから一緒に冒険者やるなら隠し通せるものでもないと思うけど…」
「私はフード無くてもいいと思いますよ!みんな受け入れてくれますよきっと!」
そういうとティナさんは恥ずかしそうにフードを外す。
「やっぱりフードが無い方が可愛いわね♡」
「だ、だから!!もうっ…!!!早く行くわよ!!」
ティナさんが先に行ってしまう。
「ティナさーーーん!そっち逆ですー!!」
ピタッと止まると下を向きながら早歩きで戻ってくる。プルプル震えてる。なんか可愛そう。
「じゃあ、戻りましょっか!」
街へ戻る道中、やたらとティナさんがキョロキョロしている。
「そういえばティナさんは調査で結界の外に出る事もあったんですよね?」
「ま、まぁね。でも調査対象は魔物がほとんどだし、街はもちろん、人間の村にだって行ったことはないわ」
そんな事を話しながら歩くと、街に近づいているからか、人が増える。
すれ違う人はティナさんの姿に気付くと動きが止まる。
「や、やっぱりフード被った方がいいんじゃないの!?」
「まぁ大丈夫よ♡襲われる訳でもないし、みんな珍しいから気になってるだけよ」
「でももし不安なら無理しなくていいですからね!」
「ふふふ不安な訳ないでしょ!!!余裕よ余裕!」
ギルドに着くと気付いたレイラさんが駆け寄ってくる。そのまま俺に抱きついてきた。
え????
「良かった!!!心配したんですよリンさん、それにフィーさんも!クエストの場所からしてこんなに戻らないなんて思わなかったですし…何かあったのかと……」
「心配かけてごめんなさいね。実はかくかくしかじかで…」
ギルドの奥の部屋に行き、フィーがこれまでのことを話す。
「そんな事があったのですね……それでそちらの方が…」
「ティナよ。見ての通りエルフよ」
レイラさんの顔が驚きに染まる。
「あっ!初めまして。私はギルドの受付嬢をやらせてもらっています、レイラと申します」
「エルフの方に会えるとは、光栄です」
「ん……よ、よろしく」
「それはそうと、リンさん、フィーさん!今回は不可抗力とは言え、本当にお気を付けて下さいね。命は1つしかないですから…」
「はい。ごめんなさい。心配してくれてありがとうございます」
レイラさんの顔が緩む。
「何はともあれ、本当に無事で良かったです。依頼のキノコも受け取りますね。後日、報酬をお渡しますので、ギルドに来て下さいね」
ギルドのロビーに戻るとそこには多くの冒険者が集まっていた。
「リンちゃん、大丈夫だった?」
「嬢ちゃん、怪我ぁねぇか?」
「リンー!心配したよー!」
「へっ…?」
まさかこんなこと言われるとは思っておらず、動揺してしまう。
「ギルドの皆さんも心配していたんですよ。リンさんみたいに若い女の子の冒険者、それも初めてのお仕事ですからね」
なるほど。挨拶くらいしかしたことなかったがフィーが言っていた「この街にはいい人ばっかり」と言うのはこういうことだろうか。
「それはそうと、そこの嬢ちゃんは……」
みんなに挨拶をしていると、ふと、1人の冒険者が後ろに隠れていたティナさんの存在に気付く。
「へっ!?あ、アタシ?あの…えっと…」
ティナさんは照れているのか俺の背中に小さく隠れる。
「この方はティナさんです。森で命を救ってもらったんです!それで、色々あってパーティーに入ってくれたんです!」
ティナさんの代わりに紹介をする。
「アンタが嬢ちゃんを助けてくれたのか?礼を言うぜ。パーティーは違えど、この街、このギルドで共に生きる奴らはみんな家族みてぇなもんだからよ」
ここ、『ティエス王国』は領土こそ小さいが、種族を超えた協力の上に成り立っており、結束が固いという話を聞いた事がある。
どうやらそれは本当だったらしい。
1人の冒険者がティナさんに礼を言うと、次々と感謝の言葉を述べる。
「ありがとよー!エルフの嬢ちゃん!」
「ようこそギルドへー!」
「これからよろしくなぁ!」
「今日は飲むぞー!」
「歓迎会だー!!!」
エルフだと言う事で何か言われると思っていたであろうティナさんは驚きを隠せないようだった。
「良かったですねっ!ティナさんっ!」
俺がそういうと
「ええっ!」
ティナさんは微笑み頷くのだった。




