第11話、俺たちとエルフと戦士長
前回のあらすじ!
急げ!エルフ村の危機!魔物のリーダー!
中央に着くと、そこには犬型の魔物のリーダーと思われる全長5m程の大きな犬型の魔物がいた。
その魔物の見た目はこれまでの魔物と比べて大きさはもちろん、触手は多く、一本あたりの触手が太い。そしてなにより、殺意がピリピリと伝ってくる。
辺りにはこの魔物と戦ったであろうエルフの戦士達が倒れている。その中で鎧を纏い、剣と盾を持ったエルフが1人だけ立っている。
「戦士長!!!」
ティナさんが声をあげる。
「はぁ…はぁ…ティ、ティナか………すまない。この村を、仲間を守る事が出来なかった……」
今にも倒れそうな戦士長は額から血を流し、剣を杖代わりにして何とか立っている。
魔物はその戦士長にここぞとばかりに触手で攻撃をする。
「グアッ!!!!!」
触手は戦士長の鎧の脇腹部分を捉え、衝撃で飛ばされる。
「戦士長!!」
ティナさんが駆け寄る。
「ハァ……ハァ…だが…だがな…この村を守る使命を受けた者として、この命潰えるまで俺は倒れない」
「刺し違えてでも、こいつだけは、俺がッ!!!」
戦士長は立ち上がる。
凄い気迫だ。今の攻撃だって骨が折れてもおかしくない程の衝撃だったはずだ。
しかし、回復を待つほど魔物も甘くない。弱っている戦士長にトドメを刺す為に今度は触手を鋭利な形状にさせて戦士長目掛けて伸ばす。
「くっ!精霊の加護よ!」
咄嗟にティナさんが結界を張り防ぐが、結界にヒビが入る。
「『ストレングス』!」
「ハァァァァア!!!!」
フィー拳がその触手を吹き飛ばす。
「戦士長さん、貴方の覚悟、伝わったわ。私たちに貴方のお手伝いをさせて頂戴」
「そうです!私も支援しますから、協力させて下さい!」
フィーが戦士長にポーションを渡す。
「君たちは……まぁいい。助かる。こいつを倒すぞ!」
「アタシだって…!やってやるんだからっ!!」
各々が構える。
「グガアアアアアアアアァァァ!!!!」
魔物は吠えると同時に無数の触手を伸ばす。
「精霊よ、我に力を」
ティナさんがそう唱えるとティナさんの弓と矢が輝く。
「エルフの弓の真髄、見せてあげるわ!」
「『フェアリースナイプ』!」
そう言い、連続で矢を放つ。それらの矢は魔物の触手を一つ残らず迎撃する。
「触手は任せなさい!」
「助かるぜ!」
「本体は私たちに任せなさい!」
フィーと戦士長はティナさんが触手を撃ち落している間に距離を詰める。
魔物は2人目掛けて突進する。
「オラァッ!!こっちだ犬ッコロォ!!!」
戦士長は持っている盾で受ける。
「『リーンフォース』『ストレングス』!」
俺も戦士長の盾と筋力に強化魔法をかける。
「クッ!!オォゥラァァァァ!!」
遂に戦士長は魔物の攻撃を弾く。怯んだ魔物をフィーは見逃さない。
高く跳び、魔物の顔の前で拳を構える。
「『ストレングス』!」
「ハァァァァア!!」
パァンッ!!!と凄まじい音と共に魔物の頭が吹き飛ぶ。その後、遅れて衝撃波が伝わる。
頭を失った魔物の身体は、動きが止まり、倒れる。
「ふぅ〜!リンの強化魔法はいつ見ても凄いわね♡」
「ありゃ嬢ちゃんの魔法のお陰か。通りで俺もあいつの攻撃を防げた訳だ。礼を言うぜ嬢ちゃん」
「い、いえいえ!」
「それよりもティナさんの弓も凄かったです!沢山ある触手を本当に全部撃ち落としちゃうなんて!!」
「べ、別にことくらいトーゼンだからっ!」
無事に魔物を倒した余韻に浸っているとティナさんが魔物の頭に近付く。
「でも…なんだったのかしらこいつら……」
するとその瞬間、完全に動きを停止したと思えた魔物の身体から一本の鋭い触手がティナさんを襲う。
「ティナさん!!!」
ティナさんは咄嗟のことで何も出来ずに目を閉じる。
ティナさんの服が赤く染まる。
目を開けるとそこには、魔物の触手によって鎧ごと身体を貫かれた戦士長の姿があった。




